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トリック・オア・コントラクト!

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トリック・オア・コントラクト!
トリック・オア・コントラクト! トリック・オア・コントラクト!

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■□■3■□■ 泉 美緒とラズィーヤ

百合園生の泉 美緒は、
真っ黒い布をかぶって魔法使いのつもりの如月 正悟(きさらぎ・しょうご)と再会していた。
「トリック・オア・トリート!」
正悟は、以前、美緒の胸を鷲づかんだ借りがあるからと、
もしいたずらを選択した場合は、
手作りの猫耳としっぽをつけようと考えていた。
「では、お菓子をさしあげますわ」
しかし、さすがに天然といえど、
胸をつかまれた相手に「いたずらしてほしい」とは美緒も思わなかったのだった。
「えー……ありがとう……」
正悟は、おあずけをくらった子犬のようにショボンとする。
「猫耳を持ってらっしゃいますの?
あなたがつけられたら猫耳魔法使いですわね」
「にゃ、にゃー……」
しかたないので、美緒の言うとおりに、猫耳としっぽをつける正悟であった。

★☆★

そこに、
黒を基調としたエプロンドレスを着て、
頭に黒のリボン、黒と白の縞々ニーソックスを履き、
おもちゃの包丁を携えた「ダークアリス」の格好の
神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)と、
口におもちゃの牙を付け、
おっきな胸を強調したセクシーなバニーガールの衣装の
「ヴォーパル『バニーさん』」の格好のミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)が現れた。
同じ百合園生なのに、まだちゃんと話したことがない美緒に挨拶しようとやってきたのだ。
「トリック・オア・トリート☆
美緒さんですよね。
初めまして、私、神楽坂 有栖と申します。
もし良ければ、私達と一緒にパーティーを楽しみませんか?
あ、これ、お近づきの印です♪」
有栖は、手作りのカボチャクッキーを渡す。
「まあ、ありがとうございます」
美緒は笑顔で受け取り、その様子を見ていたミルフィがツッコミを入れる。
「お嬢様、無条件でお菓子を渡してはハロウィンになりませんわ」
「あ☆ そうでした」
有栖は舌を出す。
「これ、とってもおいしいですわ」
「ありがとうございます。私、お料理クラブに入ってるんですよー」
カボチャクッキーを喜ぶ美緒と有栖が談笑していると、
ミルフィは、急に美緒に接近する。
「美緒様、ちょっと失礼致しますわ」
ミルフィは、美緒の胸をじっと見つめた後、いきなり胸にさわった。
「きゃあ!?」
「わたくしのにも劣らずご立派な……美緒様、
わたくし達、良い『きょぬー友達』になれそうですわね♪」
「きょぬー友達って……」
美緒の手をしっかと握るミルフィに、有栖は苦笑する。
「えっと、その……きょぬー友達とは何かよくわかりませんが……。
どうぞよろしくお願いいたしますわ」
驚いていた美緒だが、友達になりたいと言われたので、
笑顔で握手を返す。
(女の子は、胸にさわってもそんなに怒られないからズルいよな……)
正悟は、指をくわえてその様子を見ているのであった。

★☆★

一方、ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)の近くでは。

美緒とミルフィの様子を見て、
猫又【ちーにゃんこ】に変装していた朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)が、
ラズィーヤに聞く。
「ラズィーヤにゃん、ラズィーヤにゃん。
無礼講だと聞いたので、聞きたいことがあるにゃん。
ラズィーヤにゃん、GLについてどう思いますかにゃ?
百合園はユリユリなGLが多そうにゃ?
ラズィーヤにゃんはもし同性から求愛されたらどうするにゃ?」
(……何を言ってるんだ、私)
言ってから内心で素に戻る千歳であったが、
千歳のパートナーのイルマ・レスト(いるま・れすと)とおそろいの魔女の仮装のラズィーヤは言う。
「恋愛に性別は関係ありませんわ。
かわいければそれでよろしくてよ」
(なるほど、確かに百合園には百合って多そうですし、
聡明でお美しいラズィーヤ様に、心惹かれる乙女も少なくないと思いますもの。
私は……さあ、どうでしょう)
イルマは、ラズィーヤ様ファンクラブの代表である。
「なるほどにゃー、参考になりましたにゃ」
千歳はパラミタがくしゅうちょう、「通称・ラズィーヤファイル」に記録を取りながら言う。
(そういえば、かわいければよいということですけれど、
静香校長のことは、ラズィーヤ様はどう思ってらっしゃるのかしら)
イルマは、そんなことも、こっそり思うのであった。