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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

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合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

リアクション

「真珠さん、真言さん。もし、お二人の心に距離があるのでしたらこの機会に腹を割って話すのはどうですか。最初は些細なことからでもきっと、いい距離感が見つかると思いますよ」
 そっと涼介はその場を立ち去ると、黒龍、漸麗、優希も真珠と真言を2人きりにするため、すっと席を立つ。
「お前はこれだけの人にあいされているのだな」
 呟く真言。
「お爺さま…」
「わしなぞいなくても大丈夫じゃな」
「違います。…私はずっとお爺さまに振り向いて欲しかった。お爺さまの役に立ちたかった。お爺さまがお父様を愛していたこと、お父様を失ったことの悲しみに耐えられずにいたことを、分かっていたの。…、だから、だから、本当は強くなって、私がお爺さまを支えたかった。でも、私には剣の道は…、無理だった」
「お前はそこまで考えていてくれたのか…わしは本当に阿呆だったな…」
 真珠はその言葉を聞いて、涙をぽろぽろ流す。真言もそのまま黙って空を見上げていた。


☆   ☆   ☆   ☆   ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆


 バリスタの格好をしたローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は監視カメラをみながら、会場の警備に当たっていた。
「妙ね…黒いロングヘアーの女性が多すぎる気がするわ…しかも、こほん、胸も良い感じに大きくてスタイルがいい…義眼かどうかまでは判断が付かないけれど。もしかして羽根季保は部下に同じような格好をさせてカモフラージュしているのかもしれないわ…確認が必要だわ」

 一方、パートナーのホレーショ・ネルソン(ほれーしょ・ねるそん)は渋い男ぶりを発揮してナンパ中だった。
「レディ? 青くて早熟な果物、弓削 理が御口に合わないようでしたら、極上の英国紳士を味わってみませんか?」
 大人の余裕にくらっとなった少女たちを次々とダンスに誘いながら、羽根 季保らしき人物を探るホレーショ。
(やたらと黒髪の女性が目に付く気がする…それに季保らしきルックスの人ともダンスを踊ったが、義眼を付けている様子はない)
 そこにローザマリアからメールが入る。
「やはりローザマリアも同様のことを考えていたか」
 季保とよく似たルックスの女性を写真に収め、ローザマリアに送信する。
(この中にいるかもしれんな…羽根 季保)

 グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)は女王然として、生徒達の中でも独特のオーラを放っている。
「ふむ、あの醜い若造りババアの情報と言うのが 些か引っ掛かりはするが――山葉涼司に情報を通したと云う事は、裏を返せば彼奴の取り得る手立てがそれだけ限られていると云う事とも受け取れようの」
 アンジェラの事をババアよばわりしていたが、前回、前々回と刃を交えて憎まれ口を叩きつつも手腕に関して一定の評価はしている模様のグロリアーナはそう呟くと、涼司につかつかと近寄り、
「山葉 涼司、わらわと踊れ」
「は…?」
「羽根 季保はそなたを狙っておるのじゃろう? では目立つように踊れば、動いてくれるではないか」
「それは俺をエサにするってことか?」
 さすがの涼司もめんくらっているが、グロリアーナは至極当然という顔で
「当たり前じゃ」
「…こりゃまいったな。女王様にそこまでストレートにいわれちまうと、断れねえよ」
「そなたのダンスの腕は期待しとらん。わらわに合わせればよい」
「では女王様、お願いいたします」
 すっと膝を折ると、涼司はグロリアーナの手をとって踊り始めた。

 火村 加夜(ひむら・かや)はグロリアーナと踊り始めた涼司をみて、気が気ではなかった。加夜はずっと、涼司に淡い恋心を抱いていたのだから。
 蓮花・ウォーティア(れんか・うぉーてぃあ)はそんな加夜に耳打ちをする。
「涼司くん、人気者ね。しかも、ほかに涼司くんにちょっかいだそうとしてる人がいるんでしょう? しかもスタイルよくって美人で積極的って。…きっと涼司くんも絶対好きよね。私も誘ってみようかしら。」
 加夜は青くなったり赤くなったりして、それがまた、蓮花の楽しみに繋がっている。
(加夜の表情がくるくる変わるし、赤くなりながら動揺する姿が可愛いくて好きだわ)
 クスクスと蓮花はひとり、悦びを噛みしめていた。
「そりゃ、蓮花さんみたいに胸が大きければ、私だって…」
 大きくて形のよい胸を強調するドレスに身を包んだ蓮花をみて、加夜はしどろもどろになる。二人は一緒に涼司を守る警護を担当していたのだ。
(涼司くんをからかいつつ相手をおびき出す予定だったけれど、あのグロリアーナさんとやらの出現で面白くなりそうね。からかいがいのある二人だからSの血が騒ぐわ…)


 ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)はアルマゲストとして、会場にしかけられた爆弾を探していた。
「月夜ちゃんから“ばくだん”探しを手伝ってほしーって連絡あったんでガンガン探すよー! っと、その前に“ばくだん”ってどんなのかな?」
 パートナーの影野 陽太(かげの・ようた)はナラカへ向かっているため、ひとりで参加したが、少々、ノーンには荷が重かったようだった。
 漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)樹月 刀真(きづき・とうま)に連絡をとるノーン。
「うーん…なんだかよく分からないよー月夜ちゃーん。みつからないよう」
『無理しないで、ノーン、私達も探しているから。出来るかぎりでいいのよ』
「うん、わかったよー」

 赫夜も一旦、会場に戻ってきていた。彼女は彼女なりに試合を必死になってみており、気が張っていたのだ。
「理さん…やっぱり凄く強い。昔から稽古を一緒にしてきたけれど、あの得体の知れ無さはより強くなっている…あの人、勝てるかな…ううん、勝てなくても良い。私は私の気持ちを貫くのだから…」
 そう独り言を言っていると、背後に気配を感じた。
エシク・ジョーザ・ボルチェ(えしくじょーざ・ぼるちぇ)と言います」
 全身を隈なく覆う真紅のスーツに銀色の仮面を付けた人物が立っていた。
「エシクさん。初めまして、だな?」
「ええ。赫夜さん、羽根 季保はこの中にいるんですよね?」
 エシクはさりげなく赫夜が季保に関する情報を持っていないか、探りを入れつつ、会場を見渡した。
「そのようだな。ただ、私はその羽根 季保なる人物に会ったことがない。判断がつかないんだ…」
「そうですか…それと赫夜さん、ひとつお聞きして良いですか?」
「なにかな」