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リアクション
第3章 首を求めて呻る巨大チェーンソー
「マスター!怖いなら抱きついてもいいんですよ!」
周囲を警戒しながら歩くオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)に、桐生 円(きりゅう・まどか)は赤色の瞳を輝かせて傍に寄る。
「円〜お化けなんていないのよぉ〜、全部プラズマだって科学的に証明できるのよぉ〜」
お化けが苦手な彼女は強がってみせる。
「ちょっとお腹が減ってきたね」
「そ・・・そうだね。夕飯の時間じゃないけど、お弁当にしよう!(これ以上歩き回ってお化けに遭遇したくないし)」
オリヴィアもミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)に便乗して言う。
「それじゃあ至れり尽くせりによりお弁当を召還!」
作ってきたお弁当を教室の机に置き、可愛らしいお弁当箱の蓋を開ける。
「美味しそう♪いただきますー」
ミネルバはオリヴィアよりも先に、サンドイッチに手を伸ばしパクと食べる。
「そうだね。(このまま帰り時間まで動きたくないな・・・・・・)」
「ごちそうさまー♪それじゃあ行こうか!」
「え・・・えぇえ!?」
「どうしたんですかマスター?」
「うーん・・・疲れちゃったし、まだここでゆっくりしていたいな・・・なんて・・・」
「それじゃあボクが抱っこしてあげましょうか!」
両手を広げて円は嬉しそうな顔をし、オリヴィアが来るのを待った。
「子供じゃないんだから歩けるわよ!」
頬を膨らませて先に教室の外へ出てしまう。
「(早く帰りたいな・・・・・・)」
トボトボと廊下を歩いていると、ギシッギシッと足音が聞こえてきた。
「誰・・・?他の生徒たちかしら・・・。ねぇ、そこに誰かいるのー?」
呼びかけても返事は返って来ない。
無言でだんだんと近づいてくる足音に、オリヴィアは思わず後退る。
教室の中へ逃げ込もうとすると、何者かが駆け足で迫りくる。
けたたましく鳴り響く巨大なチェーンソーを持ったピエロ男がオリヴィアに襲いかかる。
「ふざけちゃいけないのよぉ〜、あんまりおいたが過ぎると粉々になるまで壊すわ」
床を蹴ってゴーストの顔面へ蹴りをくらわすが、まったく効いていない。
異変に気づいた円がロングボウの弓を引き、ゴーストの足と腕を狙い矢を放つ。
痛覚がないのかチェーンソーで彼女たちに襲いかかる。
「―・・・それなら!」
ありったけのSPを使い、標的に向かって氷術を放ち氷漬けにする。
「ピエロちゃん!ピエロちゃん!はい、いっしょにあそびましょ!ミネルバちゃん2段突きー!」
教室から出てきたミネルバは、ランスで化け物の両腕を砕く。
「きゃっほーい!まどか!まどか!はい写真写真!」
「至れり尽くせりによりカメラ召還!」
持ってきたカメラで記念撮影をする。
「いえーい♪」
「ちょっと・・・ゴーストが・・・・・・」
撮影中にゴーストが再生し始めていた。
「それじゃあまた氷術で・・・」
「さっきSPを全部使い果たしたわよ?」
「―・・・どうやってコレを止めればいいんですか」
涼しい顔で言うオリヴィアに、円は顔を青ざめさせる。
「撮影終わったし、今度は追いかけっこ♪」
ミネルバたちはその場から逃げるように、廊下を駆けていく。
「うっし、今回は修行と洒落込むか!」
どこまで強くなったか腕試しをしようと、ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)はゴーストを探して校舎内を歩いていた。
「まったく・・・ここに来てまで修行か・・・」
ラルクの隣を歩きながらアイン・ディスガイス(あいん・でぃすがいす)は、ゴースト相手に修行しようとする彼に対してふぅとため息をつく。
「まぁ、オレが付き合わないとどうなるかわからんしな」
「そういやぁ、急所狙ってもそのまま進んできたな・・・」
「前に来た時はどうだったんだ?」
「無痛のヤツだったな」
「―・・・それでは今回もそうなんじゃないのか?」
「やっぱそうか・・・・・・」
金色の髪をぐしぐしと片手で掻き周囲を見回す。
「修行もいいが、幽霊にとり憑かれたりしないようにな」
「あぁ、そういうのは関わらないように避けるつもりだ」
「待て・・・向こうから何か来る」
廊下を進もうとするラルクを止めると、ゆっくりと床を踏む足音が聞こえてきた。
壁際に身を潜めていると突然ピタッと足音が止まったかと思うと、ギュィイイイッとチェーンソーの音が鳴り響く。
ミシミシッと足音を立てて向こう側の廊下からラルクたちがいる方へ走り、巨大なチェーンソーを振り回す。
