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【重層世界のフェアリーテイル】オベリスクを奪取せよ!(後編)

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【重層世界のフェアリーテイル】オベリスクを奪取せよ!(後編)

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ドールズマスター/ハル

「さてさて、親玉はここにるんかなー?」
 ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)が壊した壁の中を除く。中には一本の大きな機械の柱がたっており、上まで突き抜けていた。
「おいおい、潜入ってのにド派手過ぎやしねぇか? いまさらだけど」
 レヴィ・アガリアレプト(れう゛ぃ・あがりあれぷと)が言う。
「いいじゃないの。楽しくド派手に行きましょうよ! どうせバレバレなんだし」
 と上機嫌の伏見 明子(ふしみ・めいこ)。彼女の持つ『ツワンク旅のしおり』には「本拠地潜入時にはテンションを上げて行きましょう!」と書かれている。
 バレバレと言うのも、侵入して直ぐにアンドロイドの攻撃を何度も受けている。
「でも、アンドロイド程度じゃいくら来ても満たされないのよね。親玉はつよいのかな?」
 緋柱 透乃(ひばしら・とうの)は肩をすくめた。
「ドールズを操る者。さしずめドールズマスターってところか?」
 一体どんな的なのだろうか? と、クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)
「にしても、何なんだろうねこの柱。すっごい高いよ?」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が柱を見上げる。
「まるでRAR.と同じだな。あいつも機械の柱だし」
「ええ、同じでございますよ。これはコンピューターのようです。型番がここに――」
 ライオルド・ディオン(らいおるど・でぃおん)ハングドクロイツ・クレイモア(はんぐどくろいつ・くれいもあ)の示すプレートを読む。そこには『OD-10』と書かれている。
「――、誰か来たよ!」
 エイミル・アルニス(えいみる・あるにす)の耳に微かな車輪の摩擦音が聞こえた。
 機械の車椅子に乗った女の子がコチラに向かってくる。
「あら、苛めたくなるほど可愛い子ね」
 と、女の子を見るなり緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)が言う。
 だがそいつはおかしなことに、この世界には居ないはずの少女だった。
「この娘、機晶姫ですわ!」
 三田 麗子(みた・れいこ)の言葉に一同驚く。
 壊れた外見、体中に繋がるコード、そして亀裂から見える機械の内蔵と機晶石の輝き。
〈よくここまで邪魔しに来たね〉
 邪悪な笑顔が皆を迎える。
〈はじめまして、私はHAL。あなたたちの敵。『大いなる者』の意思の欠片ってところね〉
 ふふと自己紹介するハル。
〈残念だけど、この子の体に意思を固定されてて、直接あなた達を滅ぼせ無くて忌々しいんだけど、ちょっと待ってくれるかなぁ? ドールズとナノマシンでもうすぐオリュンズを制圧できるから〉
「おいおい、冗談だろう? お前一人であのドールズとナノマシンを全部操ってたのか?」
 ラルクは「信じられねぇ」と続けた。
〈そうよ? 簡単な話よ。ここにあるマザーコンピューター『OD-10』を使って、代理演算させるだけだしさ。この世界の機械って便利だよね? なんだってできちゃう。そう、あなた達が戦っていたのは、コンピューターの演算の結果動くお人形だったのよ。驚いた?
 そして、その命令を下しているは私〉
「では、あなた様を倒せばこの戦いは収まるのですわね!」
 島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)がそう結論付ける。
〈あらやだ。こわーい! 私は自分のモノを返して欲しいだけなのにぃ〜〉
 足元が微かに揺れる。いや、この部屋が微振動している。
〈邪魔だし怖いし、壊されるのは嫌だから、死んでくれるよね?〉
「来ます!」
 島本 優子(しまもと・ゆうこ)が《オートガード》を発動。うねり貫く機械の鞭をレッドラインシールドで防ぎきる。
「レヴィ!」
「しゃぁねェな!」
 明子がレヴィを魔鎧させ、装着する。《殺気看破》。床から突き出る槍を避ける。