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【十二の星の華】 Reach for the Lucent World (第2回/全3回)

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【十二の星の華】 Reach for the Lucent World (第2回/全3回)

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  ☆ ☆ ☆

 時は少し遡り、生徒たちが飛空艇の中に入った直後。
「この羅針盤、俺たちをここに導くためだけのものだとは思えませんね。羅針盤といえば航海の必需品です。この飛空艇とセットで使う何かなのかもしれません」
 御凪 真人が言った。
「そうだな。頭を捻ってるより、直接調査した方が得られるものも多いだろう。とりあえず、船長室にあたる部分でも目指してみよう。航海日誌か何かが見つかれば、色々情報が手に入るかもしれない」
「そうと決まればレッツゴー!」
 如月 佑也の提案に、アルマ・アレフは、光術で辺りを照らしながらどんどん奥へと進んでいく。しかし、いくつ目かの扉の前で、その足を止めた。
「どうした?」
 佑也が尋ねる。
「開かないのよ。今までの扉は開いたのに、なんでだろう?」
 この状況に、ミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)はピンときた。
「きっと、この扉の向こうに何か重要なものがあるんだ。こういうところには、ガーディアンや邪魔者がセットっていうのがお約束だぜ!」
「そうか、それじゃあ一旦戻ってリフルを呼んでこよう。リフルがいればここも開くだろう」
 佑也が引き返そうとする。しかし、アルマは光条兵器を取り出した。
「そんなのじれったいわ。これで吹っ飛ばしちゃいましょう」
「お、おい。そりゃまずいだろ」
 心配する佑也の肩に手を置いて、ラルクが言った。
「安心しろ。さっきから殺気看破を使ってるが、反応はないぞ」
「私も、超感覚でバッチリ警戒してるぜ」
 ミューレリアがネコミミをぴょこりとさせる。超感覚で常に耳を出しているのが、彼女のマイブームだ。
「……くれぐれも気をつけてくれよ」
 その場の勢いに押され、佑也は仕方なく引き下がった。
 アルマたちが扉を吹き飛ばす。
「よーし、やっぱり殺気は感じられな――」
 ラルクは、壊された扉の向こうへと一歩を踏み出した。と、ミューレリアが何かの音に反応して、彼を突き飛ばす。
「危ない!」
 次の瞬間、光が走り、ラルクのそばで壁が焼け焦げた。
「な、なんだ!?」
「ロボットです」
 ラルクを攻撃したものの正体を見て、ザカコ・グーメルが言った。彼の視線の先では、一台のロボットが赤々と目を光らせている。
「機械ですから、殺気を放っていなかったのですね。どうやら、自分たちを侵入者と認識したようです」
 ロボットは、頭部を動かして照準を定め始めた。
「みなさん、気をつけて。また熱線を撃ってきますよ」
「させるか!」
 咄嗟に、久途 侘助が氷術を放つ。それはロボットの頭部を捉えた。頭部が凍り付き、ロボットの動きが一瞬止まる。
「やれやれ、今日は氷術が大活躍する日だな。火藍、今のうちにみんなに防御スキルをかけてくれ。備えあれば憂いなし、だ」
「分かりました」
 侘助の指示で、香住 火藍が、仲間たちにディフェンスシフトとファイアプロテクトをかける。
「フィニッシュは任せろ!」
 ラルクは、汚名返上とばかりに思い切りロボットを殴りつけた。が、拳を押さえてうずくまる。
「うおおおお、こいつ硬え! 今日は俺が活躍しない日だぜ……」
「特殊な素材でできているようですね。しかし、機械ですから」
 冷静に分析したザカコが、愛するカタールで轟雷閃を放つ。電気がロボットの継ぎ目から内部に侵入し、致命的なダメージを与えた。ロボットは煙を上げて停止する。
「ここは操舵室のようね」
 ロボットが守護していた部屋を見回して、アルマが言う。やがて、彼女は一カ所のくぼみを見つけた。
「これは……! やっぱりあった! ちょっとそれを貸して」
 アルマは、真人から受け取った羅針盤をくぼみにあてがう。羅針盤は、ぴったりとそこにはまった。同時に、飛空艇内に重低音が響き渡る。生徒たちからどよめきが起こった。
「おや?」
 真人は、羅針盤に何かが表示されていることに気がつく。それはシャンバラ地方周辺の地図と、12の点だった。各点の傍らには古代文字が記されている。
 状況から推測すれば、その文字を解読することはさほど難しくなかった。みんなが知恵を寄せ合って出した結論はこうだ。

