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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション

「うおりゃあああああッ!!」
 と、こちらは阿童たちとは違う場所。
 そこで凄まじい形相をしたリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)がこれまた凄まじい雄叫びを上げながら敵集団の中心でなにやら暴れていた。
「うぎゃああ!!」
「ひいいい!?」
「おっ、おたすけ〜っ!!」
 そんな声が空賊たちから上がり、彼らはどんどんとぶっ飛んでいく。
 見ればリカインは敵のひとりを掴まえてジャイアントスウィングを繰り出し、そいつを武器のように使って空賊たちを跳ね飛ばしていた。
「せいっ!!」
 強烈なジャイアントスウィングにかけられて完全に気を失った敵を放り投げ、リカインは大きく息を吐く。
「さて、次は誰が相手? かかってきなさい!」
 そして鉄甲をはめた両拳をあわせて、ニコリと笑うとそう言った。
 だが敵は誰もリカインに向かおうとしない。
「あっ、そう……じゃあこっちから行くわよ!」
 リカインはそういうと自分にパワーブレスをかけ、ドラゴンアーツの身のこなしで敵に接近していく。
 そして手近の敵を叩きのめすと、そいつの足を持って魔技ジャイアントスウィングで再び暴れまわる。
「それそれそれーっ!!」
 と、そんなリカインの近くでは、爆炎波を放って破壊の限りを尽くすシルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)の姿があった。
「空賊狩りだけが危険だなんて思わないほうが身のためよ!」
 そう言いながら船を破壊する勢いで手当たり次第に攻撃を繰り出していく。
「あいつを止めろ! 船が壊れちまうぞ!!」
 そんなシルフィスティの姿に脅威を感じた空賊たちは彼女に襲い掛かる。
「あっ、助けにいかないとヤバイっスよ!」
 と、それを見たアレックス・キャッツアイ(あれっくす・きゃっつあい)が飛び出していこうとした。
 だがキュー・ディスティン(きゅー・でぃすてぃん)がそんなアレックスを引き止める。
「まっ、待て!」
「えっ、なんっスか!? 早くいかないと師匠たちが……!」
「いや、リカたちは大丈夫だ。それよりアレックス、我等は退却路を確保だ! もしリカたちが暴れまわって船を壊したらどうする? 逃げられなければ船と一緒におさらばだ。そうならないように、ガーディアンナイツたちみんなの飛空挺を守るんだ!!」
 キューはアレックスをリカインたちの元にいかせたくないのか、かなり必死な様子でそう言う。
 リカインたちと付き合いの長いキューは、あそこに入っていくことがどれだけ危険かということをわかっていた。
(不用意に助けに入れば、こっちも巻き込まれかねんからな……)
 そんなキューの様子を見て取ったアレックスはチラリとリカインたちの方を見やった。
「フィス姉さん、危ない!!」
 リカインがシルフィスティを襲う空賊たちに向かって、ぐるぐると振り回していた男を投げ飛ばす。
 空賊たちは突然飛んできた人間大砲に吹き飛ばされ、次々と床に転がっていく。
「ありがとう、リカ! よーし、まだまだ暴れちゃうよ!」 
 リカに向かって親指を立てると、シルフィスティは再び破壊活動を再開する。
「私もまだまだやるわよ!」
 リカインはそう言うと、近くの敵を殴り飛ばしたり、投げ飛ばしたりとその力を遺憾なく発揮して敵を殲滅していく。
「……あの、キューさん。あのお二人っていつもあんな感じっスか?」
 と、それを見ていたアレックスは自分の出る幕はないと悟ってそう聞いた。
 キューはそのアレックスの言葉にただ静かに苦笑いを浮かべるだけだった。



