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取り憑かれしモノを救え―救済の章―

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取り憑かれしモノを救え―救済の章―

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●行動

 蒼玉石を取り外す作業に少し時間要している。
 苔を剥ぎ、きっちりとはめ込まれた玉石を壊すことなく取り外すのに手間が要るようだった。
「お手をどうぞ」
 そんな中、わざとらしく礼をしながら手を差し出すのは、エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)だ。
「うわー、そんなこと言われたの初めてなんだけどー!」
「美しい、または可愛らしい方をくどく。それこそ我が流儀でございます」
「あはは、あなた面白いねー。真っ黒ローブでちょっとびっくりしたけど!」
 けらけらと笑って、ミヤはエッツェルの手を取る。
「それじゃあ、エスコートお願いできますかな?」
「喜んで!」
「あ、でも、私が死者だからいいけど、あなた本命の子以外にそういうことしちゃダメだよー?」
 何かを見透かしたかのように、エッツェルへと言った。
 そんなミヤにエッツェルはくすりと笑うと、
「何を仰いますか! これは愛の伝道師としての私の使命ですよ! 口説かなくてどうするんですか!」
 熱弁する彼に、
「早くしないと置いていきますよ」
 呆れたように、紫月唯斗(しづき・ゆいと)が言った。
 唯斗はミヤと視線を合わせると、
「俺たちはこれ以上悲劇を繰り返さない為に戦ってる。そして、アンタを開放する! 勿論アンタの弟もだ!」
「うん、頼むよー」
 気の抜けた笑みで持って返す。
 それは、唯斗なりの宣誓でもあった。
「弟の事情をしらないようなら、道中で説明するが――」
「ううん、それは全部知ってる。だから大丈夫だよ」
「そうか……。それじゃあ俺は道中の露払いをしよう」
 そう言って、唯斗はその場から離れた。
 ソレと入れ替わるようにして、師王アスカ(しおう・あすか)がまたやって来る。
「ねえ、ミヤさん。私の最初の質問だけど。答え出た?」
 そういって、もし、と続ける。
「弟さんを一発殴ってでも叱りたいって思うなら、私の体使ってもいいわぁ、憑依の為に貸してあげる〜」
「ありがとう。もし、そのときになったらよろしくね。準備もできたみたい」
 地鳴りが一つ。
 続けて、ガラス板が粉々に崩れる時に似た音が辺り一帯に響いている。
「みんな、聞いて!」
 唐突にミヤ声を上げた。
「あのね、私実はちょー怖いみたい!」
 そんな宣言に皆が皆ぽかんと呆ける。
「もし、私が逃げようとしたら、誰か叱って、止めてね! 絶対だよ!」
 自然、苦笑が漏れた。
 うんと皆が頷く
「それじゃあ、道中、よろしくねー!」
 説得に来ていた皆に向かって、ミヤは笑ってそういった。