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【重層世界のフェアリーテイル】オベリスクを奪取せよ!(後編)

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【重層世界のフェアリーテイル】オベリスクを奪取せよ!(後編)

リアクション

〈『OD-10』 はドールズたちの演算と『人を守る』っていう根幹定義があるから、直接的に人間を殺せないの。代わりに私が直接機械を操って、殺してあげる。ここは私の操る殺戮空間。楽しんで逝ってね〉
「冗談じゃないよ! 誰がむざむざ殺されるか!」
 明子が叫ぶ。
「ハングドクロイツ! みんなを援護するぞ! エイミル、《イナンナの加護》を」
 ライオルドは後方から援護射撃に徹する。
「わかった! あなたたちに、《イナンナの加護》があらんことを」
「コチラも防御を固めますわ!」
 ヴァルナが《護国の聖域》を展開。
「イクぜ明子」
「いつでもOK ラルクさん!」
 ラルクは《神速》、明子は【アクセルギア】で加速する。ハルへと直接攻撃を仕掛けにかかる。
「私が動きを封じます!」
 クレーメックが《テクノパシー》を使用。ハルに取り巻くナノマシンに機械攻撃に干渉、妨害する。向こうの操る機械の数が多く、一回一回発動しないといけないため、無茶な乱用となる。
〈億、兆単位のナノマシン相手にそんなのムダムダ〉
 麗子が、クレーメックを抱えて《空蝉の術》で攻撃を回避。
「なら、火炎に火炎を重ねて、ナノマシンごと焼き払う!」
 美羽が《パイロキネシス》と《ヴォルテックファイア》を発動。ナノマシンとハルを同時に燃やす。
〈ちょこざいなことを――〉
 ナノマシンを焼かれたものの、ハルは耐熱防壁を展開し、少しのやけどで難を逃れる。一時的に再生機能は失われる。
「あら、意外とそう言うの効きそうですか? 一応機晶姫ですし」
 陽子は凶刃の鎖【不韻】での遠距離攻撃から、《絶対暗黒領域》での強化、《罪と死》の発動。
 その攻撃の隙に、透乃も《リジェネレーション》《龍鱗化》《修羅の闘気》を自らに掛けて、恐れず直進する。
「お前の動きは見切ったぜ!」
 ラルクは《行動予測》、明子は《ミラージュ》の併用でハルに接近。《神速》加速の《鳳凰の拳》と、《チャージブレイク》からの《ソニックブレード》で挟撃する。
 対し、ハルは防御壁を展開し、受け止めるが、衝撃のダメージが通る。
 更に畳み掛けて、防御体勢に固定させる。
「正面がお留守だよ!」
〈くそぅ!〉 
 レーザーで接近者を薙ぎ切ろうとする。が、
「透乃ちゃんは傷つけさせません!」
 陽子がアンデッドを使役し、レーザーに組み付かせて肉壁にする。《アルティマ・トゥーレ》でアンデッドごと凍結させる。
 ハルはもう一枚とっさに壁を出す。
「ムダムダぁ!」
 【烈火の戦気】が壁に突き刺さる。《金剛力》による怪力で壁ごとハルを殴り飛ばす。壁がひしゃげて、ハルを襲う。
 ハルが車椅子から吹き飛び、そのカラダがコンピューターに叩き付けられた。
〈……このカラダは厄介ね。上手く動けないし――〉
 長い年月、メンテナンスされることのなかったハルの体はまともに駆動してくれない。
〈なら、ちょっと新しい体がいるわね〉
 ハルが『OD-10』に触れる。
 部屋全体が揺れ始め、床がハルへと吸い込まれていく。
「ちょっと! これなんなのぉ!?」
 美羽が喚くとベアトリーチェから通信が入る。
“美羽さん。ナノマシンのデータを入手しました! 危険な感じがします脱出して下さい!”
 揺れる足場の中。一同は出口に向かって加速した。