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リアクション
第二章
「右手に見えるのは有名なろくりんピックスタジアムです」
食事を終え、バスで再び移動。ガイドのセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)が見えてきたろくりんピックについて説明を始める。
「空京で施工されていたシャンバラ宮殿及び天沼矛が完成した事を受け、シャンバラ地方で大規模なスポーツ大会を開催される事になった。それがろくりんピックです」
共にガイドをするセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が詳しい説明をする。
「対外的にはシャンバラ建国が成った事をアピールするためのものだったそうです」
そこにさらにシャーレットが詳しい説明を加える。
「質問いいかな?」
説明の後、リアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)が手を上げる。
「はい。どうぞ」
「シャンバラ建国が成った事をアピールするためのものだったということだけど、シャンバラが東西に分かれている今、ばらばらのシャンバラを一つに集め開催するなんてどうやっているのかな?」
「あ、えーっと……」
リアトリスの質問に詰まるシャーレット。助けを求めるようにミアキスに視線を送るとミアキスは軽くため息をつつも説明を始めた。
「現在は東西の代王が声明を出す事で東西シャンバラの共同開催という形を取っているそうです。そのためお互いが集まりこのような大会が開催可能になっているという事です」
「なるほど。詳しい説明をありがとう」
「ありがと、ミアキス。助かったわ」
説明を終え、シャーレットは小声でミアキスにお礼を言う。
「大丈夫よ。それじゃあ、引き続き頑張って」
「もちろん! えーこちらは――」
シャーレットが再びガイドを始めたのを見てミアキスはため息をつく。
「そんなため息をついてどうしたのかな?」
それを見ていたリアトリスが声をかける。
「いえ……」
そう言いつつもシャーレットのほうを見る。
「あっ! ごめんなさい。間違えちゃいましたね。あはは」
ミスをしても可愛い笑顔でごまかしているシャーレットを見て再度ため息をつく。
「彼女のことかな?」
「えぇまぁ。いつもは大雑把でもっとアチャラカな性格なので」
「なるほどね。まぁ、良いんじゃないかな」
「悪いわけではないのですが、普段からは全く想像できないほどの猫かぶりっぷりなのでつい……」
「あははは……」
そうしてシャーレットを見て呆れてため息をつくミアキスだった。
「ヒャッハー!! 汚物は粉砕だぁぁ!!」
一通りの観光地をめぐり、移動しているところでスパイクバイクに乗った多数のモヒカンが現れバスの周囲を包囲しながら走行を始めた。手には血煙爪やボウガン、アーミーショットガンなど武器を手にしている。
「きましたね……」
バスを運転する源 鉄心(みなもと・てっしん)がモヒカン達を見て呟く。
「皆さん! しっかりつかまっててくださいね!」
鉄心は速度を上げる。
「逃がすわけねぇだろうが!」
それにつられてモヒカン達も速度を上げ、追いかけてくる。
「そう、そのままついて来るんだ……」
鉄心の操る観光バスは観光兼モヒカン達が現れた際の囮用バスとして動いていた。バスに乗る、観光客も戦闘が出来る兵士などだけでかためてある。
「乗り込んで粉砕してやれ!」
他のモヒカンよりひときわ大きいモヒカンが指示を飛ばしている。
「くっ……!」
速度を上げようにもモヒカンが前方を妨害していて振り切れない。
「私がいきます」
バスガイドをしていたティー・ティー(てぃー・てぃー)が立ち上がる。
「お願いするよ」
「えと……バスガイガーメイクアップッ!」
ティーがそれと同時に持っていたベルフラマントで一度姿を消し、魔法少女の姿をして現れた!
そう、これがはやぶさバスのバスガイドさんの真の姿! 観光客と空京の平和を守る乙女! 聖服機甲バスガイガーなのである!
「ヒャッハー! いくぜぇ!」
バイクに相乗りしていたモヒカンが見事な跳躍力でバスの屋根に飛び移ってくる。
「まずい、乗られたか……!」
「いきます!」
ティーが窓から屋根へと移動する。
「あぁん? なんだてめぇは!」
「教導団です……今投降すれば罪は軽いです!」
「そんな素手相手に投降するかよ!」
モヒカンが持っていた血煙爪を振り上げて襲い掛かる。
「はっ!」
ティーが腕を振り血煙爪が弾き飛ばされた。
「な、なんだ!?」
「見えない剣、無光剣です……おとなしく投降してください」
剣をモヒカンに突きつける。
「ひぃ! わ、分かった! だから命だけは……!」
「あわわわ! どうしましょう! どうしましょう!」
ティーが戦闘している間バス内ではティーのガイドのお手伝いをしていたイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)がパニック状態でせわしなく動き回っていた。
「こらイコナ。危ないから動き回らない!」
「でもでも! こんなことわたくし聞いてませんわ!」
「とにかく、訓練どおりすれば大丈夫!」
「訓練どおり……。分かりましたわ! 皆さん、落ち着いて。押さない、かけない、喋らない、戻らないですわ!」
「イコナ……。それは、避難訓練だよ」
「はれっ! 間違えました!?」
呆れる鉄心。乗っているみんなもイコナの慌てっぷりのおかげか緊張感がほぐれたようだった。
「まぁ、良いかな。このまま行きますよ!」
「お前ら! 追えー! 逃がすんじゃねぇぞ!!」
鉄心のバスは本来の目的どおり、多数のモヒカンをひきつけることに成功した。
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