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謎の古代遺跡と封印されしもの(第3回/全3回)

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謎の古代遺跡と封印されしもの(第3回/全3回)

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終章

 轟音。砂塵はシャンバラ大荒野にまで巻き上がった。
 その後に残されたのは、アトラスの傷痕の遺跡があった場所を中心とした、半径百メートルのクレーターだった。

「遺跡が……」
 調査団としてここにやって来ていた者達は目を疑った。もし巻き込まれていたら、助からなったであろう。
「地下の人達と、最上階にいた人の一部がまだ……戻ってません」
 生存は絶望的だった。
 しかし、奇跡は起こった。

「何事だい?」
 司城が報告を受けた。何でも、遺跡の調査に赴いていたと思しき人がまとめて発見されたとの事である。突如として砂漠の上に現れたというのだ。
「……行きましょう」
 そのほとんどは、重傷を負っていた。
「早く、手当を!」
 ベースキャンプの医療チームが中心になって、治療に当たった。それほどの怪我を負ってないものも、皆意識を失っていた。何らかの魔力干渉の影響らしい。


            ***

「ここは?」
 リヴァルトは目を覚ました。どうやらテントの中らしい。
「まだ寝てなきゃダメだよ」
 司城が入って来ていた。
「先生……痛ッ!」
 リヴァルトの傷は深い。周りにはベッドがあり、同じように最深部に向かっていった人達や、大怪我をしている人が眠っていた。
「安心して、みんなちゃんと生きてるからね。あと、ここは見ての通り、調査団のベースキャンプだよ。場所は遺跡からは離れているけどね」
 テントの外が見えた。既に夜だった。何でも、多くの怪我人を搬送するにもすぐには出来ないらしく、一晩はここで応急処置を施したとの事だ。
「幸い、死者は一人もいないよ」
「そうですか……良かった」
 多くの人は既に眠りについているらしい。おそらく夜もかなり更けているのだろう。
 遺跡の中にいた時間はそう長くはない。だが、あまりにも多くの事が起こり過ぎた。
「落ち着いたらでいい。聞かせてくれないか? 君達が何を見てきたのかを……」









――2020年1月某日 調査報告
 アトラスの傷痕で発見された遺跡の調査報告をここに纏める。
 今回の調査では、死者こそ出なかったものの、多数の重傷者を出す結果となってしまった。原因としては、遺跡内に守護者や機械仕掛けの兵などといったものがいたためである。それらは我々の予想を遥かに凌駕していた。
 さらに、最深部へと到達した者達の証言から、封印されていたのは剣の花嫁である事が判明した。だが、第一次から第五次計画と題された資料から、剣の花嫁に関する記述は見つかっていない。また、遺跡内での文献を解読した者達によれば、一切記録が抹消された『最終計画』なるものが存在するという。また、計画とは別に剣の花嫁に関する研究レポートも発見されている。そこには器と光条兵器の関連性と剣の花嫁の改造に関する独自理論が記されており、これが鍵ではないかとも考えられる。
 なお、遺跡の正体は研究所であるが、これが本当に古王国に関連する施設かは定かではない。ドクター、ジェネシス・ワーズワースは女王に近しい地位にいたようだが、現存する公式記録にはどこにもその名は載っていないためである。
 しかし、彼の子孫であるらしい今回の第一発見者リヴァルト・ノーツも詳しい事は知らないらしい。だが、彼が隠匿している可能性もある。今後は身辺調査も含め、十分な警戒が必要である。
 関連施設の存在も、文献調査によって示唆されている。さらに、合成魔獣と呼ばれる合成獣と近しい生物はまだ三体存在しているという。それに加え、人間ベースの有機型機晶姫は『五機精』と呼ばれる成功例の五体と、他の失敗作五体の存在が確認された。うち失敗作の二体、ゼクスとナインは遺跡の消滅に巻き込まれたと考えられる。このうちの成功例五体の封印場所は、遺跡内で発見された『五ヶ所の印が刻まれた』地図に対応しているとして、研究機関での解析が求められる。
 魔導力連動システム及び魔力融合型デバイスについては、サンプルが確保されている。これらの分析が進み、技術を再現出来れば、シャンバラは他国の脅威にも対抗出来るだろう。
 しかし、疑問が残る。今回発見された技術は、いずれも超高度かつ強力なものばかりだ。にも関わらず、実戦で使われずに封印されたものは多い。そしてシャンバラは内乱に破れている。
 この事から、かつては神をも超える脅威がこの国を襲っており、それに対抗すべく研究が進められたのではないかという仮説が立った。詳細についてはさらなる情報の解読と、関連施設の発掘が求められる。



 余談であるが、遺跡消滅時に銀色の髪の女性と、黒い服を着た金髪の少女が砂漠で目撃されたらしい。しかし、当該人物は遺跡の爆発に巻き込まれたとされており、見間違いか幻であると推測される。
 

 以上。








END……