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古の守護者達 ~遺跡での戦い~

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古の守護者達 ~遺跡での戦い~

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エピローグ
 
 
「ただいま。皆もう集まってるかな?」
 ツァンダ南東にある小さな村シンク。そこにある篁家の扉を開けて、篁 透矢(たかむら・とうや)が帰って来た。
「お帰りなさい、透矢さん。ロゼさんもお疲れ様です」
 篁 花梨が透矢と九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)を出迎える。二人が向かっていたのは村にある診療所だった。
「それでロゼさん、透矢さんの傷の具合はどうですか?」
 火村 加夜(ひむら・かや)がローズに尋ねる。彼女も戦闘後に透矢の負傷を聞き、色々と手伝ってくれた人物だ。
「うん、経過は順調だよ。まだ無理はさせられないけど、この分なら後遺症も無いし、心配する事は無いよ」
「あの時ロゼにちゃんと応急処置をして貰ってたからな。診療所の先生も適切な処置だったって褒めてたし。とりあえず……完治するまでもう少し世話になるよ」
 透矢はこれからも何回か診療所に通う事になっていたが、その全てにローズが同行する予定だった。というのも、ローズはこれまでの自身の経験から、今は病院ではなく診療所といった施設で勤務したいと考えていたからである。
 ローズとしてはツァンダ付近からでも空京大学に通う決心はついていたので、シンクに診療所があると聞いた時にすぐ勤務を願い出ていた。だが、さすがに遠いだろうという周囲の意見を考慮し、まずは試しという事で透矢が治療に来るのに併せて通って貰う事となった。
 
「揃ったようだから早速始めさせて貰おうか。これが今回の調査で判明した遺跡のレポートだ」
 和泉 猛(いずみ・たける)が予めテーブルに置いておいたプリントと同じ内容をノートパソコンに表示させる。そこにはザクソン達調査班の他、遺跡に興味を持って調査に協力した、メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)イレギオ・ファードヴァルド(いれぎお・ふぁーどばるど)天津 麻羅(あまつ・まら)達の調査結果も記されていた。勿論、今この場にいる者達の分もだ。
(結局、調査班の人達の中に義姉さんはいなかったな……でもオレは諦めないぞ。この広い世界、きっとどこかで生きているはずだから……)
 レポートを読みながら蘇芳 秋人(すおう・あきと)が内心でため息をつく。目的の一つが空振りに終わった事は残念だったが、気を取り直して報告を聞く事にした。
 
「まずはあの魔法生物についてだな。あれは古王国時代、文明が最も高まっていた時期に創り出された物らしい。パラミタに生まれた者の攻撃によるダメージを全て無効化する技術は見事と言うしかあるまい。もっとも――既にその技術は失われ、現存していないようだが」
 ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)の報告に今度は緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)が内心でため息をついた。彼は魔法生物のその力を自分の物にする為に遺跡を歩き回っていたのだが、結局鍵となる物は見つけられなかったのだ。全ての魔法生物と守護石が消え去った事により遺跡は機能を停止した為、その力の欠片すら得る事は出来なかったのである。
(結界の外に何かがあると思ったのですがね……残念です)
「それから地球人の攻撃のみ有効だった件についてですが、これは魔法生物が創られた当時、地球人の存在が知られていない、或いは知られていても契約者の絶対数が少なく、その力の性質を解明出来ていなかったからだと推測されます」
「まぁ当時にこの遺跡が使われた形跡も無かったみたいだしな。下手すりゃ地球人の攻撃が有効って事実に気付いて無かった可能性もあるみてぇだな」
 続けてザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が報告する。その内容にローズが疑問を抱いた。
「使われた形跡が無かった? 確か調査前の皆の見解だと、あの遺跡は侵入者を捕らえるための罠だって意見が多かったみたいだけど、当時は侵入者がいなかったって事なのかい?」
「それがどうも違ったみたいなのよね」
 カルキノスの代わりに答えたのは水心子 緋雨(すいしんし・ひさめ)だった。彼女はそのまま自身が調べた事を報告する。
「最初は私もそう思ったから結界の外が怪しいと思ってたんだけどね。あの後に結界の中にある銅板をサイコメトリで読み取ってみたら、意外な事実が分かったのよ」
「意外な事実?」
「えぇ、銅板自体破損が激しくて全てを読み取れた訳じゃないんだけど、あの遺跡は本来シェルターとしての役割を持つ物だったらしいの。中に人が入って防衛システムを起動すると、結界が張られてその外に魔法生物が生み出される仕掛けね」
「でも、それだと疑問点が出て来るね。仮にパラミタ人だけがいたとして、結界と魔法生物があってもあの石を全て破壊されたら結界を維持する魔力は供給しきれないはずだ。あんな強力な魔法生物を生み出せる技術者がそんな不完全な防衛システムを考えるとは思えないけどな」
 エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が遺跡の状況を思い出す。
「それはあの結界が不完全な物だったかららしいわ。本来は結界自体が遺跡全体を覆う物で、魔法生物もその外に生み出されるはずだったみたいなの。でも、古王国が滅びたせいなのか時代の流れなのか……銅板が欠けたり遺跡自体が破損する事で、中途半端にしか効果を出せなかったみたいね」
「なるほど……ん? シェルターって事は、もしかして中から結界を解く事も出来たのかな?」
「そうね、完璧な状態なら中から解除する事も出来たみたい。でも教授達が閉じ込められた時は銅板が破損してたし、奥の部屋にあった文献も量が多かったから中の人達が無事なうちに結界を解除出来たかは微妙な所ね。とりあえず遺跡が沈黙した以上、あの時中からの脱出が可能だったかどうかはもう確かめようの無い事だわ」
 説明を終えた緋雨が花梨の淹れた紅茶を飲んで喉を潤す。
 静かな時間が流れるリビング。不意にこれまで話を聞いていた冴弥 永夜(さえわたり・とおや)が一言つぶやいた。
「つまりあの魔法生物は中の者を傷つける為ではなく、護る為に存在していたのか……まさに『古の守護者達』だな」
「そうだな……今の時代、必要の無い力であって欲しいな」
 透矢が永夜のつぶやきに反応する。シェルターとしての役割を持つ遺跡が力を発揮するとしたら、それは外敵が攻めて来て、退避せざるを得なくなった場合だ。
 仮に遺跡が完全な力を持っていたとしてもそれを使う事態にならないように。言葉にはそんな意味が篭められていた。
 シャンバラだけでなく、周囲の国も含めて動乱とも言える今のパラミタ。そんな中でもより良い未来が待っているよう、この場にいる者全員が透矢に頷きを返すのだった――

