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赤ずきんちゃんと、おおかみ。

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赤ずきんちゃんと、おおかみ。

リアクション


■第三章

「……何の音?」
 湖が見える森の中から、こっそりと赤ずきん達の様子を窺っていた久世 沙幸(くぜ・さゆき)が、後方から聞こえた音に振り向く。
 まず目に入ったのは、ぼさぼさの黒髪を振り乱しながら走ってくる一人の男。
 そして、次に目に入ったのは――荒れ狂う狼の集団だった。
「え、と……ちょっと、何これ!?」
 慌てて隠れていた場所から、沙幸が飛び出す。

 やがて、開けた湖畔を埋め尽くすように、狼達が森の中から現れた。
「また……これはえらい団体さんだねぇ」
 眠そうな表情で、突然現れた狼達を見ながらクド・ストレイフ(くど・すとれいふ)が両手に銃を構える。そしてそのまま、狙いを付ける事もなく狼の群れに向かって引き金を引いていく。適当に放たれた光の弾丸は、数匹の狼を貫いて鮮血を上げた。
「ま、存分にお相手しますかねぇ」
 そう言って、熱せられた銃身から立ち上がる蒸気を、欠伸で掻き消す。
「予定調和、ですかね」
 突然現れた狼達に、さして驚いた表情も見せない赤ずきんを横目で見ながら、戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)が身に付けたパワードアームの出力を上げた。
 陣形も戦術も無く、ただ本能的に飛び掛ってくる狼の牙を腕で受け、空いた手で力任せに殴りつけていく。
(赤ずきんに殺意も悪意も見えないうちは、どうにも手が出せないですから、ね)
 小次郎は視線の中から赤ずきんを外さないように注力しながら、次々と溢れかえる狼達を薙ぎ払っていった。

 縦横無尽に駆け回る狼の一匹が、雷霆 リナリエッタ(らいてい・りなりえった)の背後から急襲を仕掛ける。体重を乗せたその一撃に、リナリエッタが膝を付くと、狼達がここぞとばかりに覆い被さった。
「んっ……何、ケダモノは呼んでないわよぉ」
 涎を垂らしながら牙を剥く狼の顔を銃身で殴りつけると、リナリエッタの顔に血が飛び散った。
 半身だけを起こし、さらに襲い掛かろうとする狼達に向けて機関銃の引き金を引く。
「頭吹き飛ばされる覚悟があるなら、お相手するわよぉ?」
 血に塗れながら笑みを浮かべるリナリエッタに、狼達は唸り声を上げてたじろいだ。

「ま、待て待て! オオカミも生きているのだ! そう簡単に殺生するでない!」
 現れた狼達を迎撃する周囲の人間に、リン・ルーファ(りん・るーふぁ)が声を掛けている。幼い頃、獣――とりわけ、狼に世話をしてもらった過去があるリンは、例え威嚇をしていても、無碍に攻撃をする気にはならなかった。
 飛び掛ってくる狼にも、手持ちの武器は使わずに、頭を押さえて制止しようとする。
「頼む……落ち着いてくれ」
 願い、囁く。
 しかしそれは狼に届くことは無く、血走った瞳をリンに向け続けていた。

「オオカミさん、こんにちはー。このカレーどうぞー」
 眉間に皺を寄せるリンと、抵抗を続けてた狼に、ふんわりとした挨拶が掛けられる。
 そして、目の前に差し出されたのは、何故かカレー。
 七瀬 歩(ななせ・あゆむ)は、差し出したカレーを狼の前に置くと、両手を広げて「どうぞ」と、笑顔を向けた。
 湯気を立てるカレーから、香辛料の香りが湖畔一面に広がっていく。
「…………え?」
 リンが、周りの光景に目を見開いた。現れた狼達の動きが、次第に緩やかになっている。
「お腹、空いてたんだよね?」
 歩が、尻尾を振る狼の頭を撫でながら微笑んだ。

「……駄目。駄目だよ。このお話にハッピーエンドなんて、似合わない」
 すっかり懐柔された狼達を見て、ハツネがつまらなそうに呟いた。そして、虚ろな目を赤ずきんに向けたまま、近づいていく。
 周囲の光景を見ていた赤ずきんが、近づくハツネに気が付いて顔を向けた。
「ハツネ……赤ずきんと仲良くなれそうな気がするの」
 開口一番、そう静かに告げる。赤ずきんは少しだけ首をかしげながら、それを聞いていた。
「赤ずきんとハツネは似た者同士だから。ハツネは壊せれば満足。赤ずきんは食べられれば満足。……ほら、利害が一致したの」
 ね? と笑いかけながら、ハツネは赤ずきんの頬を撫でる。
「だから……『屠殺ごっこ』をしましょ? 私が『狼』さんを倒して、壊して、赤ずきんが食べられる様にしてあげるの」
 一方的な宣言。赤ずきんの頬から指を離したハツネが、素早く下がる。
 微笑みながら、踊るように手にした刀を振るうと、短い鳴き声と共に一匹の狼が崩れ落ちた。

