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たま☆るさんイラスト500枚突破記念 エンジョイ!たまカフェ!

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オープン カフェ

「え、なになに? タイプ別5色の制服で一日接客スタッフ募集ですかぁ?」

ルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)が、差し出されたチラシから、もじもじと俯くたま☆るに視線を移す。

「これ、お一人で配っているんですかぁ? 店長さんはどなた?」

「じ……自分が店長だぬ……」

「店長さんって、何かあればお店にいないとまずいでしょう? 
 一人でチラシ配りじゃ大変すぎますよねぇ……わかりました、私、チラシ配りのお手伝いをしましょ。
 ……そうですぅ、アルトリアちゃんにも手伝ってもらうことにするですぅ」

即断即決。ルーシェリアは店につくや、アイスココアの色味は渋いながら、レース使いもかわいい制服に身を包み、即座にパートナーのアルトリア・セイバー(あるとりあ・せいばー)を呼び出す。

「と、いうわけで、これを着てチラシ配りに行くのですぅ」

選び出された制服は、フリルたっぷり、リボンやレースのかわいらしいストロベリー・ラテ。

「普段から自分に可愛い服を着せようとしてるのはわかってましたが、
 店長さんもお困りのようですし……断ることはできませんね……
 ……しかしこんなフリフリな、しかもキュートピンクの制服って……」

戸惑いながらも、アトルリアは制服を身に付け、チラシを入れた小さいバスケットを手にする。ルーシェリアがそれを見て叫ぶ。

「きゃ〜〜! アトルリアちゃん可愛い〜〜!」

「……ルーシェリア殿も大変可愛らしいですよ」

「ね、ね、ちょっとくるっと回ってみてっ!」

ルーシェリアの言葉に、おずおずとその場でフリフリのスカートを翻し、アトルリアがぎこちなく一回転してみせる。

「こ……こうですか?」

つくづくしみじみと二人を見て、たいむちゃんも頷く。

「これなら完璧。注目されること請け合いね。
 お二人とも、チラシ配りよろしくね」

「はぁ〜〜い」

「了解いたしました!」

リュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)は、たまカフェの前に車を止めた。

「たまカフェ……うーん、オレも空京で花屋してますけど、この店は知りませんでしたね。
 迷わず着けてよかった。しかしパートナーが都合つかなくて一人なのでちょっと大変かな……」

