First Previous |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
Next Last
リアクション
「なにっ!?」
と、人々を避難誘導していたイグナがその声に気づいた。
彼女はすぐさまその背に光の翼を生じさせると、燐光を振りまいて地上を飛ぶように高速で走る。
「間に合えッ!」
そしてふたりと屋根の間になんとか割って入ると手にした高周波ブレードで一閃。
すると屋根はまっぷたつになって、後ろのふたりを避けるようにどこかへ飛んでいった。
「た、助かったんだよ」
「そうみたいね」
ホッと息をつくプーチンと美咲。ふたりはイグナにお礼をいった。
「大丈夫でしたか?」
近遠が慌ててやってくる。そしてプーチンと美咲に「ここは危ないですから一緒に逃げましょう」と促した。
だがプーチンも美咲も目の前の光景をなんとか記録したいと思っていたので避難を渋る。
「軍の方々が到着したようですわ」
と、ユーリカはそういって近遠の側へやってきた。
「ここの避難誘導は軍の方におまかせして、アルティアたちは逃げる方々を避難場所まで安全に誘導した方がいいのではないでしょうか?」
アルティアもやって来て近遠にそう告げる。
近遠は「そうしましょう」といってうなずくと、避難する人々たちを安全な経路から避難させるために動き出した。
「一緒に行きましょう」
ニコリと微笑んでユーリカがプーチンと美咲を促す。
ふたりは渋々ながら立ち上がるとユーリカに手を引かれる形で逃げる人たちの中へ。
イグナとアルティアはそんな人々を守りながら、一緒に避難していく。
「ルーク・カーマインか?」
と、到着した軍に指示を出していたルークに声をかける軍人がいた。
「そうですが、なにか?」
ルークは指示を出す声を止めてそう答える。
するとその現場責任者らしき軍人はルークに避難が完了次第、イコン部隊がこの場所へ突入してくることを告げた。
「それは本当ですか!?」
それを聞いたルークは思わず声をあげた。
暴力を嫌い。暴力以外の事件解決を図るルークにとってそれはあまり良い知らせではない。
すぐさま中止を進言するが、現場の判断ではないと返されてしまう。
それならとルークは上層部にかけあうために通信を入れた。
「イコン部隊の出動はまだ待ってください!」
通信が繋がるとそう叫びながらルークは視線をもっくんたちの方へと向ける。
地団駄を踏んで怒るもっくんとそんなもっくんを見て笑い続けるペシェ。甘酒に気づいたイオマンテは大きな樽を掴んでごくごくとそれを飲んでいる。
そしてそんなもっくんたちをなんとか正気に戻そうとしている契約者とそのパートナーたち。
ルークはそんな彼らが必ず事件を無事に解決すると信じていた。
しかしルークの言葉は上には届かなかった。一方的に通信を切られ、雑音が虚しく耳に響く。
「クソ」
ルークは小さくそうつぶやいてHCを強く握り締めた。
「ちょっとアンタ! どうなってるんだ!?」
「そうそう、なんか大変なことになってるみたいだけど?」
と、ルークと同じシャンバラ教導団の軍服を着たハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)がパートナーの鶴 陽子(つる・ようこ)と共にルークの元へ駆け寄ってきた。
ルークはそんなふたりへと簡単に状況を説明する。
「イコン部隊が突入してくるその前になんとかしたいんですが……」
「なるほど、アイツは酔っ払ってるわけだ」
話を聞き終えたヴェーゼルは腕組みをして何やら考え込む。
そして何かを思いついたのか手を打ち合わせると陽子を指さした。
「そうだ! ならばいっそ、完全に酔い潰してしまえばいい」
「えっ、どういうこと?」
「ヤマタノオロチ作戦だ」
ヴェーゼルはそういうとニヤリとした笑みを浮かべた。
First Previous |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
Next Last