 ツァンダの辺りに存在する点は5つ。表示されている文字はそれぞれ、『テティス・レジャ(ててぃす・れじゃ)』、『セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)』『パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)』、『藤野 赫夜(ふじの・かぐや)』、『ザクロ・ヴァルゴ(ざくろ・う゛ぁるご)』。

 ザンスカール近郊に表示されているのが『ホイップ・ノーン(ほいっぷ・のーん)』。

 『ジャレイラ・シェルタン(じゃれいら・しぇるたん)』がヒラニプラ。

 ヴァイシャリーとパラミタ内海には『アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)』と『アルディミアク・ミトゥナ(あるでぃみあく・みとぅな)』。

 そして、タシガン空峡には『ティセラ・リーブラ(てぃせら・りーぶら)』とあった。

 空京近くの点と、この飛空艇自体を現すと思われるマークのすぐそばにある点は『不明』と表示されていた。

「十二星華の居場所……ですかね」
 真人が呟く。
「名前がない十二星華は、エメネア・ゴアドー(えめねあ・ごあどー)とリフルか。エメネアが空京、リフルがこのすぐ近くの点と考えれば辻褄が合うな」
 佑也も頷いた。
 そこに、橘 カオルが大慌てで駆け込んできた。
「みんな、ここにいたのか! 大変だ、蛇遣い座がこっちに向かってるって、さっき誠治から連絡があった!」
「もう来ちゃったけどね〜」
 背後から聞こえた声に、カオルは思わず背筋を震わせる。振り返ると、そこにはシャムシエルの顔があった。
「くっ」
 カオルは、先手を取ってシャムシエルに斬りつける。相手は星剣でこれを受け止めたが、カオルは格闘術を心得ている。星剣をもつシャムシエルの腕を掴――もうとして、おっぱいを鷲掴みにした。
「……」
「……」
「梅琳さんよりおっきい……」
 カオルの頭に、思いを寄せる李 梅琳(り・めいりん)の顔が浮かんだ。
「ぼいんぼいんぼかーん!」 
「ぐはっ」
 シャムシエルは、空いた手でカオルを殴り飛ばす。
(こうなったら、奥の手だ!)
 殴られたというのに嬉しそうな顔をしているカオルは、芋虫の粘液で作ったお手製のべとべとボールを、シャムシエルに投げつけた。
「うわ、気持ち悪いぃ。キミ、さっきからなんかヤラシイよ」
 シャムシエルが一瞬怯む。カオルは、この隙に怪植物のツタで縛りプレイを敢行しようとしたが、ツタはあっさりと切り払われてしまった。
「別にキミたちと戦うつもりはないんだ。ほっといてくれないかな」
 シャムシエルはカオルに目もくれず、階段で下に向かう。その前に立ちはだかったのはウィング・ヴォルフリートだった。
「龍騎士団の一柱が、なんでこんなところに?」
「りゅーきしだん? ボクが? 今日はよく変なこと言われる日だな」
 ウィングはかまをかけてみるが、シャムシエルにそれらしい反応は見られなかった。
「邪魔するなら仕方ない」
 シュムシエルは、伸ばした星剣をウィングに襲わせる。ウィングは、左手の光条兵器をわざとこれに絡め取らせた。
「これで星剣が使えないでしょう。キミの星剣、蛇腹剣の弱点は二刀流です!」
 ウィングは、右手の光条兵器で、がら空きになったシャムシエルの胴体を攻撃する。
「ナイスだぜ!」
 これに合わせて、シャムシエルの背後からミューレリアがブラインドナイブスを放つ。
 ミューレリアは、シャムシエル襲撃の可能性を考慮していた。そうなった場合、苦戦を強いられるのは必至。彼女は、このように有利な状況が訪れるのを虎視眈々と狙っていたのだ。
 前からウィングの光条兵器が、後ろからミューレリアのブラインドナイブスがシャムシエルを襲う。だが、彼女は焦らなかった。
「よっと」
 シャムシエルは一旦星剣を消すと、上に跳ぶ。ミューレリアとウィングが正面からぶつかる形になった。
「わわ、避けろ!」
「大丈夫です」
 ウィングは受太刀を使い、落ち着いてミューレリアの攻撃を受け止める。
「おお、予想してたのか?」
「星剣も光条兵器ですからね。キミが攻撃してくるのが見えたとき、一応、こうなることも念頭においておきました」
「やるじゃねえか!」
 ミューレリが感心する。だが、そのとき、シャムシエルは既に目的地へと到達していた。
「みーつけた」
 シャムシエルが立つのは、巨大な機晶石の前。この機晶石のおかげで、飛空艇は飛ぶことができるのだ。シャムシエルは再び還襲斬星刀を取り出すと、機晶石に向かって思い切り振り下ろした。
「シャム子スラーッシュ!!」
 一閃、機晶石が真っ二つになる。
「作戦、完了」
 シャムシエルは、避難用ハッチから飛空艇の外に出た。

