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【第二話】激闘! ツァンダ上空

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【第二話】激闘! ツァンダ上空

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第三章

 同時刻 HMS・テメレーア 艦橋

「目標。本艦の重力波砲による砲撃を回避。ただし、それにより友軍機は敵機による近接攻撃から離脱成功――ひとまず目的は達成」
 オペレータ席でコンソールを叩き、砲身冷却コマンドを入力しながらローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は歴戦の兵士らしく落ち着き払った声で淡々と告げる。
「了解。砲身の冷却が完了後、随時支援射撃が行えるよう、射撃可能状態を維持しつつ本艦は友軍との合流地点まで向かう。現時点で方針に変更はなし。艦隊を組む友軍艦にもその旨を伝達――以上だ」
 ローザマリアからの報告に答えたのは、彼女以上の落ち着きと威厳に満ちた声だ。声の主は壮年の男であり、その男こそ艦長席に座る西洋人――ホレーショ・ネルソン(ほれーしょ・ねるそん)である。
「アイ・アイ・サー。本艦はこれより約300秒で交戦地点へと到達します」
 艦長であるホレーショに了解の意を伝えると、ローザマリアはオペレータ席のコンソールに目を落とした。砲身の冷却状況を示すバーグラフは既に半分以上が埋まり、再射撃が可能となりつつある。場合によっては再度、先刻と同様に艦砲射撃ならぬ『艦砲狙撃』を自分が行う必要が出てくる可能性は大いにあるだろう。それを意識しつつ、彼女はマップのデータにも目を走らせる。マップ上に表示されているマーカーの数は五つ。そのすべてが友軍戦力だ。
 飛空艦と機動要塞の合計四隻からなる混成艦隊。それが今の友軍戦力だった。
 救援要請を受けた教導団は同じく救援要請を受けた天御柱学院と連絡を取り迅速に連携。結果として双方の本校から出撃した戦艦が合流し、都合四隻もの戦艦を擁する混成艦隊が完成したのだ。両校の戦力はツァンダに向かう途上で合流を果たしており、そのおかげで戦力を一気に投入することも可能となったのである。
 現在、ローザマリアたちが乗艦するHMS・テメレーアはもう一隻の友軍艦――ウィスタリアと申し合わせ、前衛として横二列に展開している。テメレーアは右、ウィスタリアは左に位置し、その後ろに司令部のあるArcemを、更にその後ろに土佐を配置し各艦をYの字の線で結ぶ様な陣形に展開し進撃する陣形を展開中だ。
 そして、この艦隊の面倒を見るのも、戦艦の指揮において最も経験豊富なホレーショが務めている。
「蒼空学園の危機か……」
 一人静かに重々しく呟くと、ホレーショはゆっくりと立ち上がり、通信用のマイクを手に取った。そうした動作の一つ一つからも、彼の持つ威厳がひしひしと感じられる。マイクを軽く叩き、しっかりと接続されているのを確認すると、ホレーショはやはり威厳を感じさせる声で荘厳たる言葉をマイクに向けて告げる。
「全艦に告ぐ。これより戦場へ急行する。各員がその義務を尽すことを期待する」
 その艦長としての荘厳たる振る舞いに、ローザマリアは敬礼と共に応えた。
「アイ・アイ・サー」