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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

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溜池キャンパスの困った先生達~洞窟探索編~

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●第二章 魔物倒しと探検と爆発と。

 銅色の岩が突き出て狭い通路。ウィング・ヴォルフリートは【光条兵器】でグレムリンを切り捨てていた。
「キリがないですね……それなら」
 ウィング・ヴォルフリートは【則天去私】で剣に纏わせた光を振り、周囲のグレムリンを一掃する。
 一息つき、視線を走らせると、近付く魔物の気配を感じ取った。
「! 危ない」
 視線の先でグレムリンが、ミレーヌ・ハーバートへと飛び掛かろうとしている。即座に【奈落の鉄鎖】を展開。【超感覚】を使用して肉薄し武器で吹き飛ばす。
「な、何!?」
 ミレーヌ・ハーバートが、突然飛び出してきたウィング・ヴォルフリートに目を白黒させた。
「油断するなバカ! 今グレムリンに狙われてたぜ!」
「え、本当に?」
 アーサー・カーディフの指摘に、ミレーヌ・ハーバートは目を瞬かせた。
「気づかなかった……あっ!」
 新たに飛び掛かるグレムリンに慌てて応じるミレーヌ・ハーバート。エペで切り返すものの、肩先を鋭い爪が掠めた。
「言ってる傍から……」
 アーサー・カーディフはため息をつきつつ詠唱。グレムリンを切り続けるミレーヌ・ハーバートに【ヒール】をかけた。
「ありがとうアサ兄」
「くれぐれも慎重にな!」
 攻防を続けていると、アルフレッド・テイラーが走って戻ってきた。眼鏡の下の青い瞳をキラキラ輝かせて語りかけた。
「あっちに吊り橋があったぞ! 渡りに行っていいか?」
「アル……あんまりはしゃいで暴れるなよ。敵を倒してからな」
 頷いたアルフレッド・テイラーは、ミレーヌ・ハーバートの前のグレムリンにハンドガンを向けた。
 さらに現れるグレムリンにも当たるように【スプレーショット】を放つ。ばらまかれた弾がグレムリンの足を貫く。
「数が多いですね……なんとかまとめて倒せないものでしょうか」
 流れた汗を拭い、朱宮満夜が呟いた。その言葉をミレーヌ・ハーバートが聞きつける。
「あ、それならあたしがトラップを仕掛けようか? 一か所に集まるように」
「本当ですか? では、お願いします。私は皆さんに呼びかけて、一斉攻撃ができるようにしておきますね」
「うん。やるよアル兄、アサ兄!」
 呼び掛けてすぐミレーヌ・ハーバートが動いた。【トラッパー】を使用し、洞窟内を駆ける。
「邪魔はさせないぞ!」
 アルフレッド・テイラーが、ミレーヌ・ハーバートを攻撃しようとするグレムリン達にハンドガンを発砲。
「回復は俺に任せろ」
 アーサー・カーディフは、ミレーヌ・ハーバートが受けた傷を【ヒール】で治療する。
 その間に朱宮満夜が、周囲にいる面々に協力を要請した。
「……準備完了っ!」
「私も呼びかけ終わりました」
 元いた場所に戻ってきた二人が、頷きあう。ミレーヌ・ハーバートは、スイッチを手に取った。
「トラップ発動するよ! えいっ!」
 パンパンパンパン
 破裂音。どこからともなく聞こえた音に驚いたグレムリン達が、通路の中央に集まってくる。
「今です!」
 朱宮満夜が叫び、自身も【火術】を連射。集まったグレムリンの足元に炎を躍らせる。熱気に砂が舞う。
 更に攻撃を受け、追撃から逃れようとする者に【氷術】を放ち、逃げを許さない。

「皆で倒すわよっ!」
 声を張り上げたルカルカ・ルーが【驚きの歌】で周囲の面々のSPを回復させた。
 さらに【則天去私】を使用。武器を振り、光属性の攻撃をグレムリンの集団に浴びせる。
「行け!」
 反撃をする暇も与えず、夏侯淵が【野生の蹂躙】を使用。現れた魔獣達がグレムリンの集団へと突撃。
 更に【火術】を連射。ばたばたとグレムリンが倒れていく。
「まだまだっ!」
 ルカルカ・ルーが【恐れの歌】を歌い、集まった魔物達の魔法防御力を低下させる。
 すかさず夏侯淵が【雷術】をアントライオンの外殻に当てる。
 怯んでひっくり返ったアントライオンに向け、ミレーヌ・ハーバートがエペで切りかかる。
 同時にルカルカ・ルーも飛びかかり【轟雷閃】を放つ。二人の攻撃が柔らかな腹を貫く。
「僕も手伝うよ」
 進み出た清泉北都がお化けキノコを取り出し、掲げた。有毒な胞子をばらまき、周囲の魔物達を眠らせる。
「皆、頼むねぇ」
 清泉北都は手を振り上げ、下ろす。【野生の蹂躙】を使用。飛びだした魔獣達は、寝息を立て始めたグレムリンに飛び掛かる。
 叫び声すら上げずに、グレムリンが死骸と化した。
「あ、あんなところにもいた」
 洞窟の上部、岩と岩の隙間にグレムリンが潜んでいることを感知。【野生の蹂躙】を向けようと手を振り上げた。
「狙われているな」
 男性の声が響き、機関銃による【チェインスマイト】が頭上のグレムリンを撃ち落とした。
「終わりだ、エネミー。……ん?」
 グレムリンを追撃し終えたデューイ・ホプキンスは、足元に光る何かに気付き、それを拾い上げた。
「これは……?」
 デューイ・ホプキンスは首を傾げて【光学迷彩】を解除し、仲間を振り返る。
「大丈夫? ちょっと手伝うね」
 ミレーヌ・ハーバートに呼びかけ、ミレイユ・グリシャムが【サンダーブラスト】を発動していた。
 グレムリン数体とアントライオンに雷が降り注ぐ。そこへシェイド・クレインが飛び出した。
「私も加勢します」
 闇の力をまとった鉄甲による攻撃【実力行使】によって、眼前の敵がバタバタと倒れていく。
 砂煙が落ち着くときを見計らい、デューイ・ホプキンスはシェイド・クレインの肩を叩いた。
「……これが何か分かるか?」
 もふもふしたウサギの手が、シェイド・クレインの掌に小石ほどの大きさの何かを置いた。
 真っ黒に見えるが、一部分が虹色に輝いている。
「待ってください」
 シェイド・クレインは【博識】を使用。そしておもむろにハンカチを取り出すと、ごしごしと擦った。
 黒い色が取れ、子どもの親指ほどの丸い虹色の石が姿を現した。
「これはどうやらパラミタにしかない金属、『虹石』のようですね。宝石に似ていますが、うまく鋳造すれば立派な武器になります」
「……これだけでは、武器は無理だな」
「アクセサリなどにするのもいいかもしれませんね」
 苦笑しつつ語る二人。
「もう一度雷、行くよ!」
 やや遠くで聞こえた声に二人が視線を動かす。いつの間にかミレイユ・グリシャムが、一人で先に進んでいた。
「前に出ないでください、前に。危ないですよ!」
 慌ててシェイド・クレインが追いかける。デューイ・ホプキンスは苦笑して【光学迷彩】を再び使用すると、二人を追いかけた。