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ざんすかの森、じゃたの森 【前編】

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ざんすかの森、じゃたの森 【前編】

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 第6章 ジャタ族とじゃたの事情のこと

 そこに、突然、ゴングが鳴りひびく。
 「ビクトリーーッ!!!!」
 教導団軍服を脱ぎ、プロレスパンツ姿のビクトリー・北門(びくとりー・きたかど)が、ざんすかに叫ぶ。
 「ざんすか=ラリアットを使った=レスラー=良いやつ! 攻撃は避けない、それがレスラー! 俺とプロレスで勝負だ!!」
 「プロレス、ざんすか!? 面白い、暴れたりなかったところざんす!」
 ざんすかは、白い歯をみせてにやりと笑い、ビクトリーの前に立つ。
 ビクトリーのパートナーの剣の花嫁百二階堂 くだり(ひゃくにかいどう・くだり)は赤のジャージを羽織った体操服とブルマ姿で、レフェリー兼セコンド兼リングドクター兼実況兼ファンとして参加した。
 良い音のゴングをならし、くだりが試合開始を告げる。
 くだりはメモを取って今後の技の研究に活かすつもりだった。
 「ビクトリーーッ!!」
 「うおおおおおざんす!」

 「おもしろそう! あたしもプロレスやりたいな! もしかしたら、体のぶつかり合いで友情とか生まれちゃったりするんじゃない!?」
 クラーク 波音(くらーく・はのん)も、ジャタ族や他の一同とプロレス大会を始めた。
 「ちょ、ちょっと、波音! 暴走しちゃダメって言っておいたじゃないですか!」
 波音のパートナーの魔女アンナ・アシュボード(あんな・あしゅぼーど)は、ため息をついたが、ジャタ族も皆プロレスに夢中になっており、襲い掛かってくるので、カオスの中、ジャタ族にだけ攻撃していた。
 弁慶の泣き所に蹴りを入れるなど、人の急所をつくように戦うことを試みているアンナに、波音が声をかける。
 「あ、アンナ、見た目に反してけっこう『ヒール』、つまり悪役っぽいんだね?」
 「ええっ、だって、大人の男性相手にどうやって戦えばいいんですか!?」
 波音のように敵味方関係なくドロップキックやらフライングボディアタックをばんばんお見舞いするわけにもいかず、アンナは突っ込みを入れる。

 そして、いつのまにかきていたじゃたもプロレスを見守っていた。
 「おお、じゃた様が現れたぞ!!」
 ジャタ族はじゃたを拝み始め、プロレス大会は、なんとなく、神聖な儀式っぽくなって、事態は一時的に沈静化していった。

 「ビクトリースープレックス!!」
 ビクトリーが決め技を使って見せたのは、ざんすかに自分の技を伝授するためでもあった。
 なお、ビクトリースープレックスとは、ただのジャーマンスープレックスである。
 「ぐあっ!! ま、まけないざんす! うるぁーざんす!」
 「グハアッ!!」
 「ワン! トゥー!! スリィ……2.9!!! 2.9!!!!」
 くだりのカウントはややビクトリーよりで、ちょっと大人気ない。
 「立て〜、立つんだ〜〜!!」
 くだりは眼帯を付けてダミ声で叫んだが、ビクトリーは仰向けに倒れたまま起き上がらない。
 戦い終わってすべて燃焼しきった漢の顔であった。
 魔大樹の炎も、じゃたが来た事で、ビクトリーへのざんすかのKOラリアットとともに消える。
 やはり良い音で、くだりは試合終了のゴングを鳴らす。

 ジャタの魔大樹の炎が消えたので、研究のため来ていた朱宮 満夜(あけみや・まよ)は、雷術で枝の破片を入手しようとした。
 「枝だけ雷でペキッて折れば、これだけ丈夫な木ですから、また生えてきますよね」
 しかし、枝が生えるより前に瘴気が噴き出すのだった。
 パートナーの吸血鬼ミハエル・ローゼンブルグ(みはえる・ろーぜんぶるぐ)は、あわてて満夜にマスクをさせる。
 「地球人の満夜が瘴気に耐えられるかどうかわかんないだろ」
 「え、でも、もう、ここにいる人たち皆、瘴気、吸っちゃってますよね?」
 「あ……」
 満夜の指摘に、ミハエルは硬直した。
 
 ジャタの魔大樹の枝の破片は佐々木 真彦(ささき・まさひこ)も一緒に入手していた。
 真彦は、一足早く学校に持ち帰り、アーデルハイトに解説を受けていた。
 「ジャタの魔大樹や森に有用性が見つかれば、ジャタの魔大樹を枯らす必要性が薄れますから、共存の可能性が出ると思います。どうでしょうか」
 真彦の問いに、アーデルハイトは、うなずいて見せた。
 「うむ、ジャタの魔大樹は、毒を吸収して急速に成長する力を持っておる。だから、除草剤も栄養剤と同じなのじゃ。しかし、一気に毒を集めすぎると、危険かもしれんのう……」


 魔大樹から少しはなれた場所で瘴気を集める儀式を行っていたらしいグレートマシンガンが、姿を現した。
 「ガハハハハハ!! 除草剤を撒いたり燃やしたりするとは、わざわざ魔大樹に栄養をそそいでくれたのだな! このまま一気に毒を吸収し続ければ、ジャタの魔大樹は暴走して、破壊兵器として完成するのだ!!」
 グレートマシンガンは、ベラベラと野望を話す。
 「これで、俺の目的に一歩近づいたぞ! 鏖殺寺院は本当に役に立つことを教えてくれた! こんな身近に超兵器があったとはな!」

 「ユーが諸悪の根源だったざんすか! 絶対にぶっ殺すざんす!!」
 ざんすかは走り去り、一旦、ジャタの森に潜伏した。

 「このグレートマシンガン様に、ジャタの森の精霊など、もはや不要!」
 「ま、待つじゃた、このままじゃ、この森が、じゃた……」
 そして、じゃたも、グレートマシンガンに追われ、ジャタの森に隠れるのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

森水鷲葉

▼マスターコメント

 ご参加ありがとうございます。
 リアクション公開が遅れましたこと、申し訳ございません。
 今回、招待参加とさせていただいた方は、次回の抽選で優先的に当選します。
 該当者の方には個別メッセージでお知らせしておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
 それでは、次回、後編は最終回です。
 皆様の楽しいアクションをお待ちしております。