校長室
魂の器・第3章~3Girls end roll~
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第2章・挿話【3】〜弔いの放課後〜 「美央、ファーシー様達が終わりました。私達が最後です」 「あ、はい……」 魔鎧 『サイレントスノー』(まがい・さいれんとすのー)と赤羽 美央(あかばね・みお)が線香を上げ、無事に全員の焼香が終わる。その後、残っていた皆と外に出て先頭近くを歩きながら、美央はふと、ずっと思っていたことを口に出した。 「……ところで。 つい見て見ぬふりしてしまいましたが、アクアさんが最初に襲われた時の犯人って日比谷さんですよね……。スプラッタになって吹っ飛んでいった気がするのですが……生きているのでしょうか、それとも……?」 「えっ!?」 その言葉に、何やら深刻な表情をしていた緋王 輝夜(ひおう・かぐや)が顔を上げた。慌てて美央に話しかける。 「それ、本当!?」 ここまで来ても何の手掛かりもなく、その事で沈んでいたのだが。 「はい。私達の目の前で……。全く、自分の身を全く大切にしない人です。まあ、彼なら頑丈ですし、きっとひょっこり顔を出しますよね」 「う、うん……」 ――本当だったんだ。スプラッタまでは本当だったんだ、と輝夜は俯く。声が聞こえたのは、そんな時だった。 「皐月。袖、袖が揺れてます。仕舞っておかないと見つかりますよ」 「あ、ああ……そうだな」 弾かれたように、顔を上げる。 「今の声……!」 「どうしました?」 不思議そうにする聞かれても応える余裕も無く、輝夜は走り出す。ほんの小さな、囁き声だった。だから、美央達には分からなかったのだろう。でも。 ――あたしには聞こえた。絶対、間違えたりしない。 あれは、雨宮 七日(あめみや・なのか)と皐月の声だ。 廊下を走って、角を曲がる。使用していないのか節電なのか、廊下は薄暗くて。 その先には―― 「…………」 誰も、居なかった。 更に走り、T字の廊下で左右を確認するが、そこにも。 「……輝夜さん?」 何があったのか、とファーシーが遠くから声を掛けてくる。輝夜に近付く彼女の後を歩き、チェリー達も追いついてくる。 「……どうした?」 「皐月が……」 「皐月さん?」「来てるのか?」 2人も左右を伺うが、勿論、姿は見えない。 「来てるなら、ちょっと会いたかったな……。少し、心配してたから」 ファーシーは以前、皐月に貰った禁猟区のお守りを出した。2枚重なっている翼の1枚が、僅かに欠けている。 輝夜はそれで理解する。エッツェルが何故ファーシー達と行動してみろと言ったのか。アクアに攻撃する前に、皐月はこの事件を通し、ファーシー達とも交流していたのだ。多分、それなりに深く。 それが、彼だから。だから、好きになったんだから。 「どうして……、どうして逃げるの……?」 誰も居ない廊下に向かって、輝夜は言う。 想い人の死を聞いて気づいた、大切なコト。 それは、気持ちを伝えること。 伝えられないまま、居なくなる恐怖を知ったから。 たとえ振り向いてもらえなくても、いい。 「世界中を敵にしても、あたしは皐月の味方だから……、傍に居させてよ」 小さな声で呟く。プレゼントされた夕霧草のイヤリングに触れながら―― 「……何故、逃げたんですか?」 「いや、だって……」 輝夜が来ているとは知らなかった。ファーシー達が来るとも思っていなかった。まさか彼女達が来て、さらに自分達とバッティングするとは。 だが、会うわけにはいかない。正確に言うと―― 合わせる顔がない。 彼女達に会っても、「……どうしよう」と言葉に困っていただろう。 それに、これからやろうとしている事は。 とても罰当たりな事だから。 多分それは、アクアを攻撃し壊したのとは比較にならない程。 ――此処に来た皆の想いを、踏み躙る行為だから。 「……では、行きましょう」 七日に促され、皐月は歩く。先程までいた廊下には戻らず、反対側から霊安室に向かう。片付けをしているであろう警部の部下に交渉すれば、盗みに入らなくて済むだろう。 既に、霊安室の前には誰もいなかった。扉に右手をかけようとして―― 彼は手を止めた。中から声が漏れてくる。 「お墓、ですか?」 「……ああ、こちらで墓を建てたいと思っている」 「そうですか……警部、どうします?」 「いいだろう。ただし、墓を建てたら俺に報告してくれ」 「わかりました。……良かったですね、帝王」 聞こえてきたのは、そんな会話だった。 ◇◇ 皐月達が霊安室に戻る少し前。 「あ、アクアちゃん!」 霊安室から出てきたアクアを見て、ピノは声をかけた。どうでもいいが、彼女は現物を見てアクアをちゃん呼びに決めたようだ。 