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【ぷりかる】コンロンに潜む闇を払え

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【ぷりかる】コンロンに潜む闇を払え

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二章 闇討ち

 空は相変わらず曇っており、屋敷に明かりは無く静かで不気味な屋敷の中で足音だけが聞こえる。
「さっきから……妙な感じだな」
 屋敷内を先行していた白銀 昶(しろがね・あきら)清泉 北都(いずみ・ほくと)の前を歩きながらあちこちに視線を飛ばす。
「多分忍者だよね……そろそろ本隊が近いのかな?」
「なあ! いい加減、こそこそしてないで出てこいよ!」
 昶が叫ぶ。だが、反応は無い。
「……だんまりか、北都、頼んだ」
「うん」
「もし相手が忍者なら出来るだけ殺さずに始末するようにしてもらいたい。我は奴らの装束を奪うつもりなのでな」
 テレジア・ユスティナ・ベルクホーフェン(てれじあゆすてぃな・べるくほーふぇん)に憑依しているマーツェカ・ヴェーツ(まーつぇか・う゛ぇーつ)は釘を刺した。
 北都はおもむろに弓を取り出し、矢をかけて弦を引き絞り、躊躇なく壁に矢を放った。
 矢は真っ直ぐに壁へと突き刺さり、その瞬間、まるで壁から押し出されるように黒装束の男たちが三人飛び出し、刀を抜くと、昶に向かって突っ込んで来る。
 忍の一人は仲間の背を踏み台にして上段へ、踏まれた忍はその衝撃に逆らわずに下段へ、控えていた最後の忍は突きの構えで昶に一斉に襲いかかる。
「昶、下がって!」
 北都の命令に昶は反射的に反応して、忍たちの刀の届く範囲から一気に離脱する。
 上段と下段の攻撃は不発に終わったが、中段は後ろに飛び退った昶を追い詰め、北都は昶の脇を狙って忍者に弓を射る。
 矢は真っ直ぐに忍者の首筋に飛んでいくが、刀を振り下ろされて真っ二つに折られてしまう。
「一人で飛び出しすぎた!」
 昶は刀を振り下ろした状態の忍の胴を刀の峰で薙ぎ払った。
「っ!?」
 骨が軋むような嫌な音が響き、忍はそのまま動かなくなってしまう。
「……」
 忍二人はそれを静観し、互いに目を合わせると後ろにジリジリと下がって行き、そのまま北都たちの前から姿を消した。
「……逃げたか、数が同じになったら迷わず撤退って、仲間やられたのに薄情な奴らだな」
「きっと報告しにいったんだよ。それに勝率が高くなさそうと判断したらすぐ逃げだす相手の方がよっぽど厄介だよ……ああ、面倒なことになったなぁ」
「それで、どうする?」
「このままゆっくり先に進もう。それなら後から来る人たちと合流できるだろうし……次は多分、本体が来るだろうからね」
「先に行っていてくれ、我はこれから別行動だ。これを着て、敵の懐に潜り込む」
「そっか、無茶はするなよ?」
「無用な心配だ」
 テレジアは薄く笑みを浮かべると忍を抱えて、どこかへ消えてしまう。
 昶は刀を収めると再び周囲を警戒しながらゆっくりと歩き始め、北都も後ろから仲間が追ってきてないか確認しながら前に進み始めた。