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ACT2 巨大ゆる族、増える!?


「目つきの悪い巨大な熊。はて? どこかで見たような……」

 騒ぎが起こってからひとり考え込んでいた変熊仮面。
 と、ようやく何か思い当たったのか手を打った。

「あ〜っ、思い出した。俺様のパートナーにそっくりなんだ……って、それどころではない! このままでは誰も俺様に注目しないではないかっ!」

 目立ってナンボと心に決めている変熊仮面。
 自分より目立つもっくんをなんとかしようと、マントの中から携帯電話を取り出してさっそくパートナーの巨熊 イオマンテ(きょぐま・いおまんて)を呼び出す。

「おーい、お前の偽物が暴れてるぞー。すぐこっちに来て取り押さえてくれたまえ」

 するとまるでそこに控えていたかのように巨大リアル熊ゆる族イオマンテが「ぐもーッ!」と雄叫びを上げて神社の木々の中から現れた。
 その体は巨大でもっくんと同じくらいはあろうかというほど。そんなイオマンテを見て変熊仮面はウンウンとうなずく。

「よし、行けイオマンテ! あの偽物をさっさと取り押さえるのだ!」
「まかせい!」

 イオマンテは変熊仮面の命令を受けてもっくんに突撃していく。
 電撃攻撃から復活してようやく起き上がったもっくんは、聞こえてくるドスドスという足音に後ろを振り向いた。

「イタタタっ……んぁっ?」

 するともっくんとイオマンテの目があった。

「あっ」

 イオマンテは小さな声を出してその足を止める。
 そして体を震わせると突然叫んだ。


「………いい男やんけ!」


 目を輝かせもっくんへの突撃を再開したイオマンテ。
 もっくんの側に近寄るとその手を取ってなにやら話し始める。
 そのうちにはふたりは意気投合したのか、肩を組んで拳を振り上げ歌などを唄いはじめる。

「なっ、なによ! どうなってるのよぉッ!?」

 戦おうと意気込んでいたセレンは肩透かしを食らってガクンと膝を折った。

「大きいのがふたりになって歌ってるわね……あっ、今度は腕を組んでスキップを始めたわよ」

 セレアナが冷静に状況を説明する。

「っていうか、なんでふたりに増えちゃったの!?」

 ユーリはそういって頭を抱えた。

「ひとりでも大変そうなに、ふたりになったらもっと大変だよ」

 スコリアは目に少し涙を浮かべる。
 4人はそれぞれどうしていいかわからずにただただその状況を見つめていた。