「……何ですか」 「あたし……チェリーちゃんとは仲直りしたよ。怒ってないって伝えて、謝ってもらって、仲直りしたよ。だから、アクアちゃんとも友達になりたいな」 「…………」 「ピノ……、何言ってんだ……!?」 ラスが驚く中で、ピノは続ける。 「アクアちゃんはファーシーちゃんの友達なんだよね? あたしも、ファーシーちゃんの友達なんだ」 「それは、よく知っています。私とファーシーが友達かと問われれば……そこまで関係が修復しているとは断言出来ませんが……」 「してるよ!」 「!?」 「だって、ファーシーちゃんはアクアちゃんが大好きで、アクアちゃんはファーシーちゃんが大好きなんだから。そうだよね?」 (……この子供は……) アクアは、ピノに何となく苦手意識を抱いた。無意識に、数歩退がる。 「だから、あたしもアクアちゃんを大好きになりたいんだ」 「……ピノ、こいつは駄目だ。話してなかったけど、こいつがお前を……」 「知ってるよ!」 そこで、ピノはラスの言葉を遮った。 「そのくらい、すいりできるよ。チェリーちゃんがあたしを攻撃して、アクアちゃんはチェリーちゃんよりえらい人で、ライナスさんやモーナさんにひどいことしようとした悪い人。それなら、関係無いわけないよね。ていうか、おにいちゃん、アクアちゃんにだけすっっごい冷たいから、それだけでも解るよ」 「「…………」」 2人は思わず黙り込んだ。アクアが先に口を開く。 「そこまで解っていて、何故、私と友人になるなどと……」 「だって、アクアちゃん、ファーシーちゃんとこれから一緒に居るんだよね。そういう時間、多くなるよね。でも、あたし達がケンカしてたらファーシーちゃんだって楽しくないよ。あたしも楽しくないし。それは、なんでも話せるようになるには、ちょっと時間がかかるかもしれないけど……」 「「…………」」 ラスとアクアは、顔を見合わせないまでも同じような反応をした。今でも充分何でも話している気がする。そしてもっとも過ぎて、何も言えない。というか、大人な意見すぎる。いや、逆に子供だからストレートにこんな事が言えるのだろうか。 「あたしは、毎日楽しく過ごしたいの! もう、こんなのヤなんだよ。それとも、おにいちゃんもアクアちゃんも、ぴりぴりするのが好きなの?」 「いや、好きとか嫌いとかじゃないだろ。こういうのは自然に……」 「じゃあ、お友達のふりしてるうちに、自然に本当のお友達になれるよ」 「「…………」」 「とにかく、おにいちゃんはケンカ禁止ね! で、アクアちゃんはあたしと友達になるの! ねえアクアちゃん、仲直りしよ! あたしはたぶん、怒ってないから」 「たぶん……ですか?」 アクアはその言葉に惑い、ピノを見つめる。にこにこしているが―― (怒ってるじゃないですか……) そう思いつつ先を行くファーシーの背を見て、彼女は何かを諦めた。確かに、ファーシーに心苦しい思いをさせるのは本意ではない。加えて、ピノは頷かないと開放してくれそうになかった。 「……わかりました。なかなおりしましょう。……すみませんでした、ピノ」 「うん!」 「何か、棒読みだよな……」 「あ、アクア!」 ロビーに戻る途中で、待っていた衿栖達が駆け寄ってくる。 「終わったみたいですね。今の間にレオンが根回しで連絡を取って、寺院の本社の人に会ってもらえるように手配しました。行きましょう!」 「寺院……?」 眉をひそめるラスを見上げ、朱里が言う。 「寺院を抜けるんだよ! いつまでもいたら危ないからね!」 「ああ、抜けるのか……」 そうして、アクア達はあの課長とやらがいるであろう寺院所属の会社に向かった。 「お、終わったようじゃのう!」 戻ってきたファーシー達を見て、ロビーの椅子に座っていたシルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)も立ち上がる。ガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)もそれに続く。ここの椅子はソファみたいな上等なものじゃなく駅のホームにあるような硬くてひんやりしたやつなので、少しお尻が痛くなった。 「……? あれ、シルヴェスター、なんで居るの?」 「ここまで一緒に来たじゃろうが!」 首を傾げて聞いてくるファーシーにシルヴェスターは心境的にずっこけ、実際にもがくっとなりつつ、叫ぶ。 「帰ったんじゃないの?」 霊安室に行く時にいなかったから、てっきり帰ったと思ったのだが。 「セルシーちゃんを外に停めてたんじゃ! ファーシー、用が済んだならワシの自慢の新車に乗せちゃる! ドライブじゃ!」 「? 