「伏せろ!」
とっさに床に伏せなければ斬られてしまっているところだった。
「そんなもんで斬られて・・・たまっかよ!!」
ドラゴンアーツで強化した力で、ラルクはゴーストに素手で挑む。
膝へ殴りかかりると、ゴキッと標的の骨が砕ける音がした。
「まだまだぁあ!」
拳を腹部に貫通させ背骨を叩き割る。
「真紅の炎よ・・・爆ぜろ!」
止めを刺そうとアインが火術を放つ。
「やったか?」
黒く焼け焦げたゴーストはドスンッと床に崩れ落ちながらもまだ動こうとする。
「おい・・・・・・こいつ再生し始めているぞ・・・」
「だったら再生する前にもう一度ぶん殴るまでだ!・・・・・・何!?」
殴りかかろうとするラルクの腕を、ゴーストがガシッと掴み床へ放り投げた。
「そうこなくちゃ面白くねぇぜ」
ニヤリと笑い床から立ち上がると、ラルクは再びゴーストへ立ち向かっていった。
ゴーストクリーチャー解剖調査するために、七枷 陣(ななかせ・じん)たちは校舎内でゴーストを探していた。
「なかなか見つからないねー」
2階の廊下を走りながらリーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)も一緒に探す。
「ゴーストですか・・・恐怖は感じませんがどの程度の強さを持ってるのでしょうかね?」
「電気がついていませんね・・・明かりがなければ、ほとんど見えませんよ」
緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)と紫桜 遥遠(しざくら・ようえん)は光精の指輪を使用しながら歩く。
「今・・・何か聞こえたような・・・1階の方から妙な音が聞こえませんでしたか?」
微かに聞こえる機械音を聞いた遙遠は、2階の階段から1階の様子を窺う。
「もしかして例のゴーストじゃないかな?見てくるね!チェーンソーなんてくぐり抜けて斬り伏せちゃうもんねー」
「あっ・・・リーズ、勝手に1人で行くな!」
陣が呼び止めるのも聞かずに、リーズは階段を駆け下りていく。
「へーきへーき☆あんなおっそいピエロさんなんてボクにかかればよゆーだもん!さて・・・どこかなー?あっ、見ーつけた!」
薄暗い廊下を歩いているとチェーンソーを持った大男を見つけた。
「リーズ、いっきまーす☆」
カルスノウトで斬りかかろうと、ピエロ男の懐へ飛び込む。
「やぁああっ!」
巨大チェーンソーで防がれてしまい、床に叩きつけられてしまう。
「リーズ、前に出過ぎてっぞ、少し自重しれ」
「よゆーよゆーっ。もっと前に出てやろうっと♪」
駆けつけてきた陣の言葉を聞かず、リーズは再びゴーストに斬りかかる。
凶器をけたたましく鳴り響かせ、彼女の右腕を斬りつけた。
ブシィイイッと鮮血が床へ飛び散る。
「い・・・・・・たい・・・よぉ」
「・・・おい、てめぇ」
陣はバーストダッシュでゴーストとの間合いをいっきに詰め首を引っ掴む。
「オレの!大切な!パートナーにぃっ!・・・何やらかしてんだコラアアア!!」
大切なパートナーが深手を負わされ、ぶち切れてゼロ距離火術を放つ。
「燃え散れや、スカが!」
ゴゥウウッと化け物の身体を燃える。
「あぁっ!七枷さんゴーストを炭にしてしまうと、島村さんが怒りますよ!」
駆けつけた遥遠が止めるのも気かず、我を忘れている陣はSPが尽きるまでゴーストを焼き尽くす。
「―・・・・・・あぁ・・・」
黒焦げになったゴーストを見ながら、遥遠は自分たちが代わりに実験体にされるのではと思い、深いため息をついた。
「これじゃあ検体に出来ませんね。再生するのも時間がかりそうですし、他のを探しましょうか?」
「そうですね・・・」
遥遠たちは検体用に別のゴーストを探すことにした。
「どこかに手頃なヤツがいませんかね・・・・・・あっ」
検体を探し歩いていると、ゴーストと戦っているラルクたちを見つけた。
「遙遠あれを検体にしませんか?」
「そうですね・・・交渉してみましょう。すみませんちょっと検体に使いたいので、それゆずってくれませんか?」
「何か調べるのか?いいぜ、そろそろ休もうと思っていたところだしな」
「それじゃあ火術で・・・」
「いえ氷術で冷凍しましょう。(また炭になっても困りますし)」
「とりあえず邪魔な腕を狙いますか」
遥遠はバーストダッシュでゴーストとの距離をいっきに縮め、チェーンソーを持つ手首を斬り落とす。
再生させまいと遙遠が氷術で標的を氷結させる。
「動き出す前に運びましょう」
ゴーストの足を掴みズルズルと引きずりながら、遥遠たちは調理室へ向かった。
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