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温水プール爆破予告!?

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温水プール爆破予告!?
温水プール爆破予告!? 温水プール爆破予告!?

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(1)12:30 校長室

 蒼空学園が突然午後から臨時休校になった。御神楽 環菜(みかぐら・かんな)校長のの気まぐれという噂だが、彼女と親しい者や察しがいい生徒は事件の匂いを感じて校長室に集まった。
「爆破予告が届いたの」
 真っ白な便箋には、赤ペンでこう記されている。

『温水プールに爆弾を仕掛けた。爆破予定時刻:15時』

「ちなみに、犯人はこの中にいると思ってる」
 環菜の言葉に、生徒達は互いの顔を見回した。桜井 雪華(さくらい・せつか)はハイハイ!と手を挙げて、ハリセンをペシペシいわせながら集まった人々をにらみつけた。
「んなこといってもなー? もっと情報よこさんかい。筆跡、時間帯……いろいろあるやろ?」
 ひょいと予告状を取り上げて確認したところ、真っ白な便箋には蒼学の校章が付いているのを発見した。
「なるほどな。校章が付いているから生徒をうたがっとるわけや。ん? なんやぁ、よく見ると白い毛がついとるなぁ。これ、校長の毛皮ちゃうのん?」
「私の毛皮はそんなに短くないわ、犯人の関係でしょうね。つまらないことを言わないで頂戴。
 教職員も全て帰らせたから、今この学園にいるのは私達だけ。本当に爆発物を仕掛けたのなら、爆発したところを見たいでしょうし。悪戯だったとしても騒ぎになっているところ、見たいでしょ?」
「けど、何で温水プールなんだ? 校長……いや、機関室とかの方がもっともらしいのに」
 山葉 涼司(やまは・りょうじ)の疑問に何人かの生徒がうなずきましたが環菜には何か考えがあるようです。
「とりあえず、捕まえたら適当に仕置きしておいて。あなたの大好きな女子更衣室にも入っていいわよ。くまなく調べて」
「べ、別に、興味ねぇよ」
 涼司は、興味ないと言いつつ、内心『女子更衣室は俺が守る!』という気持ちでいっぱいであった。比賀 一(ひが・はじめ)は午前中全ての授業を寝ていたため、起きたらクラスの人が誰もいなくて校長に聞きに来ただけだったのだが不運にも帰れない雰囲気になってしまっていた。
「あのさ、どうせ皆更衣室行くんだったら帰ってもいいか?」
「あなた、私が困っているのに無関係を主張するとはいい度胸ね」
「わ、わーったよ。手伝えばいいんだろー?」
「そうよ、働きなさい。蟻のように」
 はぁ、こんな金にもならなそうなことをやるより寝ていたほうがマシだ。しかし、断ったら見せしめに何をされるかわからないため一はトボトボと校長室を出て行った。


 蒼学にあるプールの1つに爆弾が仕掛けられたようだが、データからその可能性があるものは比較的簡単に割り出せ、蒼学との事後確認のため校長室にいた御茶ノ水 千代(おちゃのみず・ちよ)は、スペシャリストの立場からこう進言した。
「集まった人間が親しいものばかりなのに、いまいち根拠が薄いです。爆破テロは重大犯罪、教導団法務科員としては、法の裁きを受けさせるべきだと……」
「それは、私のことも疑っているということかしら?」
「そうは申しませんが、事件が終わるまで護衛も兼ねておそばに置かせていただきたく思います」
 やや険悪な空気が校長室を包んだが、遠くから近付いてくる足音のおかげで全員の注意がそちらにそれる。


「神聖なるのぞきスポットを守る為、オレ達のぞき部も捜査に協力させてもらうぜ! ぜぇぜぇ」
 一番最初に弥涼 総司(いすず・そうじ)が授業終了と同時に砂埃を上げながら駆け込んできた。フェレットのなつめは落ちないように必死で肩にしがみついている。
「……好きになさい」
 環菜は総司の足元に温水プールの地図を投げると見下したような視線を向ける。
「あ、のぞきは犯罪だからな」
 千代は環菜に対するときとは全く違う存在な言葉遣いで、のぞき部部長に警告した。部長はにやりと笑うと、来た時以上のスピードで校長室を走って出て行った。
「のぞき部とは……?」
 千代があきれながら質問すると、環菜は目をそらしながら重い口を開く。
「認めたくないけど我が校の人気部活動よ。ただ、今回は対抗勢力を発足させたわ。彼らの名前は蒼学警察。まあ、そういうと格好いいけどただの風紀委員よ。一日限りかもしれないけど、頑張ってほしいものね」 
「ともかく、ウチより目立つとは許せんやっちゃ! 気合い入れて犯人捜すで!!」

 雪華はハリセンをぶん回しながら総司の後を追いかけて行った。

 樹月 刀真(きづき・とうま)は校長を疑う人たちを見ながら温水プールの方向を見て、爆弾が実際にあった場合を考える。
「温水プールを爆破とか環菜に捕まったら殺されますよ…社会的に」
 そう言うと携帯電話を取り出す。漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は刀真から連絡を受けると、水着を服の下に着込んで温水プールに向かっていった。