 外で彼女を待っていたのは、シャノンだった。
「はじめまして。私は“背徳者”ティセラの協力者だ。彼女を背徳者たらしめてる君の味方をしにきた」
「またあ? 最近ボクのファンが増えて困るなあ」
 シャムシエルは真顔で言う。
「今、私の部下がリフルを手に入れようとしているところだ。どうだ? よかったらプレゼントするが」
「あ、そうなの? アレ、後でついでに持って帰るつもりだったんだよね。ただでくれるんならもらうー」
「私は君に同行させてもらえればそれでいい」
 シャノンが条件を提示すると、シャムシエルは「オッケー」と答えた。
「じゃ行こう」
 そしてシャノンを脇に抱え、岩から岩へと飛び移る。シャムシエルは、急速にリフルに接近していった。その様子は、操舵室の窓を通して飛空艇内の生徒たちにも見えた。
「せっかく飛空艇を見つけたのに、機晶石を破壊されるとは!」
 悔しがったマコトが、拳を台に打ち付ける。その拍子に、何かのスイッチが入った。
 次の瞬間、飛空艇からビームが発射される。
「わお、砲台はまだ生きてたんだ。ま、飛べない飛空艇はただの飛空艇だけどね。あれ、今のなんかおかしい?」
 シャムシエルは余裕でこれをかわしたが、ビームの斜線上には、なんと交戦中のリフルたちがいた。危険を察知した生徒たちは、戦闘そっちのけで必死にビームを回避する。
「うわっ!? でもチャーンス」
 氷雨はこの機会を逃さなかった。混乱に乗じて、黒薔薇の銃でリフルを撃つ。眠り始めたリフルを素早く空飛ぶ箒に乗せると、氷雨は仲間たちに撤収の合図をした。
「まったねえ」
 最後に、メニエスがアシッドミストを放って追撃を阻止。こうして、氷雨たちのリフル誘拐劇は成功に終わったかに見えた。
 ところが、誘拐犯たちが達成感を噛みしめたのも束の間、飛空艇に乗ったマッシュが氷雨に体当たりをくらわせたのだ。リフルの体は、マッシュの腕の中へと移動する。
「さあ、石になあれ」
 地上に降りたマッシュは、さざれ石の短刀ですぐさまリフルの頬に傷をつける。すると、みるみるうちにリフルの全身が石化した。
「ん〜! いいねぇ、素敵な石像が出来たよ♪ ヒャハハ!」
 マッシュは、恍惚の表情でリフルの石像を撫でさする。
「その子にはボクが直接お仕置きするんだ。返してもらえるかな」
 氷雨が戦闘態勢をとると、マッシュはリフルの石像を盾にした。
「あれれ、いいの〜? 衝撃を与えたら、大切な大切なリフルがバラバラになっちゃうよ。二度と元に戻らないだろうなあ。自分の手でお仕置きしたいんでしょ?」
 両者の間に緊張が走る。そのとき、シャノンとシャムシエルがやってきた。
「マッシュ、ご苦労」
「あ、シャノンさん。この後はどうするんですか? この石像、俺のコレクションに加えても?」
 マッシュは、期待に目を輝かせる。しかし、シャムシエルの還襲斬星刀がリフルの石像を絡め取った。
「残念、これはボクが預かっておくよ。最初はもういらないと思ったんだけど……最近また使える可能性が出てきたからさね」
 シャムシエルは、そう言って満足そうに笑った。

担当マスターより

▼担当マスター

飛弥新

▼マスターコメント

こんにちは、飛弥新です。というわけで、リフル編後半の第二回をお届けしました。お楽しみいただけましたでしょうか。
本編では、「物体」の正体が明らかになりましたね。一体誰があんなものだと予想したでしょうか! え、バレバレ……? ご冗談を。
当然のごとく分かったという賢いあなた。べ、別に悔しくなんかないんだからねっ!
分かったけど、飛弥がかわいそうだからボケてやったという優しいあなた。べ、別に嬉しくなんかないんだからねっ!
素で分からなかったんだけど……というプリティーなあなた。べ、別にかわいくなんかないんだからねっ!

さて、この物体(まだリアクションを読んでいない方もいると思うので、こう呼んでおきます)、リフルに任せておくととんでもない名前がつけられてしまいそうですね。そこで、次回物体の名前を募集しようと思います。詳しくは次のシナリオガイドにて。
次のガイドはすぐ出ると思います。間が開いたと思ったら今度は慌ただしくてすみません。

ではまた。
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