フィリップ君が案内に出てきた。

「パーティ用の花、セットでお幾らになりますか?」

「お代? ああ、別にいいですよ、同じ空京の商店からのお祝いということで」

「それはどうもありがとうございます!
 ……ええと、テーブルがいくつかと、あと……」

「無理しない程度に動いた方が良いとは言うが、さすがにこの暑さはきついな」

蓮見 朱里(はすみ・しゅり)が、眩しげに高い青空を見上げてつぶやいた。

そばに付き添うように立っていたアイン・ブラウ(あいん・ぶらう)は、すぐそばにやってきていたたま☆るから、チラシを受け取った。

「き、今日記念パーティなんだぬ……良かったら寄ってみてください」

アインはチラシを一瞥すると、妊娠中の朱里を気遣って言った。

「お、このカフェ、すぐ近くのようだし丁度いい、一休みしたらどうだ」

「ここまで結構歩き詰めだったからな、少し座りたいし……」

チラシに記載された地図をもとに店の前まで来ると、ちょうどリュースが店のトラックから大きな籠に盛った花を運んでいるところだった。

「あ、アインさん、ちょうどいい所に!」

リュースが輝くような笑みを浮かべる。

「ん? どうした、なんだ一人でやってるのか? 大変だろう、力仕事なら手伝おう」

「やあ、ありがとうございます。
 花を配送用トラックから下ろす作業、手伝ってもらっていいですか?」

「遠慮はいらんさ。旧知の間柄だし、こういう仕事は慣れている」

朱里も声をかける。

「せっかくだからアインと一緒に手伝うよ。店内は涼しいし、座ってできる作業だ」

「すみません、お言葉に甘えさせてもらいます。じゃ蓮見さんは、リボンを切る作業を手伝って下さい」

朱里は店内を見回した。

「せっかくこれだけおしゃれな店内だから、リボンも結ぶだけじゃなく、装飾的にしたらいいな。
 手芸くらぶコミュメンバーとして、腕の見せ所だな」

彼女は奥まったテーブルにつくと、届いた花かごのイメージにと店の雰囲気に合わせたリボン飾りなどを手際よく作っていった。アインはリュースの指示に従って、大きな花かごを運び下ろし、店内の各所に大まかに配置してゆく。し、微調整や花の向きなどの最終調整は、リュースが動線や照明の当たり方、テーブル配置などを見つつ丁寧に手際よく行ってゆく。

 茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)は一人静かに聖堂で祈りをささげていたが、ふと嫌な予感にとらわれた。認めるのも嫌だが、パートナーになってしまったキャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)のことが、頭をよぎる。またなにか人様に多大な迷惑をかけているのかもしれない。

「もしやこれは……神の……?」

清音は祈った。

当のキャンディスは旧暦でももうすでに間に合っていない、しかもかなりくたびれた外見の笹飾りくんのコスプレでたまたま店の前を通りかかったところであった。店から出てきたアトルリアとぶつかりそうになる。数枚のチラシがバスケットから落ちる。

「あ、あ、申し訳ありません!」

謝りつつチラシを拾うアトルリアとルーシェリアの二人。

「いいのよ。 ……なあにこれ、チラシ?」

「はい、今日が記念パーティなのです。よろしくお願いします!」

「よろしくなのですぅ」

キャンディスはチラシを見た瞬間、何かひらめくものを感じた。

(こ、これは天啓かもしれないのだワ!!)

「ふ〜〜ん。……って、ここがそのカフェなのね? 店長さんってお店にいるのかしら?」

ずいと店に入る。ピンクのテントという外見だが、店内はなかなかどうして、上品で小洒落たカフェといった佇まいである。

「アラ。悪くないわネ……あなたが店長さん?」

たま☆るを捕まえて、どっかとカウンターのいすに腰をかける。

「……そ、そうだぬ」

「ろくりんピックの公式マスコットとして、及ばずながら力を貸すワヨ。
 ミーは世間的にはメジャーゆる族という位置づけですからね」

……どう見てもキャンディスの外見は、どこかのスーパーで子供に体当たりされたり、泣かれたりするよれよれの着ぐるみである。そう。彼女は実力は?であるくせに、自分の最終的な成功に根拠のない自信を持っている類の人間……もとい、ゆる族なのである。

(たまカフェが軌道に乗れば、将来たかる事もできるはずネ)

キャンディスの演説は次第に白熱化してゆく。

「出店というのはスタートであって最終目標じゃないのヨ!
 どんなお店にして、どんな客層をターゲットにするか、そしてこの店を足がかりにして何を目指すノカ?
 そこが肝心要なのヨ!! わかる?」

「は……はぁ……」

言っている事はまともであるのだが。
キャンディスがドン! とカウンターを叩いてたま☆るに向き直る。

「この、ドジで……」

その瞬間だった。
はるか遠く離れた百合園学園の聖堂で、祈っていた清音がカッと目を見開く。
何か言いかけたキャンディスがすさまじい光を放っていすごと床にひっくり返った。奥で打ち合わせをしていたフィリップ君とたいむちゃんが何事かと飛び出してきたくらいの光だ。

「……天誅」

清音は再び心静かに、祈りをささげ始めた。

たま☆るは先ほどの光術をもろに受けて伸びているキャンディスを、作業の合間を縫ってアインに手伝ってもらい、従業員控え室の奥の仮眠室へ運んでもらったあと、再びチラシ配りに出て行った。

フィリップ君とたいむちゃんはテーブル配置を見直したり、裏方で使用しそうな食材の確認等を手際よく行っていく。(おそらく)パーティとしては前代未聞の調理、給仕スタッフ募集、装花、営業同時進行あろう。

はたして記念すべき一日となるのか。たまカフェの運命やいかに。