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【十二の星の華】黒の月姫(第3回/全3回)

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【十二の星の華】黒の月姫(第3回/全3回)

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 黒龍につれられ、一旦、にゃん丸のヒールを終えた漸麗がやってきて真珠を抱き締める。漸麗もあちこちに擦り傷を負い、服も汚れていた。
「真珠ちゃんは『ここ』に確かにいるでしょう? 君のことを誰も忘れたりしない。ずっと皆一緒だよ。だから大丈夫…」
「漸麗さん…! ごめんなさい、みんな、私のこころが汚かったせいなの! 私が姉様を憎んでいたから…!! おじいさまに振り向いて貰えないのが寂しかったの!」
 そこに静麻もやってくる。
「それは違うぜ、あんたの爺さんも、思うところがあったんだ。何より、真珠、爺さんは幼いあんたを、叔父のケセアレの手からいち早く守る為に動いたんだ」
 にゃん丸も「真珠…自分を責めちゃ駄目だ」と声をかける。
 真珠は血まみれのにゃん丸に抱きつく。
「良かった…! にゃん丸さん!」

 そこに赫夜たちも到着する。
「真珠! 指輪の呪縛から解放されたのか!?」
「姉様!」
 二人は強く抱き合った。
「ごめんなさい、姉様、私のせいで…」
「違う、それは違う。私の力が足りなかった。私が独りよがりだった…! きちんと二人で校長や生徒のみんなに謝ろう…」
 そんな二人をほっと見守る生徒達。
 月夜は
「二人には今まで言ってない事、言えなかった事を言い合う必要があるんだよ。これから一緒に歩いて行くために」
「…そうだな」
 赫夜の腕の中で真珠もうなずく。
「そして、お願いがあるの。私の名前は『漆髪月夜』、私と友達になって下さい!」
 赫夜も真珠も
「私たちでいいのか」
 と言う。
「勿論よ! 私、ずっと友達になりたかったの!」
 虹七とアリアも駆けつける。
「ことちゃん! いつものことちゃんに戻ったんだね? 虹七、ずっと覚えてたよ! ずーっとずうーっと、ことちゃんのこと、思ってたよ!」
「虹七ちゃん!」
 虹七が真珠に飛びつくと真珠も虹七の小さな体を抱き締める。
 虹七の体は子供独特の柔らかさがあり、真珠はその虹七の体温に強い温かみと信頼感を覚えた。

 祥子も赫夜や真珠たちの元へやってくる。
「これでやっと、女の子みんなで男子禁制のパジャマ・パーティができそうね。真珠、絶対出席してよ」
 と、提案をする。
「はい、かならず…」
「ちなみにどんなパジャマ? 赫夜は作務衣と聞いたけど」
「あの、私は…」
「真珠は意外にナイトウェアにこだわる。色々持っているが、総レースのベビードールタイプのものを持っていたな」
「ね、姉様、そんな恥ずかしい…!」
 それを聞いて、にゃん丸とにゃん丸を助けに来た周、それに刀真が鼻血を出していた。

☆   ☆   ☆   ☆   ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

 事情を知った玲がミルザムと御神楽 環菜(みかぐら・かんな)に、全てを報告した。
「ミルザム様、環菜校長、赫夜は蛇遣い座のシャムシェル、鏖殺寺院の手先と思われる『ミケロット・ダ・コレーリア』に真珠を人質に取られ、やむを得ずミルザム様を襲撃させられていたようです…許されることではないかもしれませんが事情を酌んでいただけないでしょうか」
「…校長の私としては、建物の被害額が気になるくらいね。…まあ、それも私の手腕さえあれば、デイトレード、一日あれば補填できる額だわ。その間、藤野姉妹には校長室の掃除でもして貰いましょうか。それでいいかしら? ミルザム」
「ええ。…今回のことで、クィーン・ヴァンガードの生徒たちの熱意を私は強く感じたわ。勿論、クィーン・ヴァンガードではない生徒のみんなも一生懸命頑張ってくれた。それだけで充分よ」
「了解いたしました。ああ…ミルザム様、環菜校長、お茶で一息入れませんか? 良い茶葉を入手いたしましたゆえ」
「お願いするわ」