特に、今は乗る用もないんだけど……。前に乗ったし」 「あの時はワシの運転じゃなかったけえの、テクニックを見せちゃる!」 ファーシーがあまり興味を示さずとも気にしない。シルヴェスターは意気揚々と歩き出した。ファーシーはその後から、残った全員と顔を見合わせあって外に出てくる。 「どうじゃ! この磨きぬかれた完璧な……、な……!?」 路駐していた場所まで出てきて、シルヴェスターは愕然と目を見開いた。顎が外れるんじゃないかという位に口をがくんと開けている。 「どうしたの? 何か、顔がすごい残念なことになってるけど……あ」 彼女達の目の先では、セルシーちゃんが黄色いトラックに取り付けられた台に載せられていた。レッカー移動である。 「ワシのヒュ、ヒューマノイドは……」 「居ませんね」 きょろきょろとするシルヴェスターに、ガートルードが簡潔に答える。 「そ、そんな、セルシーちゃん……!!!!」 その間に、トラックはぶるるるとエンジンをかける。 「あっ、あっ、あっ! セルシーちゃん待って!」 ドナドナド〜ナ〜という歌がどこからか流れそうな雰囲気の中、シルヴェスターはレッカーされていく小型飛空艇に飛びついた。なんとか運転席に乗るものの、がっちり固定されていて動かない。 「ワシのセルシーちゃんを返すんじゃ!」 その光景を、皆はぽかんと眺めていた。 「……どうするの? あれ」 「慌てなくても、ここは警察署の前です。レッカー先はすぐ近くでしょう」 ファーシーに聞かれ、ガートルードは冷静に答えた。一旦署内に戻ると、レッカー先を確認してシルヴェスターを回収するために署の車両置場に歩いていくのだった。 のんびりと。 ◇◇ セルシーちゃんレッカー移動事件を忘れ、皆はそれぞれに別れの挨拶を交わしてそれぞれの帰路に着いていく。左之助も、真と共に警察署を離れて歩き出した。 「生前は慌しく生きて忘れていたが……仏さんの前ってのは、あまりいい気持ちはしないもんだったな」 左之助は、半ば独り言のように、霊安室でのことを思い出しながら、言う。生きた時代が時代だ。彼に、死に関しての善悪概念はあまりない。それでも、改めて骨壷を前にすると、何か言葉に現せないような――そんな、特殊な気分になった。 「うん……」 その彼に、真は浮かない顔で返事をした。自分とパートナーの関係について、彼はまだ深く考えていたのだ。 「そういや、さっきは1人、母になったな。1つの命が消え、また1つの命が生まれる……か」 隣で話す左之助の言葉が、やけに耳に残った。 「しかしまぁ、今回の件で色々な人と会うたけどちーにも友達が出来たみたいで良かったわ♪」 社は明るくそう言うと、その場に留まっていた皆に丁寧に頭を下げた。 「皆さん、これからも妹と仲良くしたって下さい」 「うん! ちーちゃんとはもう友達だよ!」 「そうだよ日下部さん、みずくさいなあ」 「そ、そんなにかしこまらないでください〜」 真菜華とケイラが笑って言う中、ティエリーティアも、慌てて社に手をぶんぶんと振る。そしてまた、皆に向けて挨拶をした。 「えっと、それじゃあ皆さん、また〜。大地さん、これからどうします?」 「そうですね、ティエルさんがお疲れでなければ、近くのお店をいくつか周って、それからホテルでゆっくりしましょう」 「撮影はまかせてくださいませ〜。水入らずのお過ごしが希望なら、こっそりと陰から撮影しますわ〜」 「それは水入らずとはいいません! いえ、2人きりなんて私が許しませんが……!」 そうして4人が離れていく中、大地が残ってファーシーに声を掛ける。 「ファーシーさん、良かったら、今度イナテミスファームで農業体験をしてみませんか?」 「え、農業体験?」 「ええ。他にも誘いたい子がいるので、ヴァイシャリーにも立ち寄ることになりますが。ついでに、ヴァイシャリーも案内しますよ。どうです?」 ファーシーはその話を聞いて、あまり時間をおかずに嬉しそうに頷いた。 「農業かあ。うん、行ってみたいかも」 「そうですか。じゃあ、また日取りが決まったら連絡しますね」 大地は微笑み、改めて別れの挨拶をしてティエリーティア達を追いかけていく。一方、真菜華とケイラは残った女子達に声を掛けていた。 「ねえねえ、夜に女の子みんなであつまろ! ケイラちゃんとちーちゃんと、ピノちゃんとファーシーちゃんーー」 「え、わたし?」 「うん、ファーシーさんも良かったら」 びっくりするファーシーに、ケイラが言う。自分も女の子にカウントされてるみたいだけどいいのかなあ……とかも思いながら。そんな中、真菜華は誘った皆を集めてこしょこしょと話し出した。内容が聞こえず、ラスは眉を顰める。 「また、変なこと企んでるんじゃないだろうな……」 「でねー、それでねー!」 