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刮目! アイドル大喜利!!

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刮目! アイドル大喜利!!

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大喜利其の参

「さて、第2試合の結果です。

 チーム若草は座布団3枚、若松プロデュースは座布団2枚ゲット、マイナス1の1枚です!」

アナウンスが入る。いよいよ第3試合だ。

「この試合はワタクシ、この番組元々の司会者が勤めさせていただきます

 元司会者とお呼びください。 ……名前はもういいです、ハイ」

ややいじけ気味の自己紹介の後、気を取り直して続ける。

「まずはヴァーナー・ヴォネガットさんです、どうぞ〜!」

伝統パビリオンのかわいらしい制服姿のヴァーナーが、元気良く挙手した。

「はーい! ヴァーナー・ヴォネガットこと歩音月兎帝 撫吾奈吾です〜!! 

 大喜利って日本のコメディアンの人のゲイなんですか?

 むずかしいけどがんばるですよ〜♪【お題:なぞかけ】でいきまーす。

 ゆるスター とかけて ステキなハンドバック ととくです」

「ふむふむ、その心は一体なんでしょう?」

「どちらもカワイイ(革良い)なんです〜」

「な〜るほど。かわいいので座布団1枚いってみましょう!」

「わーい! やったぁ!」

ヴァーナーが座布団の上でぴょんぴょん飛び跳ね、手を叩いて喜ぶ。

「お次は涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)さんです、どうぞ〜」

涼介のテンションは最高に高かった。と言うのも彼は、地球にいるときはこの番組を毎週欠かさずに見ていたほどのファンなのだ。その番組に出られるというのだから、嬉しさも一入というものだ。すっと挙手し、にこやかに続ける。

「お祭騒ぎの パラミタ公録 アイドル揃いの 艶姿。

 本日はたくさんのお運びで。アイドルの皆さんもが皆様の温かな声援をお待ちしております。

 私、宿木亭涼庵です」

そこで一旦言葉を切ると、深々と一礼する。

「えー、私は【お題:なぞかけ】で参ります。

 サイコロ勝負とかけましてここにいるアイドルの全員と解きます」

「して、その心は?」

「どちらもみんなが”だいすき”になります!」

「大好きとダイス! おおーっと、これはきれいに決まったぁー!! 座布団2枚進呈致しますっ!」

涼介は喜びを押さえつけているものの、その表情は輝かんばかりだ。

「さて、次なる出演者は、ラブ・リトル(らぶ・りとる)さんです!

 大変小柄でいらっしゃいますので、カメラさんズームでお願いします!」

ハーフフェアリーのラブは身長が30センチない。彼女はせっかくだからと、ミニチュアサイズの現代コンパニオン衣装で参加している。

「はーい、ラブでーす♪ 今日は〜、皆で楽しもうね!

 ……ってこらー! 恥ずかしいから写真取るなー!」

「まあまあ、テレビ中継ですし……」

元司会者がなだめる。

「うーん。そっかぁ。ま、いいや。【お題:なぞかけ】でいきまーす。

 あたし達『アイドル』とかけて、『ヴァーナーの可愛い胸』とときます!」

「ほうほう、その心は?」

「どちらも『揉まれるほどに大きくなる』でしょう!」

反応したのはヴァーナーとエヴァルトだった。見る見る2人の顔が顔が真っ赤になる。完全にシンクロしている。

「うーん、これは……。 うまいですが、番組ご禁制の下ネタに入りますからねー。

 残念ながら座布団は差し上げられませんねぇ」

ラブはむーっとふくれた。

「むぅ! じゃ、そこの客席にあたしの相方のでっかい奴もいるんだけど、あいつがもいっちょなぞかけするよー! 」

いきなり客席最前列3席を占めて座っていたコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)を、びしっと指差す。ハーティオンは初めての大喜利を楽しく見ていたのだが、もともと大きくて目立つ上、手を尽くして最前列のチケットを購入したのがどうやら仇になった模様だ。