担当マスターより

▼担当マスター

風間 皇介

▼マスターコメント

 こんにちは。風間 皇介です。
 無事に第七作をお届けする事が出来――ませんでしたぁぁぁ!
 
 恐らく皆さんに公開される分には期日通りだと思います。
 が、実際には運営への提出締め切りを数時間破ってしまいました。
 私生活が急にもの凄く忙しくなったのが原因なのですが、これに甘えると公開日すら遅らせてしまいそうなので、気を抜かずに次回はきっちりと締め切りを守りたいと思います。

 
  
〜今回の予想外〜
 
・人数
 
 前回の146人が脳裏に焼きついていたので「これなら少しは落ち着くかな?」と思って地球人のみ攻撃可能な形にしました。
 (世界設定的にもその方が合っていたのもありますが)
 でも蓋を開けてみると前作に続いての多さでしたね。
 LCがおまけ的にならないかなと心配していたのですが、皆さんLCを上手く使って魔法生物の対処をしていたので一安心です。
 全ての相手で誰かしらが一網打尽にするアクションをかけていらっしゃったので、その辺を軸に構成させて頂きました。
 
 また、マスターシナリオ参加経験の少ない初心者の方々が多くいらっしゃったのも今回の特徴でした。
 中にはこのシナリオがマスターシナリオ初参加という方もいらっしゃって、嬉しく思います。
 こういった方々にとって、キャラクターの方向性を掴めるリアクションとなっていれば幸いです。
 

・悪役
 
 悪役戦隊ジャマスンジャー!
 ……とでも言えば良いのでしょうか。綺麗に揃いましたね。
 個人的には魔法生物と同時に現れて乱戦上等! な方がいなかったのが意外でしたが。
 しかしまぁ
 
 「もう、敵はPCだけでいいんじゃないかな?」
 
 そんな事を思っちゃいますね。ここまでくると。
 (実際には難しいのでしょうけど)
 段々因縁ともいえる組み合わせが出てきているみたいですし、そういった方々の戦いがマンネリにならない様、今後は上手く舞台設定を組み込んで行きたい物です。
 
 
・遺跡
 
 アクションを見る限りは「侵入者を捕らえる為の罠」と考えている方が多く、「実は中にいる人を護る物」と見破った方はいらっしゃいませんでした。
 (『守護者達』が何を指しているのかを疑問に思っている方はいらっしゃいましたが)
 逆に守護石の法則に関しては携わった全ての方が正解を選んでいましたね。
 保険として陰陽五行を推測された方がいらっしゃいましたが、それは次回以降、別のダンジョンで考えているギミックとなります(笑)
 連続で属性絡みというのもアレですし、まだ仕組みをどう関連付けるかが確定していないのでいつやるかは未定ですが。
 
 
・個別コメント、称号
 
 個別コメントに関してですが、今回は出来るだけ全員にしっかりと書かせて頂きました。
 (だから余計に締め切り時間オーバーしているのですが)
 称号はまた半数くらいの方がテンプレとなっています。ご了承下さい。

 

 それでは今回はこの辺で。次回また、篁ファミリーの冒険にお付き合い下さい。