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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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白銀の雪祭り…エリザベート&静香

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第6章 氷上の銀世界でパートナーと共に・・・

「そろそろ向こうに行きましょうか」
「あっ、もうこんな時間・・・急ごう!」
 ナナとズィーベンは雪合戦の方へ移動していった。
 他の生徒たちも数名、雪合戦を楽しもうと森から出て行く。

-PM18:00-

 ナナたちと道の途中ですれ違い、雪合戦で罠を仕掛けた桐生 円(きりゅう・まどか)がパーティーの方へ移動してきた。
「ここ電気が切れそうだね。でもお腹空いてるから後で・・・」
「丁度いいところに来ましたわね。電気が切れかかっている照明に電力をくださらない?」
 お腹を空かせてやってきた桐生に対し、待ち構えていた亜璃珠が頼んできた。
「うーん・・・仕方ないなぁ」
 知り合いの頼みに断りきれなかった桐生は引き受けた。
「そんじゃあ、食べる前にちょこっと雷術で供給しとこっと」
 湖面の周囲にセットされたアッパーライトに雷術で電力を供給してやると、料理が並んでいるテーブルの方へ駆けていく。



「スケート・・・滑れたら楽しそうですね」
 生徒たちが氷上で滑っている様子を神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)は羨ましそうに眺めていた。
「教えてあげましょうか有栖お嬢様」
 飲み物を取りにいっていた彼女のパートナー、ミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)がスケート靴を取り出して誘う。
「まずはお手本としてわたくしが滑ってみせますわ」
「む・・・難しそうです」
 スイスイ滑る様子を眉間に皺を寄せてじっくり観察しても有栖にはまったく分からなかった。
「それでは一緒に滑ってみましょう」
「み・・・ミルフィっ・・・・・・。お願い・・・て・・・手を離さないで・・・・・・」
「さ、お嬢様。思い切ってお滑りくださいませ♪」
 主人の手を離し、1人でチャレンジしさせてみる。
「―・・・きゃ!?」
 恐る恐る滑ってみるが、転びそうになってしまい思わずミルフィに抱きつく。
「ご・・・ごめんなさいミルフィ・・・」
「ふふっ・・・よろしいのですわお嬢様♪」
 ミルフィは転びそうになった有栖の身体を抱きとめ支えてやる。
「―・・・あのミルフィ、もう大丈夫・・・です・・・から?」
「もう少しこのままで・・・。ね、お嬢様・・・」
 彼女の腕の中から離れようと顔を見上げると、さらにぎゅっと抱き締められた。
「これじゃあ滑れないですよ・・・」
「ではこのまま滑りましょうか」
「他の人にぶつかってしまいますよ」
「向こう側なら人が少ないですからそちらへ参りましょう」
 ミルフィは片腕を有栖の腰の方へ回し、橙色の灯りがある方へ場所を移そうと氷上をゆっくり滑っていった。



