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少年探偵と蒼空の密室 A編

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少年探偵と蒼空の密室 A編

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ANSWER 19 ・・・ 身代わりの問題 ヴァーナー・ヴォネガット

ボクはお姫様の友達でひみつを知ってるから、偉い人のところへ連れて行くです、と言ったら、拷問係のアイパッチのおねえちゃんに、それは嘘だ、とすぐに言い返されたです。
 むむむむむ。
 大ピンチです。
 上半身裸で、しかもなぜだかトマトまみれの春夏秋冬真都里おにいちゃんがのびちゃったので、ボク、ヴァーナー・ヴォネガットががんばらないと、他のみんながいじめられるです。ボクは負けないです。
「そんなこと言うなら、ボクは、一生、ひみつをしゃべらないですよ。拷問されてもしゃべらないように、ここで舌をかんで死ぬです」
 そんな気はまったくなかったですけど、舌をだして、噛むフリをしたです。
「待て待て。わかった、とりあえず、貴様をあのお方にあわせてやる。あってから、後悔するなよ」
「ボクは、後悔しないです。それより、ボクは気づいたですよ。ボクがいなくなったら、また、みんなをいじめるですね。それは許さないです。ボクは、ここで偉い人に会うです。偉い人を連れてくるですよ」
 ボクは拷問係のおねえちゃんを一生懸命、にらんだです。
 言うこときくです。きくです。きくです。
 そうしたら、しばらくして、おねえちゃんは部屋をでていったです。すぐに、おねえちゃんは、今度は、黒のローブをはおったおじちゃん? を連れてきたです。おじちゃんは、男の人か女の人かわからない、髪の長い、きれいな顔の人だったです。
 ボクは、すぐにおじちゃんにハグしたです。
「どうしてこんなひどいことまでして、秘密が知りたいんですか! このままだと大変なことになるです。みんなが捕まえにくるですよ」
「自分は、この街を大変にしたいのです。きみは、自分と初対面だね。髪の色と目の色は同じだが、きみは姫の従者の、彼女ではない」
「ボクは、姫様の友達の」
「あくまで言い張るのか。では、姫本人に聞いてみましょう」
 ?
 おじさんが片手をあげると、ピンクの髪の気の強そうな女の子と、青い髪の小学生くらいの女の子が、黒いマントの人たちに連れられてきたです。
「維新ちゃん。どうしたですか」
 青い髪の子は、かわい家事件で知り合ったかわい維新ちゃんだったです。ピンクの子も知ってる人の気がするです。
「ヴァーナーちゃん。ひさしぶり。どこにいても健気でかわいくて、好感度高いよね、って、あいさつしてる場合じゃないのか。おっと、そこの床に転がってるのは、真都里ちゃん。ひょっとして、彼、惨殺されて放置されてるの?」
「真都里おにいちゃんは、死んでないです」
「あんなに、血まみれなのに」
「あれはほとんどトマトです。拷問される前からああだったですよ」
「不憫なめにあう前に、あらかじめ自分を不憫にしておく予防策を実践したのかな」
「ボクには、わからないです」
 維新ちゃんとお話していたら、両手を後で縛られたピンクの髪の女の子を、マントの人たちがボクの前に突きだしたです。
「姫。この者をご存知ですか」
「知ってるわ。同じ捜査メンバーのヴァーナー・ヴォネガットよ。私は、姫じゃないわ。シャンバラ教導団の一ノ瀬月実。何度も言ってるでしょ。そこの少女殺人鬼のかわい維新にそそのかされて、姫のマネをしてただけよ。無実だわ。解放しなさいよ」
「かしこまりました。この者は、姫の従者をかたるニセ者ということですね。こちらで処罰させていただきます」
 おじさんは、月実ちゃんの言葉を無視して、ボクの顎をつかんだです。
 ボクはおじさんから離れようとしたですけど、ヘンなにおいがして、急に体の力が抜けていったです。
「今宵の婚礼の儀には、自分の友人の心の広き紳士たちが集まりますゆえ、このウソつきの少女でも、娶って教育したいという方がいるやもしれません。いや、きっといるでしょう。彼女にも、花嫁として式に参加してもらうとしましょう。礼儀作法を教えている間はありませんから、せめて式が終わるまででも、薬でおとなしくしていてもらうとしますか。おや、姫も同じ薬が飲みたい、と。かしこまりました。すぐにご用意いたします」