「よし、中に入れたわ!」
 船内に侵入することができたアリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)はキョロキョロと辺りを見回しながらブラッティローズを捕まえるために艦橋に向かっていく。
「おっと、お嬢ちゃん。どこに行く気かな?」
 と、そんなアリアの前に空賊が立ちはだかる。そんな敵に向かってアリアは武器を振り上げた。
「くっ、この! 雷の閃き――……きゃあっ!」
 だがアリアは突然後ろから現れた敵に羽交い絞めにされ、武器を取り落としてしまう。
「いやっ、ちょっと! 離して!!」
「へへっ、そう言うなよ。おじさんとイイコトして遊ぼうぜ!」
 野卑な笑い声を上げて空賊はアリアを乱暴に床に引き倒し、その上に馬乗りになった。
「きゃあっ!」
「へへっ、ひとりでこんな所に来ちまうお嬢ちゃんが悪いんだぜぇ」
 息を荒げた空賊はそういうとアリアの胸を鷲掴みにして、乱暴に揉みしだく。
「やっ、やあッ! んっ、はっ……はなしてッ!!」
「なんだ色っぽい声だしやがって、お嬢ちゃんは乱暴にされるのが好きなのかな?」
「ちっ、ちがっ! んんぅっ!!」
 びくりと体を震わせるアリア。それを見ていた他の空賊がごくりと喉を鳴らす。
「おっ、おい。おまえが終わったらでいいから俺にもやらしてくれよ」
「へへっ、わかってるよ」
 男たちがそんな下衆な会話を交わしている隙にアリアは下唇を噛み締めて、痛みを意識を集中する。
 そして胸を揉んでいた男の指を握ると、それを力いっぱい逆にねじり込んで骨を折った。
「ぎゃああああ!!」
 突然やってきた激痛に男は床をのたうち回る。
「どっ、どうした!?」
「こっ、このアマ! 俺のゆっ、指を――!!」
「はぁ、はぁ……空賊フリューネから教えてもらったこの奥義……コツは躊躇わないこと!」
 アリアはそう言いながら空賊たちから距離を取って立ち上がった。
「ちっ、ちくしょう! なめやがって!!」
 指を折られた空賊は顔を真っ赤にして武器を取ると、アリアに斬りかかった。
「おっと!!」
 だがバーストダッシュでアリアの前に現れた緋山政敏が、敵の攻撃を防いだ。
「なに!?」
「無抵抗の女の子に手を出すなんてのは最低だぜ、おっさん」
「ちっ!」
 敵は武器を引いて態勢を立て直し、政敏と睨みあう。
 と、敵が先に動いた。
「おりゃああッ!」
 それに対し、遅れて動いた政敏は素早い剣さばきを見せる。
「――はぁっ!」
 一振りで敵の武器を弾き飛ばして攻撃をやり過ごし、もう一振りで敵の胴を射貫く。
 胴を斬られた敵はぐらりと揺れて、床に倒れ込んだ。
「あーあっ、やっちまった。人死にはさけたかったんだけどなぁ」
「ねえ、大丈夫だった?」
 と、政敏に遅れてやってきたカチェアがアリアに聞いた。
 アリアは少し震えながらもこくりと頷く。
「ひとりは危険だ。艦橋に向かうなら、俺たちと一緒に向かおうぜ」
「そうね、その方がきっといいわ」
「ありがとう。じゃあ、そうさてもらうね」
 2人の言葉にアリアは笑顔を浮かべて言った。
「さて、と」
 政敏はそうつぶやくと、もうひとりいた空賊に向き直る。
「ひっ!」
「あんたはどうする? 俺たちと戦うかい?」
「くっ、くそ――」
 バカにされていると感じた空賊は武器を握りしめて攻撃に出ようとした。
「あっ、そうそう。言い忘れてたけど、後ろに気をつけろよな」
「へっ?」
 政敏のその言葉に空賊はゆっくりと後ろを振り向いた。
 するとそこにはドリルを高速回転させるエヴァルトではなくパラミティール・ネクサーとそのパートナーたちが武器を構えて微笑んでいた。
「……死にたくなければ艦橋まで案内しろ」
 パラミティール・ネクサーに高速回転するドリルを見せ付けながらそう言われた空賊は、武器を捨てて大人しく頷くしかなかった。