「ほぇ〜皆上手く滑ってるね。向こうに教えてもらっている人もいる・・・」
 稲場 繭(いなば・まゆ)は優雅に滑っている生徒たちの姿をじーっと眺めていた。
「滑ってみる?」
 手に持っていたコンソメスープの入ったカップを差し出し、エミリア・レンコート(えみりあ・れんこーと)が傍から声をかける。
「む・・・無理無理、絶対に無理!」
 絶対に失敗するというふうに、彼女はぶんぶんと首を左右に振る。
「ちゃんと教えてあげるよ」
「うん・・・じゃあ滑ってみようかな」
 スケート靴を履きエミリアに身体を支えてもらう。
「だ、大丈夫かな・・・」
 表情に足を踏み入れ、恐る恐る氷上へ立つ。
「あわわわわ・・・手離さないでね?!絶対離さないでね?!」
 しっかりと両手を握ってもらっているが、明らかにひっぱられているだけだった。
「ほらほら、こーやってさー」
 エミリアは手本を見せながら足を動かすように言う。
「さ、今度は1人でがんばってみよー」
 そっと手を離して繭1人で滑らせてみる。
「怖いな・・・おっとと・・・・・・あわわっ!」
 ツルンと足を滑らせ、どすんっと尻餅をついてしまった。
「あちゃー・・・まだちょっと手を離すの早かったかな・・・」
「痛いよ・・・ぐすっ」
 涙目になっている彼女の手をもう1度握り、スケートリンクから立たせてやる。
「おーい、そこの人も教えてあげようか?」
 ぽつんとパートナーたちが滑る様子を見ているルイン・スパーダ(るいん・すぱーだ)に呼びかけた。
 眉を吊り上げてルインは頬をぷうっと膨らませてそっぽを向いてしまう。
「あれれ・・・もしてかして滑れないんじゃ・・・」
「むっ!言わせておけば・・・スケートなんぞ簡単に滑れるぞ!」
「へぇー、じゃあ滑ってみせてよ」
 笑顔で言うエミリアの挑発に乗ってしまい、ムッとした表情をしながらスケート靴を履く。
「ほらほら、どうしたの剣士さーん?」
「くっ・・・うるさい!貴様なんぞの手を借りんでもこれくらい・・・」
 口では強がっているが、今にも転んでしまいそうなへっぴり腰な体勢だった。
「じゃあゆっくり滑っててね〜」
「わわわわわ・・・こ、このあーぱー吸血鬼がぁーっ!」
 ちょっとルインに意地悪してやろうと、ぽんっと爽やかな笑顔で背を押してやる。
 顔面直下してしまい、倒れた衝撃のせいでタラリと鼻血をたらしてしまう。
「―・・・フ、フフフ・・・上等じゃないか・・・。おまえも倒れ・・・あんぎゃぁあっ!」
 エミリアの足を掴んで転ばせてやろうと企むが、再び同じ箇所をぶつけてしまった。
「さぁっ、アレは放っておいて向こうで滑ろう」
「えっええ!?」
「気にしなくても大丈夫だよ」
「ごめんねー、ちょっとだけ行ってくるよーっ」
 怒りのオーラを放ちながら睨みつけているルインに言い、繭はエミリアと2人で滑りに行ってしまった。



 繭たちの他にもパートナーと2人でスケートを楽しんでいる生徒がいた。
「おかしいなー、滑れると思ったんだけどなぁ」
 転んでしまった秋月 葵(あきづき・あおい)は眉を潜めてムゥッとする。
「くすっ、スポーツ万能の葵ちゃんも苦手なものあったのですね」
 上手く滑れないことにムスッとしている葵にエレンディラ・ノイマン(えれんでぃら・のいまん)が片手を差し出し立たせあげた。
「エレンは上手く滑れるんだね・・・」
「大丈夫。ちゃんと滑れるように教えてあげますね」
 手を握りながら手本を見せ、基本の滑り方を教えてやる。
「エレン、手を離したらダメだからね・・・」
 先ほど転でしまった恐怖からか、両足をブルブルと震わせていた。
「そんなに力を入れずに、もっと軽く滑るような感じで・・・」
 震えている足を見て力を抜かせる。
「次は片足を前へ出して・・・うーん・・・・・・ツルツルした廊下を靴で滑る感じをイメージすると分かりやすいかもしれませんね」
「こう・・・かな?」
「えぇ、そんな感じですね」
 コツを掴んできた葵が笑顔になり、楽しそうに滑る彼女の手を離す。
「何か技とかやってみたいな」
「それでは簡単な技を教えてあげましょう。初めてスケートをやる人が、いきなり大技をやろうとすると怪我してしまいますからね」
 スーィッと後ろ向きに滑り、2回転ジャンプをしてみせる。
「凄ぉおーい、綺麗ー!」
 エレンディラの演技に目を丸くして葵はパチパチと拍手する。
「まずは氷の上で回る練習をしましょうか」
「―・・・う・・・うん」
 続けて片足を氷上から離す練習をし、徐々に慣らしていく。
「そろそろチャレンジしてみましょう」
「よぉし・・・」
 加速をつけてエレンディラがやったように技を試してみる。
「1回転でしたね」
「うーん残念・・・」
「少し休んでからまた練習しましょうね」
 エレンディラと葵は岸に戻り休息をとることにした。



