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偽ロリ教師と盗賊とさらわれた子供達

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偽ロリ教師と盗賊とさらわれた子供達

リアクション

「アーシア、アーシアー」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)と共に、アーシアを探して歩いていた。
 ダリルのテレパシーにより呼びかけはしてみたものの、特に返答の類などは無かった。
 そういう状況にない、という可能性が濃厚だが……。
「アーシア先生ー! 無事に帰れば、他の先生方が、身を呈して子供達を救った功績を評価して昇給させるよう校長に掛け合うそうですよー!」
「すっごい嘘つくね、君。つーか実現しても蹴散らされて終わると思うなー、先生は」
 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)の声に答えたかのように、道の向こうからアーシアが走ってくる。
 その後ろには、ひとさらい達と思わしき集団。
「ま、待ち伏せだとぉ!」
「お頭、どうしましょう!」
「かまうもんか、全員やっちまえ!」
 その言葉に返礼するかのように、ダリルの魔銃ケルベロスが火を噴く。
「ひ、ひるむな! こっちにだって銃があるんだ! あのガキを人質に……」
「させませんよ」
 青く長い髪を揺らしながらアーシアの盾になるように現れたのは、マクフェイル・ネイビー(まくふぇいる・ねいびー)だった。
 マクフェイルが自分の体を盾にするようにアーシアをガードすることで、ひとさらい達はアーシアを狙えなくなる。
 更に、マクフェイルという人間が一人増えたことで、突撃するにも躊躇する。
 だが、それが更にひとさらい達の勝機を遠ざける。
「警告します。貴方では私は倒せません」
 ひとさらい達を挟み撃ちするような位置に現れたのは、ヒルデガルド・ブリュンヒルデ(ひるでがるど・ぶりゅんひるで)
 その背後には武崎 幸祐(たけざき・ゆきひろ)蘇 妲己(そ・だっき)の姿もある。
「ヒルデガルド、掃討しろ」
「了解。敵勢力の掃討を開始します」
 幸祐の指示でアクロバティックな動きでひとさらい達に突っ込んでいくヒルデガルドに追われるように突っ込んできたひとさらいを、エヴァルトは軽く投げ飛ばす。
 そして、突如聞こえてくるひぐらしの鳴き声。
 エヴァルトが振り向くと、ルカルカが自慢げにナタを持って佇んでいる。
 足元には、倒された盗賊が呻いているのが分かる。
「相手がコロリと転がれば、まさに”ひぐらしのナタコロリ”!」
「……だからどうした?」
「え……っと、ナタコロリと鳴く頃にをひっかけて…」
「先生、今のって……?」
「ごめん妲己、先生もわかんないわー」
 妲己とアーシアの会話を受けて、ダリルも溜息をつく。
 何やらマクフェイルも溜息をついているように見えるのは、気のせいだろうか。
「敵勢力、掃討完了です」
「よし……よくやったな」
 大した時間をおかずにひとさらい達は全滅し、幸祐はヒルデガルドを優しく褒める。
 ヒルデガルドが微かに微笑んだのを誰もが優しい気持ちで眺めていると……そこに、神代 明日香(かみしろ・あすか)が現れる。
「減給三か月だそうですよ」
 明日香の一言目は、それだった。
「教師の立場で禁術の記載されている書を無断で持ち出した事。実験中に居眠りして無様に悪党に捕まった事。愛しのエリザベートちゃんのことを無垢な子供に悪魔ロリと呼ばせた事。しかしながら子供を逃がすために囮になった事。もろもろを考慮してたった減給3ヵ月で許してあげるエリザベートちゃんに感謝してくださいね?」
 そこまでを温厚そうに、しかし一気に言うと、明日香は立ち去る。
 今日の明日香は、この伝言だけを伝えにきたのだ。
 他の事をするつもりは、明日香には無い。
「だ、そうですよ?」
「まだ減らす給料があった事に驚きだわー」
 明日香が去った後、そんな会話をするアーシアとエヴァルト。
「子供達も保護されたみたいよ」
「そりゃ何よりだわ。あと先生の胸の成長が吸われるから、それ以上近寄らないでね」
 妲己とアーシアがそんな会話をしていると、ルカルカがアーシアをぎゅっと抱きしめる。
「ルカも一緒に謝ってあげるよ。そもそも、ここで何してたの?」
 それを聞いて、アーシアはそういえば、といった顔をする。
「ああ、そうだった。ボンキュッボンの魔法薬作ってたんだった」
 その言葉を聞いてエヴァルトが、幸祐が、マクフェイルが……誰もがアーシアを見て1つの答えを得た。
「そのままのアーシアが一番だぞ」
「スカした事言ってると性別変えるわよ」
 そんな恐ろしい事を言いながら、薬の所在に思いを馳せる。
 そこが今、どうなっているかを知らないままに。