 ――再び、狼達が唸り声を上げる。明確に、殺意を纏って。
「……うん、たしかにダメだね。これじゃダメ」
 狼を切り崩し続けるハツネを見て、赤ずきんは悲しそうに目を伏せた。



 ――湖畔から、程なく離れた森の中。
「ごめんください」
 一見すれば、廃屋にすら見えるほどに荒れた建物を前に、関谷 未憂(せきや・みゆう)が丁寧に声をかけながらドアノッカーを軽く打ち付けていた。建物の中からは、反応が無い。
「……今日はこちらでパーティがあると伺って来ました」
 気持ち悪いほど静寂に包まれた空気を払拭するかのように、未憂はノッカーを叩きながら声を掛ける。
「あの……お留守、かも……」
 未憂の背後から、プリム・フラアリー(ぷりむ・ふらありー)が、小さな声で呟いた。その手には、色とりどりのお菓子が持たれている。
 その言葉を聞いた未憂の顔が、不意に上を向く。プリムがその視線を追うと、人気が無い建物から伸びた煙突には、煙が上がっていた。
「未憂ちゃん、離れてて」
 眉尻を下げる未憂に、桐生 円(きりゅう・まどか)が声を掛け、ドアに耳を当てた。
 木製のドアを通して聞こえるのは、薪が燃え、時折パチパチと鳴る音。それ以外は、何も聞こえてこない。
(誰もいない? それとも……罠、かな?)
 慎重にノブを引くが、施錠されているのか力をこめてもドアは開かない。
 円は胸元から、一対のヘラ状になっている金属を取り出す。
「開きそうか?」
 目を閉じて鍵穴を探る円に、高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)が声を掛ける。円は返事をする代わりに手を止め、自らの唇に人差し指を当てた。
 ゆっくりと、金属片を回す円の手元で、カチリ、と小さな音が上がる。
「開いた、みたいですねぇ」
 白いずきんの少女に被せて少しでも物語を変えよう、と用意した赤い頭巾をギュッと握り締めながら、神代 明日香(かみしろ・あすか)が口を開いた。
「……入るよ」
 円が、ゆっくりとドアを開く。
 途中まで開いたドアから、中を覗き見た円が――突然、後方に飛んだ。
 緊張した空気が、その場に広がる。
「何だ!?」
 刀を構えて、自分の背後に未憂を移動させながら悠司が警戒の色を濃くする。
 その様子に、明日香も自らの箒を手に真剣な眼差しをドアに向けた。
「――か、かかし」
「……かかし、ですか?」
 円が口にした言葉を、未憂が繰り返して、悠司の脇からドアを覗き見る。
 建物の中では、暖炉の火に照らされたロッキングチェアーが、音も無く揺れていた。
 そして、その椅子には何故か藁で作られた、かかしが座っている。丁寧に結われたかかしの顔には、布が巻いてあった。
「びっくりしたよ……」
 見たところ、時に何の変哲も無いかかしのようだ。

 未憂達が、部屋の中に入って中を調べる。
 暖かい空気に包まれた部屋には、ベッドと椅子、それに申し訳程度に置かれた本棚があった。棚の中は、見たこともない文字で彩られた本が所狭しと並べられている。
「これは……?」
 プリムが、棚の上に置かれた写真立てを手にした。
 セピア色の写真の中では、幼い子供を抱きかかる女性がこちらに笑いかけている。
 そして、その女性の傍らには、一匹の狼が尻尾を丸めて眠っていた。
「誰もいませんねぇ」
 キッチンを覗き込みながら、明日香が声を上げたとき、ドアが軋んだ音を上げた。
 外から顔を覗かせていたのは、狼の顔。
 部屋の中にいた全員が、ドアに向けて武器を構える。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 落ち着け!」
 慌てて、強盗 ヘル(ごうとう・へる)が、両手を顔の前で振り回した。顔は狼だが、首から下はピッチリとしたウェットスーツに包まれている。
「まぁ、そうなりますよね、当然」
「わかってるなら、俺を先に行かせるなよ……」
 後ろで苦笑するザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)に、ヘルが困った顔をしながらカウボーイハットを目深に被った。
 構えていた武器を下ろす未憂達に、ザカコは丁寧に頭を下げた。