「(スケートか・・・そういえば初めてやるな)」
 スケートをまったくやったことのない匿名 某(とくな・なにがし)だったが、チャレンジしてみようとスケート靴に履き替える。
「匿名さ〜ん、こっちですよ〜!」
 パートナーの結崎 綾耶(ゆうざき・あや)の方は早くもスケートを楽しんでいた。
「なん・・・だと・・・・・・」
 スイスイ滑っている綾耶の姿に、驚愕の声を上げる。
「早くこっちに来てくださいよ〜」
 片手を振って呼ぶ彼女の元へ行こうと氷上に立ち、足を前に出しゆっくりと滑り始める。
「お・・・何とか滑れるか・・・・・・って・・・ぁああっ!?」
 滑れるかと思った瞬間、バランスを崩してしまい後ろ向きに倒れてしまう。
「大丈夫ですか?」
「いててっ、頭打っちまった・・・」
 差し出された綾耶の手を掴み、痛む身体を起こす。
「それじゃあここまで来てください♪」
 某からあっとゆうまにスィーンと離れ手招きをする。
「―・・・うっ」
 たった3mの距離だったが、某にとっては数kmも離れている感覚だった。
「(くそ・・・何かバカにされている気分だな・・・。追いついてお仕置きしてやる!)」
 進もうと滑ってみるが、上手くとれず足がガクガクと震える。
「―・・・あっ・・・後もうちょい・・・」
 綾耶を捕まえようと手を伸ばすと、捕まる寸前に彼女はクスッと笑い、またスィーンと離れてしまう。
 ベチンッ。
「ぐぉあっ!」
 今度は正面からスケートリンクの上へ倒れてしまった。
「ぃいいいてぇっ・・・・・・」
 ぶつけたおでこが真っ赤にはれてしまい、額を両手で押さえて某はその場で悶絶する。
「あっははは、どうしたんですかー? こんなに近くにいるのに♪」
 楽しそうに笑いながら、冷たい氷の上でカエルのように平べったくこけている某の姿を見下ろす。
 まるで小動物を見るような眼差しで、綾耶はクスクスと笑った。



 生徒が氷上のスケートリンクで楽しんでいる姿を見ていた神和 綺人(かんなぎ・あやと)クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)は、自分たちもやってみようと靴を履き替える。
「スケートなんて小学生以来だなぁ」
「私は初心者ですけど、上手く滑れるでしょうか」
 靴を履き替えたクリスが不安そうな顔をする。
「なんとか普通に滑れるみたいだね・・・」
 綺人は先にスケートリンクに立ち、滑れるか試してみる。
「おいでクリス」
「うぅ・・・自信ないです」
「じゃあ僕が支えててあげるから。ほら、大丈夫だからおいでよ」
「アヤ、お願いします」
 彼の手を握り締め、氷の上へ足を踏み入れた。
「手を離さないでくださいね。絶対ですよ!」
「離さないってば」
 顔を強張らせながら滑る彼女を見つめ、思わず笑ってしまう。
 滑るというより綺人に引っ張ってもらっているだけの状態だった。
「普通に歩くように足を動かしてごらん。まずは右足から・・・。んで次は左足ね」
「こうですか?」
「そうそう、そんな感じ。」
「―・・・右・・・左・・・・・・右・・・き、きゃぁっ!」
 前のめりに足を滑らせてしまったクリスは、転びそうになった拍子にぽすっと綺人に抱きつく。
「おっと・・・ぅぁあ!?」
 衝撃に耐え切れなかった綺人は氷上に倒れてしまう。
「ご・・・ごめんなさいっ」
「あはは転んじゃった。久々だったからなぁ・・・ちょっと休憩しようか」
「そうですね」
「寒いな・・・温かい飲み物でも取りに行こうか」
 綺人はクリスを助け起こしてスケート靴から履き替えさせてやると、2人はスープが置いてあるテーブルの方へ歩いていった。