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リアクション
第4章 IWE「POWER FANTASY」/司馬ビジネス塾「明日のリーダーはこちらまで」
「続いては
プログラムNO.4、IWE、『イルミンスール・レスリング・エンタテイメント』。
プログラムNO.5、『司馬ビジネス塾』。続けてどうぞ」
暗い画面の中に、突如としてスモークが吹き上がり、レーザーの光条が踊った。重低音のドラムがビートを刻み、ハードロックのBGMが鳴り始める。
その中を、スモークの向こうから人影が現れた。
周囲から歓声とコールを浴びながら歩み出るのはイルミンスール森の精 いるみん(いるみんすーるもりのせい・いるみん)。
――ワアァァァ!
――いーるーみん! いーるーみん!
降り注ぐ「いるみん」コール。あちこちで光るカメラのストロボ。「司馬ビジネス塾」のロゴが入ったガウンをまとい、いるみんはゆっくりと入場路を歩み進んでいく。
次々と差し挟まれる映像。
――いるみんのフライングクロスチョップで倒れる相手レスラー。
――マットに倒れた相手レスラーを前に、コーナーポストから体を踊らせムーンサルトプレスをするいるみん。
――相手レスラーのブレーンバスターを空中で体を入れ替えて外し、逆にバックドロップをしかけるいるみん。
――他流試合で、道着を着た空手使いから顔面に正拳を喰らってもひるまないいるみん。
――逆エビ固めをかけられて、苦悶の表情を浮かべながらも決してギブアップしないいるみん。
いるみんはトップロープをフワリと飛び越え、マットに降り立つと、ガウンを脱ぎ捨てて腕を突き上げ「オオオオオ!」と吼えた。
その姿に被さる文字と、ボイス。
「IWE! イルミンスール・レスリング・エンターテイメント!」
画面の下に、文字が入った。「IWE >検索」
さらに画面隅に、大きめの文字で「提供:司馬ビジネス塾」のロゴが入る。
映像が切り替わる。
軽快なBGMを流しながら、雑居ビルが映る。画面の隅には「協力:蒼空歌劇団俳優会
」の表示。
いくつもの動画が横にワイプしながら次々に画面に現れては消える。映る動画は、教壇の司馬懿 仲達(しばい・ちゅうたつ)が熱弁を振るう姿や、座席に座っている受講生のリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)、ソルファイン・アンフィニス(そるふぁいん・あんふぃにす)、ヴィゼント・ショートホーン(びぜんと・しょーとほーん)、サンドラ・キャッツアイ(さんどら・きゃっつあい)が、真剣に講義を聴き、時折ノートにペンを走らせる姿である。
仲達のナレーションが入った。
「司馬ビジネス塾は、明日のシャンバラ経済を担うビジネスリーダーを育成する、社会人向けビジネススクールです。
司馬八達の一人にして晋国の祖、司馬懿が貴方を成長著しいシャンバラ経済の第一線で戦えるトップマネジメントとして鍛え上げます。
なお、当塾では塾生以外でも、ビジネス(アクション)に関するお悩み相談を簡単なものでよろしければ承っております。
場所は空京駅より徒歩10分。
商店街の中ほどにあるビルの1Fとなっております。
詳しいお問い合わせは○××××△○○△か塾長宛メールでお気軽にどうぞ」
最後の台詞とともに、画面下部にあった連絡先が少し大きくなり、画面に大きく「司馬ビジネス塾」のロゴが出てくる。
「司馬ビジネス塾 で検索して下さい」
そのナレーションとともに、「司馬ビジネス塾 >検索」の文字が表示された。
「何かを学びたい、というニーズについては、単純に戦闘能力を上げる『武術』『白兵武器』等の需要が高いと思います。
そんな中、なぜ『ビジネス塾』なのでしょうか?
本PVの企画をされたアルツール・ライヘンベルガー(あるつーる・らいへんべるがー)さんにお話を伺いたいと思います」
差し出されたマイクに、アルツールは答えた。
「個人、あるいは団体での戦闘能力というのは確かに重要であろう。
だが、激動する情勢の中、個々人の武力だけを解決手段とするやり方は早々行き詰まりを見せるのは間違いない。
そんな時求められるのは、人に立ち、人を引きつけ率いていくリーダーの存在だ」
「武器や魔法等の個人技に習熟するのも重要ですが、それに長けた人を活用する事が、いずれ求められていく、と?」
その通り、とアルツールは頷いた。
「無論、リーダーとは誰かより偉いとか、誰かを味方につけてこき使う、という話にはとどまらない。相応の責任を負う覚悟や、状況を見抜く確かな眼、何より実現していく将来へのビジョンをしっかり持っていなければならない。逆に言えばそれらを備えた者はリーダーたる資質と、そして使命を担っているのだ。
混乱の世を生き抜くだけではなく、変えていこうとする者は、是非司馬ビジネス塾に来て欲しい。時代と次代を率いんとする若き英雄の卵よ、我らの門戸はいつでも開放しているぞ!」
「ありがとうございました。では、司馬ビジネス塾さんの提供をうけております『IWE』のいるみんさん、一言」
いるみんはマイクを受け取ると、立ち上がって観客席を見渡した。
「『プロレスリングはショーじゃないか』と笑うヤツらがいる。
そう、プロレスはショーだ。否定はしない。
だからこそ、私達IWEは、見ている人に感動を与えたい! なぜなら我々は『プロ』のレスラーだからだ!
『ファンタジーはもう飽きた』と言っている人よ。魔法やドラゴン、妖精とかだけがファンタジーではないぞ! 我々IWEは、鍛え抜いたこの肉体で、極上のファンタジーをお見せしよう!
練習生も随時受付中だ、ぜひ一度、IWEまで来て欲しい!」
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