「まず、この家に……おばあさんは居ないんですよね?」
 ザカコの言葉に、一同は頷く。それなら、とザカコは続ける。
「まぁ……単純に言うと、ヘルを狼役にします。見た目も、この通りなので」
 ベッドに腰掛けていたヘルが、カウボーイハットを脱いだ。首から上だけを見れば、確かに狼にしか見えない。
 というよりも、狼そのものだった。
「それは構わないけど……食べられてしまうかもしれないわよ?」
 未憂の言葉に、ザカコはしっかりと首を縦に振った。
「構わないです」
「そうそう構わない……わけあるか!」
「冗談ですよ。ひとまずヘルを置いて、身を隠します。もし何かあった際はすぐに助けられるように、室内に。幸い、キッチンやベッドの下など、隠れようと思えば隠れられそうですから」
 激昂するヘルを横目に、ザカコが淡々と説明を続けていく。
 ――と、
「終わりのない救われない物語。全てを見届けることで救世主である私が救世してさしあげましょう!! たとえ登場人物がどうなろうとも! それがどんな結末であれ!」
 突然、開いたままのドアからシメオン・カタストロフ(しめおん・かたすとろふ)が高らかな声と共に現れた。
 口を開いたまま固まるザカコ達を見て、シメオンが片眉を上げる。
「……ん? ゲドー! おばあさんが居ませんよ? これでは救世のしようがないではないですか!」
(……知らないよ! って言うかそんな大声上げてたら、俺様が隠れてる意味無いじゃん)
 家の外で待機していたゲドー・ジャドウ(げどー・じゃどう)が、シメオンの声を聞いて額に手を当てる。
 溜息を一つついて、ゲドーは樹に背中を預けながら、空を見上げた。
(赤ずきん、ねぇ。何だっけ? リンゴを毒リンゴに摩り替えられたけど、柱時計の中にいたから助かったんだっけ? あー……違うか? まぁ、どうでもいいや)
 声を上げ続けるパートナーの声を無視して、頭の中に浮かんだ適当な記憶を繋ぎ合わせながら、ゲドーは空から森の奥に視線を移した。



「和葉、そちらは多分違うって……あぁ、待ちなさい」
「大丈夫だよっ! 多分こっちだから」
 当てもなく『おばあさんの家』を目指して森の中を明後日の方向に突き進む水鏡 和葉(みかがみ・かずは)に引き摺られて、神楽坂 緋翠(かぐらざか・ひすい)は困った顔をしながら周りの樹に印を付けていく。
「って、ここさっきも通りませんでしたか?」
「そう? 気のせいじゃないかな」
 小一時間前に自らが付けた印を見ながら緋翠がうなだれるが、和葉は気にも留めずに歩き続ける。
 右に曲がり左に曲がり、文字通り紆余曲折を経て歩き続けた二人の前に、やがて綺麗な花が咲く湖が現れた。
「あっ、可憐さんだ」
 無邪気に手を振りながら駆け寄る和葉に気が付いて、可憐が手を上げようとする。が、唐突にその顔が青ざめた。
 一際大きな狼が、和葉に向かって口を開き、飛び掛ったのだ。
「和……ッ!」
 反応が遅れた緋翠が、手を伸ばすが――間に合わない。
 しかし、きつく目を閉じて硬直する和葉に、狼の牙が届くことは無かった。
「……大丈夫ですか?」
 そっと目を開く和葉の前には、小次郎が居た。パワードアームの左腕に、狼が牙を突き立てている。
 小次郎が左腕に喰い付き続ける狼の首元を、開いた右腕で掴む。そして、腕から狼の牙を引き抜くと、その頭部が発砲音と共に突然弾けた。
 飛び散る血に、小次郎が眉をひそめる。
 音の先を見ると、リナリエッタが銃口を向けながら笑っていた。

(……ゴメンね。どうしても、確かめなきゃいけないの)
 狼を殺し続けるハツネに感化されて荒ぶる狼達と戦闘を繰り広げる者を見ながら、騎沙良 詩穂(きさら・しほ)が赤ずきんの後ろに回りこんだ。
 手にした杖を振りかざして、赤ずきんの背中に押し当てると同時に、ディテクトエビルを発動させる。
 一筋の光が走り、詩穂の持った杖の先が黒ずんだ。

「……やっぱり、『人喰い狼』なの?」
 詩穂が悲しそうな表情を浮かべながら素早く距離を取って、炎を放つ。
 突然、周囲を炎に包まれた赤ずきんが、その熱気に思わず咳き込む。膝を付き、涙を流して座り込む。
 それを見た狼達が、燃え上がる炎を取り囲んで、次々に鳴き始めた。