牽制をするつもりできっちり聞こえるように言ったのだが完璧に無視された。そのうち、千尋とピノが戻ってくる。 「じゃあ、またあとでねー!」 真菜華とケイラ(ぷらすエミール)は手を振って、空京の街中に消えていく。 「やー兄、真菜華ちゃんとケイラちゃんがパーティーに誘ってくれたよー♪ ちーちゃんも行ってもいい?」 「お、ええで♪ 楽しく遊んで来ぃや♪ あ、でも俺もついていくからな〜。ピノちゃんも参加するみたいやからラッスンも勿論行くよな?」 「あ、ああ……」 女だけって言ってなかったか……? とか思いつつ、ラスは社に曖昧に返した。ただのパーティーなら心配する程でもないだろうし。 いや、ただのパーティーなのか? 本当に? 「それでねー、いろいろ持ち寄ることになったんだー♪」 「てことで、おにいちゃん、買い物行くよっ! それに、お泊まりするんだから、いろいろ買わないとね!」 「……泊まる? 帰らないのか?」 「うん。ホテルに泊まるんだよ? もちろん、だめとか言わないよね。好きなもの買っちゃだめとかも言わないよね」 「…………」 少々ピノの目が据わっていて、口調にも有無を言わせない凄みがあって、何となく気後れしてしまう。どうやら、自分はピノに弱みを握られてしまったようだ。 「……分かったよ」 答えながらも、知らず知らずのうちに溜息が漏れる。泊まるということはそれなりに先立つものが要るわけで。今月分の引き落としっていつだったか、と内心で残りの日数を数えてみて、また1つ息を吐いた。そしてファーシーを振り返る。 「お前も行くんだろ?」 「あ、うん。でも待って。わたし、話したい人が……でも、どこに行ったのか……」 「ファーシーさん」 そこで、ファーシーはメティス・ボルト(めてぃす・ぼると)に話しかけられた。 「メティスさん!」 自然と目が輝く。話したいと思っていたのは、彼女。 パークスの地下での出来事を思い出す。メティスとは、あの時以来話していない。こうして、ちゃんと顔を合わせるのも。別れともいえない別れだったかもしれない。でも、それからきっと、お互いにいろんな経験をして――そして今、ここにいる。 「久しぶり、ね」 だから、挨拶は、それだけ。 ファーシー達が言葉を交わし始めるのを見て、一緒にいたレン・オズワルド(れん・おずわるど)は邪魔にならないように傍を離れた。お互いの近況を話し合い、今度は親しい友人として向き合えればいい。彼は切に、そう願っていた。 メティス達が話している間に、俺は―― 「メティスさん、何か、変わったね。うまく言えないけど……、うーん……」 ファーシーは、感じたことに一番近い表現を探すのに、少しだけ考える。 「何だか、こう……暖かい空気がほわほわと出てるっていうか……」 「そうですか?」 メティスは微笑む。自分でも変わったと、それをかけがえのないものと自覚しているけれども、『誰か』から言われるとまた違った感慨がある。彼女は昔を回顧するようにふ、と空を見上げた。 「……あれから、どれくらいの月日が経ったんでしょうか。私も変わりましたが、ファーシーさんも変わりましたね」 「? そう……かな」 「気付いていませんか?」 不確かなものを前にした時のように曖昧に首を傾げるファーシーに、メティスは静かに、笑いかける。 「以前のあなたからは想像出来ませんが、今のあなたからは誰かを守ろうとする力、誰かを幸せにしたいという願いが感じられます。きっと、あなたの周りには素敵な人たちが沢山居るんでしょうね」 「…………」 それを聞いて、ファーシーは嬉しそうに頷いた。 「……うん。」 力強く、確信を持って頷いた。 「……その人たちが、あなたを変えた。力があるから誰かを守ろうとするのではなく、誰かを守りたくて、幸せにしたくて強くなったあなたは、とても素敵です」 「……え、わたしが……?」 おどろきの感情を目に宿し、ファーシーはメティスを見返した。その言葉を、そのまま彼女に返したい――思わず、そう思ってしまう。今の彼女からは、誰かを幸せにしたいという気持ち。誰かと幸せになろうという気持ちが、感じられるから。 そこには、確かに一本の軸が見えるから。 そう思っていたファーシーに、メティスは言った。 「あなたが幸せにしたいと願う人。 それが誰かは判りませんが、その人もきっと素敵な人。 ……いつか、紹介して下さい。その時は、私も私の大切な人を紹介しますから」 「大切な人……? え、あ、うん、いつか、ね。できたら、ね」 何故か慌てるファーシーと向かい合いながら、メティスは優面の、金と青の瞳を持つ彼を思い浮かべていた。そして、ファーシーにとっての『大切な人』は――もしかして。