「わ、私?! い…… いや私はただの見学で大喜利など出来るわけも……!」

うろたえまくるハーティオンに、ラブは続けて言う。

「ホラホラ、ハーティオン。ここまでしっかり見てた勉強の成果を見せなさーい♪」

「う ……べ、勉強の成果とは……! ぬうう……! テスト…… か。し、仕方が無い……」

ラブは自称だがハーティオンの先生なのである。先生には逆らえないハーティオンであった。ガションガションと舞台上に上がり、一礼する。

「私は蒼空学園のハーティオン ……です。【お題:なぞかけ】で……。

 あ、『アイドルのお仕事』とかけて…… は、『働くロボット』と ……と解きます」

語尾が霞む。元司会者が励ますように言う。

「アイドルとロボット。これはまた面白い組み合わせですねー。 して、その心は?」

「ど… どちらも…… 『頑張る機会(機械)』が多いでしょう……」

マイクがやっと捉ええられるような小さな声で言う。機械だけに赤くなれないが、なれるものなら全身熟れたトマトのようになっているだろう。そして次の瞬間。

「……だ、……だから私にはできないと言ったじゃないかぁーっ!」

と叫ぶや、会場から猛烈なスピードでガションガションと走り去っていってしまった。

「いやー、これはうまい! 座布団3枚差し上げたいところですが ……ご本人がおいでになりませんね」

「あら、あたしのパートナーなんだから、あたしにくれればオッケーよっ!」

ちゃっかりとハーティオンの座布団をせしめたラブである。

「意外な飛び入り展開でしたが……続きましては後攻、若松プロデュースです。

 一番手は若松 未散さんです」

アピールタイムとはまた違った、和装の若松がすっと挙手するや、

「みちるちゃ〜〜〜ん!」

「みっちるちゃああーーーん」

会場から数名の声が叫ぶのが聞こえてきた。茅野瀬 朱里(ちのせ・あかり)が先ほど雇っておいたサクラである。
会場にもぐりこんでいた朱里が、若松が壇上で手を上げるのにあわせて叫ぶよう指示してあったのである。朱里は個人的に若松の私服警備も勤めるつもりなので、会場中にももちろん目を光らせていた。

(あまりにもアイドルが好きすぎて舞台に乗り込もうとする輩はどこにでもいますからね。

 こういう会場というのは、危険なのです)

壇上では若松が答えていた。

「えー、私は【お題:なぞかけ】で。

 落語家とかけてファッションデザイナーと解きます!」

「落語家とファッションデザイナーですか。その心は一体?」

「その心は、どちらも扇子(センス)が大事です」

「なるほどー!! さすが落語家。これは座布団3枚でしょう!」

「ありがとうっ! えー、本日は私と一緒にチームを盛り上げてくれる愉快な仲間達もよろしくお願いします!!」

ここで深々と一礼する。

「それでは続きまして、シャーミアン・ロウ(しゃーみあん・ろう)さんですっ!」

獣人のロウが、長いポニーテールをさっと振って挙手をする。

「それがし、シャーミアン・ロウと申します。

 【お題:なぞかけ】で参ります。

 846プロのアイドル」とかけて『最近の神無月』と解きます」

「神無月と申しますと、地球の日本における10月の異称ですねぇ。

 果たしてその心は?」

「なかなか秋(飽き)が来ないでしょう」

「文化と現代の異常気象のミックスですねー。それでいてわかりやすい。
 
 座布団2枚差し上げましょう!」

「かたじけない」
 
にこやかに座布団を受け取るロウ。そこへ先ほどから前列で一人、

「ちょっと捻りがないですね〜」

「あはは、今の私好きかも」

などと突っ込んでいた坂上 来栖(さかがみ・くるす)が、突如壇上に上がりこんできた。そしておもむろにカメラの前につかつかと進み出る。

「カメラさ〜ん、これですか? よしよし……

 こう見えて私、落語とか好きなんですよ、メディアとか持ってますし〜」

そう言いつつ目が泳ぐ坂上。それからおほんと咳払いすると、

「蒼空のフロンティアとかけまして、アイドルと解く。その心は!

 どちらもPが重要です! Pは解説すると〜、ポイント、プロデューサーね〜」

会場で警戒に当っていた朱里がすぐに駆けつけてきた。

「乱入は絶対ダメですっ!」

叫ぶや坂上を怪力の籠手を装備し、万一の事態のためにアイアンフィストを発動させたた両手で押さえつける。

「まーカタいこと言わないでさー」

などとのらくら言っている坂上を、遅れて駆けつけた警備員と共に舞台から強制退場させる。

「ではまた次のシナリオでお会いしましょう。さよ〜なら〜」
 
向こうの方から、坂上の声だけがかすかに聞こえてきた。

「……思わぬアクシデントでしたが ……皆さんお怪我もなく、良かったです」

元司会者が言い、第3試合はこうして終了した。