 ――その時、炎の中にいた赤ずきんに、異変が起こった。
 赤ずきんが被っている頭巾の一部が、盛り上がる。
 額からは血が流れ、腕には少女に似つかわしくない毛が生え揃い始めた。
 小さな手は、鋭利な爪を持った獣のそれに変貌していく。
 中から頭巾を押し上げていた物が、溢れ出るように外に出る。それは、狼の耳だった。
 泣いてひしゃげた口から除く歯が、やがて牙に変わっていく。
 鳴き声が、唸り声に変わる頃には、白かったずきんが少女の血によって、赤く――赤黒く、変色していた。
 『赤ずきん』が、涙と血で濡れた頭を振ると、躍進して炎の輪から飛び出す。
 その姿は、完全な狼ではなかった。
 身に着けていた服の下から覗いていた白い肌は、獣の毛で覆われている。
 何より他の狼とは違うのは、炎を背にして二本の足で立っている事だった。
「人狼……?」
 少女の面影を残す瞳と、あまりにも不釣合いな容貌を見て、詩穂がわずかに後ずさる。

「クロクロ、行くよ!」
「無理したらダメよ、シロシロ」
 炎から現れた赤ずきんに、真白 雪白(ましろ・ゆきしろ)が駆け出す。後を追うように、真黒 由二黒(まくろ・ゆにくろ)も走り出した。
 由二黒が走りながら、手にする杖の先端部分を回転させる。仕込まれたルーンが淡い光を放って雪白の身体を包み込んだ。
「手加減はしないよ!」
 手にした銃が帯電を始めるのを見てから、雪白が引き金を引く。発射されたのは、通常の弾丸ではなく矢のように細長い弾丸だった。
 青白い軌跡を残しながら飛翔する弾丸を、赤ずきんが避ける。
「あら……避けない方がマシだったかもしれないわよ?」
 由二黒がそう言って杖を掲げると、雷光が降り注ぎ、赤ずきんの身体を焦がしていく。
 焼け焦げた身体から白煙を上げながら、赤ずきんが腕を振り上げ、真白達へ向けた。
 腕の動きを追従するように、周りにいた狼達が、まるで大砲の様に次々と飛び掛ってくる。
 真白が捌ききれない牙や爪に血を流し始めた頃、数で押し切ろうとする狼の集団の中心から、炎が吹き上がった。
「全部、燃やしちゃえばいいんだよね」
 笑顔で杖を振るいながら、詩穂が笑う。
 従える狼達を攻撃する詩穂に、赤ずきんが疾走。勢いを利用して体当たりを仕掛けるが、詩穂はその攻撃を跳躍し手回避した。
 着地してなお、追撃をしようとする詩穂に、死角から刀が伸びてくる。
「まだ、ちょっと見た目が変わったぐらいですよね?」
「そうね……ま、この状況じゃ、食べられる可能性も否めないけれど」
 その声に反応して振り向こうとするも、眼前に刃を仕込んだ竹箒を突きつけられ、動きを止められた。
 詩穂の動きを抑止しながら、司とケイオースは互いに赤ずきんを見ていた。
「どういうつもり?」
「あれを」
 眼鏡の奥で、怒りを携えた瞳が光っている。そんな詩穂に向かって、司は短く口を開いて戦場の隅を見た。

「ずっと、ずっと昔から、赤ずきんは……友達です!」
 赤ずきんにも聞こえるように、大きな声を上げながら荀 灌(じゅん・かん)が駆け、攻撃を続ける雪白に剣を振りぬく。
「……もうあれは既に赤ずきんじゃないと思うわよ?」
 必死に剣を振る灌に向かって、由二黒が杖を向ける。しかし、その杖から炎が放たれる寸前、目の前にターマルクが飛び出して、身代わりとばかりに攻撃を受けた。
「僕は、騎士ですから……一度引き受けた護衛は、終わるまでやり遂げますよ」
 『赤ずきん』を守る為に、人狼と化した少女に向けられる攻撃をターマルクがその身に受けていく。

「…………ふむ」
 赤ずきんと、それを取り巻く人間を見ながら、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は淡々と狼と戦っていた。
 あくまでも、物語の主軸には関わりすぎないように、と狼を気絶させていく。
「も、もういいのではないか? このままでは登場人物としてカウントされてしまう」
 あくまでもマイペースに行動を続ける唯斗に、エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が声を掛ける。が、唯斗はチラ、と視線を向けるだけで、特に何も言わなかった。
「怖くないです。大丈夫です。何も起きないです。怖くないです」
「えっと……大丈夫、ですか?」
 エクスの傍らでひたすら念仏の様に「怖くない」と口にし続けるプラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)の肩に、紫月 睡蓮(しづき・すいれん)が手を置いた。
 プラチナムが、手が置かれた瞬間に短い悲鳴を上げ、動きを止める。
「えっ……と?」
 目の前で手を振っても動かなくなったプラチナムに、睡蓮が困惑している中、戦況に変化が起きた。