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リアクション
「泳げるくらい大きな温泉が掘れるなんて一生に一度あるかないかだよな!」
如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は光条兵器を取りだすと抉るように掘っている。
鄙が見たらお仕置きされるかもしれないが、鄙は現在お昼寝中なのでセーフだ。
「な、何をするんだ!」
「ほらほら、四条さん、せっかく遊びに来たんですから皆で掘りましょうよー」
そこへ1人隅っこの方で温泉の穴を掘ろうとしていた四条 輪廻(しじょう・りんね)を引っ張ってアリス・ミゼル(ありす・みぜる)が登場した。
「ボクたちも混ぜてくださいー」
アリスが正悟に言うと、正悟は嬉しそうに頷いた。
「はぁ……どうせやるならデカイの作るぞ」
「今、泳げるくらいでかいのを掘ってるところだ! あっちのと繋げれば相当大きくなる!」
輪廻が言うと、正悟はカオル達の方を指して言った。
「今度こそ出番だよ……ノウマン」
「……」
話しを聞いていた真由歌はノウマンに命令を出すと、ノウマンは腕に仕込んでいたカルスノウトをスコップ代わりにざっくざっくと掘りだした。
「わー! 早いです!」
アリスは目を輝かせて言ったのだった。
大きな温泉穴より離れた場所で掘っている4人がいる。
「この辺りなら静かに入れそうだ」
「そうだね」
早川 呼雪(はやかわ・こゆき)の言葉に黒崎 天音(くろさき・あまね)が頷く。
「たまには自ら体を動かして労働するのも良かろう、温泉もより楽しめる」
ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)は若干楽しそうだ。
「がんばろうーっ!」
ファル・サラーム(ふぁる・さらーむ)はアヒルコレクションからお気に入りのアヒルさんを手に、左手の拳を突き上げた。
「温泉掘れたら呼んでな〜わしその辺で花見酒しとる……」
こちらも騒がしい場所より離れた場所で、コウ オウロ(こう・おうろ)は日本酒片手に落ち着こうとしていたが、五月葉 終夏(さつきば・おりが)にそうは問屋がおろさないとばかりに掴まってしまった。
「自分も入るんだから、ちゃんと手伝った方が良いと思うんだ」
「わしは肉体労働向いとらんちゅうのに……しゃあないなぁ。あー面倒ー」
オウロは仕方なくスコップを持って掘りだした。
「それにしても……みんなで入るお風呂って始めてで緊張する……」
緊張しながらもなんとか自分達が入れるような温泉のスペースが出来たようだ。
このあと、個々に掘っていた温泉も全部まとめて小次郎が繋げて、大きな池の様な温泉が出来あがった。
大きな1つの温泉となったため、真ん中にあった1人しか入れないような温泉も一緒くたになった。
温泉の湯が張ってしまう前に、岩を使って幾つかに分けて入れるように工夫をした。
しかし、これだけ広いとなかなか温泉がいっぱいにならない。
「ん〜……どうしよう……」
ホイップ達が首を傾げていると、寝ていた鄙がむくりと起き出した。
「終わったか。ならば、今度は我の出番だな」
そう言うと、鄙は右手を高々と上げると指を鳴らした。
すると、みるみるうちに温泉の水位が上がり、すぐにいっぱいに満たしてしまった。
「あとは勝手に入るが良い」
そう言うと鄙はまた桜の下で眠りだしてしまった。
やっと温泉に入れるようになった。
時刻は既に夕方となってしまった。
■□■□■□■□■
荷物を置いて、買い物を済ませた司は急いで温泉へと向かおうとした。
しかし、突然の人影に驚いて小型飛空艇から落ちそうになってしまった。
「っ!? ……だ、大丈夫ですか、お怪我は在りませんか!?」
目の前に居たのは優雅な身のこなしのティセラだった。
「ええ、大丈夫ですわ」
「えっと、どちらかに行く途中で? 宜しければ、お詫びに御送り致しますが?」
「助かりますわ。ちょっと遠いのですが……」
「構いませんよ」
司の申し出を受け、ティセラは小型飛空艇の後ろに乗り、目的地が温泉であることを告げる。
そのまま、自分の目的地であると言い、他愛もない会話をしながら温泉へと向かったのだった。
「ん? あれは……ティセラ? いっちょ追いかけてみるか!」
2人の後を百々目鬼 迅(どどめき・じん)は軍用バイクで追いかけたのだった。
■□■□■□■□■
調理場は戦争になっていた。
刹那は近くで採ってきたタケノコ、タラの芽、ワラビ、ウド等、両手いっぱいの材料をファイリアに渡していた。
ファイリアはすぐに採ってきた材料で天ぷらを作り始めた。
「立派な山菜です〜。これなら美味しい天ぷらがたっぷり作れますね!」
「楽しみにしてるッス! あとは何かお手伝いする事あるッスか?」
刹那が聞くとファイリアはすでに完成している料理の盛り付けをお願いしたのだった。
味噌汁、春巻き、エビチリ、スパゲティ、サラダ……色々作ってあり、バイキング形式で食べられるようになっているらしい。
涼介達の方はなんと鯛を扱っていた。
涼介がまず大根を使い鱗をとり、内臓を取り出し、三枚に下ろす。
それをクレアとエイボンの書に渡す。
「さすがおにいちゃん! 美味しく作れるように頑張るね!」
「任せましたよ」
クレアは受け取った頭とアラを熱湯と冷水で洗い、臭いの元となる血や内臓の残りを取った。
ネギを細く切り、水にさらして白髪ねぎ、生姜もおろし、準備が出来たら鯛のアラを鍋に入れて水と酒と昆布を加えて火にかけた。
灰汁を丁寧に取り、味を調えると潮汁が完成した。
「兄さま、私も皆が喜んでくれるように一所懸命に作りますわ」
エイボンの書は鯛の身に軽く塩を振ってから皮を上にしてザルに置き、その上からさらしをかけた。
その上から熱湯を掛け、氷水でしめた。
鯛を取り出し、切っていく。
最後にツマの上に乗せると鯛の刺身が完成した。
涼介はというと、米を研ぎ、出汁、醤油を入れ、更に軽く焼いた鯛の身を入れ炊く。
炊いている間に、尾とヒレに化粧塩をして強火の遠火で火加減、焼き加減に気を付けて焼き上げた。
鯛飯が炊きあがると、混ぜて三つ葉を散らしたら完成となった。
3組目はセシリアに教えられながらの料理となっている。
干した小エビを使った炊き込みご飯、白魚の締め卵の吸い物は完成している。
あとは菜の花の和え物と季節の魚の焼き物だ。
「菜の花はさっと湯がくだけだよ!」
「はい」
メイベルは沸騰したお湯に花を入れる。
緑と黄色い花が鮮やかになる。
すぐに取り出し、絞ってから切り、作っておいた和え衣の中に入れて和えると完成した。
「あらあら、可愛らしいですわ〜」
フィリッパは緑茶とウーロン茶と無糖紅茶を用意しつつ、完成した菜の花の和え物も見て、そう感歎の声を上げたのだった。
宴会場を鄙に聞き、準備をしている者もいる。
小型飛空艇に乗せて持ってきていたカラオケの機材を入れているのは美羽とベアトリーチェだ。
畳のこの宴会場はかなり広く、今回来ている皆が入っても余裕だろう。
テーブルも完備されている。
ベアトリーチェはテーブルの上に茹でた枝豆を小皿に載せておいて行く。
ビールやノンアルコールビールも用意があるようだ。
こうして、宴会用の準備は着々と整っていく。
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