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夏だ! 祭りだ! また喧嘩神輿だ!

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夏だ! 祭りだ! また喧嘩神輿だ!

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ロケットおっぱい鉄道神輿vs海賊神輿

 
 
「さあ、最初に戦いが始まるのはどこでしょうか。あっ、今情報が入って参りました。すでに、ロケットおっぱい鉄道神輿と海賊神輿がぶつかり合いを始めたようです」
 シャレード・ムーンさんの実況とともに、オーロラビジョンの映像が切り替わります。
「おっぱい! おっぱい!」
 なんともいかがわしいかけ声に、思わずさすがのデクステラ・サリクスさんも一瞬自分の胸を腕で隠す仕種をしてしまいます。
「不愉快だわ。さあ、みんな、ラム戦の用意よー」
 デクステラ・サリクスさんが部下たちに命令すると、御神輿に載った海賊船の船首から槍が出てきました。これで相手を貫こうという作戦のようです。
「ようし、突っ込むぞ」
「おーっ!」
 シニストラ・ラウルスくんの号令で、ロケットおっぱい鉄道神輿めがけて海賊神輿が突っ込んでいきます。
「あららら……!?」
 突然、デクステラ・サリクスさんがすってんころりんと、大股開きですっころびました。どうやら、道路に落ちていた水風船を踏んですべってしまったようです。そのまま、御神輿全体がバランスを崩して、つんのめって道路に槍を突き刺して身動きとれなくなってしまいました。
「よし、今のうちに攻撃です
 好機とばかりに、如月正悟くんが叫びました。
いくぜ、いくぜ、いくぜ。ライザァァァァー!!」
「承知しました、マスター。トライアンフ、オープン。セット。ブースター、オン!」
 武神牙竜くんの命令で、重攻機リュウライザーくんが加速ブースターを全開にしました。御神体の前面にトライアンフがそそり立ち、背部から赤い炎が吹き出して一気に御神輿が加速していきます。
「うわあああああ……!?」
 予想以上の加速に、担ぎ手の男衆がほとんど担ぎ棒にしがみつく形ですっ飛んでいきます。まるで、御神輿自体がミサイルのようです。
「あーれー」
 綺麗にトライアンフに掬い上げられるようにして、海賊神輿がロケットおっぱい鉄道神輿に吹っ飛ばされて宙を舞いました。完全に逆さまになって道路に落下して半壊します。
「もういい、ライザー、止めろ、止めてくれ〜!」
 勢い余ったロケットおっぱい鉄道神輿が道路を駆け抜けていきます。そのまま、止まることなく行ってしまいました。
「くっそう、まだまだ。すぐに神輿を立てなおせ……」
 投げ出されて道路に転がっていたシニストラ・ラウルスくんが、他の者に言ったときです。
「ほーっほほほほほ。踏みつぶしておしまい!」
 どこから現れたのか、お嬢様の神輿が突っ込んできました。
 バキバキバキ……。
 執事君とメイドちゃんが、容赦なく海賊神輿を踏みつぶしていきます。もはや、御神輿は原型が残っていません。
「きっさまあ、何をする!」
「ほほほほほ、神輿を失った者が、見苦しいですわね。この世界、勝てばいいのです。さあ、次に参りますわよ!」
 怒りを顕わにするシニストラ・ラウルスくんに、御神輿の上に乗ったお嬢様が平然と言い返しました。そのまま、さっさと姿をくらまします。
「さすがはお嬢様ですぅ。実に卑怯ですぅ♪」
 勝つためには手段を選ばす、ほとんど戦闘能力を失った御神輿に横から現れて止めを刺すお嬢様に、神代明日香さんが賞賛を贈りました。
「というわけで、今、無事に一つ御神輿を潰したんだもん」
 携帯電話を片手に、ノーン・クリスタリアさんがエリシア・ボックさんに告げました。微かに、チッと言う音が携帯のむこうから聞こえたような気もしますが、多分気のせいでしょう。