リアクション
ツァンダの新年 「みんな、いらっしゃーい」 自宅で忘年会を開催した八神 誠一(やがみ・せいいち)が、やって来たお客様たちを出迎えていました。 「来たよー」 新年会に招かれたリアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)が、スプリングロンド・ヨシュア(すぷりんぐろんど・よしゅあ)とサフラン・ポインセチア(さふらん・ぽいんせちあ)を連れてやって来ました。他にも、続々とお客様たちがやって来ます。 「こんにちは。お招きに預かり、親子でやって参りましたぞ。ああ、後の二人はおまけです」 マリオン・フリード(まりおん・ふりーど)を連れたルイ・フリード(るい・ふりーど)も、八神誠一に挨拶します。 「まあ、我が輩は確かにおまけみたいなものでありますからな。ここで大人しく待っているであります」 とても家の中には入れそうもないノール・ガジェット(のーる・がじぇっと)が、庭に駐車姿勢で座り込みました。 「確かに、おぬしはおまけではあるが、わしは違うぞ。しっかりと酒も飲める。さあ、いざゆかん、大吟醸の海へ!」 おまけ扱いするなとばかりに、深澄 桜華(みすみ・おうか)が大手を振って乗り込んでいきました。 「ほら、マリオンも挨拶するのでーす」 「うっ……」 ルイ・フリードにうながされて、彼の陰に隠れていたマリオン・フリードがちょっとだけ顔を出しました。 「つ、次は、ギャフンと言わせてやるのです!」 そう言うと、また、ささっとルイ・フリードの後ろに隠れます。 以前の模擬戦で、マリオン・フリードは八神誠一に文字通り病院送りにされたので、ちょっと怖がっています。 「悔しさをバネにするのはよいことです。でも、それを撒き散らすのは、危険なだけです」 八神誠一が、真顔で答えました。 「持ち前の高い瞬発力に頼りすぎです。攻撃の組み立てをもっと考えれば、強くなれますよ」 そう言って、八神誠一がちょっと微笑みます。 ちゃんと挨拶しなさいと、マリオン・フリードがルイ・フリードに怒られているうちに、新たにお客さんたちが現れました。 「お招きありがとー」 アルフ・グラディオス(あるふ・ぐらでぃおす)を連れた飛鳥 桜(あすか・さくら)が、八神誠一に言いました。 「こいつは、どこにおけばいいんだ?」 なぜか、アルフ・グラディオスは米俵を担いでいます。さらに、腰には一升瓶を紐でぶら下げていました。 酒はもともとアルフ・グラディオスが用意していたものですが、米俵は飛鳥桜が土産として持っていけと主張した物です。とはいえ、米俵を持っていってどうしろと言うのでしょうか。 「ええと、食べ物でしたら、厨房かなあ」 とまどいながらも、八神誠一が答えます。 「厨房に運べばいいんだな。ついでだから、料理手伝うぞ」 アルフ・グラディオスが飛鳥桜に確認します。 「あ、僕も手伝うよ」 「ちょっと待ったあー!!」 一緒に厨房へとついてこようとする飛鳥桜をアルフ・グラディオスが全力で阻止しました。もしも、飛鳥桜の手伝いを許しでもしたら、鍋が蛍光色に発光して化学変化を起こして謎のガスを噴出するに決まっています。 「では、私が手伝いましょう。どんどん料理を作りますよお」 アルフ・グラディオスと共に米俵を持ちあげると、ルイ・フリードが一緒に厨房へとむかいました。 「ふむ、面白そうだ。あたしもつきあうよ」 Blitzschlagをアーマード レッド(あーまーど・れっど)に預けた緋王 輝夜(ひおう・かぐや)が二人についていきました。呼ばれたからきたものの、なんとなくパーティーというのは何をしていいのか分かりません。厨房なら、料理を作ればいいわけですから、想像の範囲内です。 「そうそう、地下室には、絶対に行かないでくださいね」 八神誠一が、台所脇から地下経て続く階段のある扉をさして、ノール・ガジェットやルイ・フリードたちに注意しました。 「どうしてでありますか?」 怪訝そうに、ノール・ガジェットが聞き返します。 「いや、真冬の怪談ってあるじゃないですかあ。独りだけパーティーから離れると、それは死亡フラグなんですよお。だから、気をつけてくださいねえ」 「分かり申した」 「何かあるのですか?」 同様に中には入れそうもないために外で待っていることにしたアーマード・レッドが、ノール・ガジェットに聞きました。 「いや、なんでもないであります」 そう答えつつ、ノール・ガジェットは、地下室の入り口を凝視しました。 「あ、それから、さすがに、それは、ここにおいておいてくださいねえ」 八神誠一が、ネームレス・ミスト(ねーむれす・みすと)の連れている魔瘴龍「エル・アザル」たちを指さして言いました。 「仕方……ない」 ちょっと残念そうに、ネームレス・ミストが言いました。 「おーい来たぞー」 ジャイアントピヨに乗ったアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)が、ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)とセレスティア・レイン(せれすてぃあ・れいん)を連れてやって来ました。 独りでは心細く思うこともありましたが、この二人を家に残しておいては、何を発見されるか分かったものではありません。せっかく復活させた秘蔵コレクションを失ってなるものですか。 「食材も持ってきたぞー」 「ピ、ピヨ!?」 アキラ・セイルーンにポンポンと叩かれて、ジャイアント・ピヨがぴくうっとしました。 「いい水炊きの材料に……げぽあ!?」 皆まで言えないうちに、セレスティア・レインの跳び蹴りがアキラ・セイルーンの顔面に炸裂しました。 「ピヨをお風呂に入れて綺麗にしたのは、食べさせるためじゃないです!!」 「じょ、冗談だよ。きまっているじゃないか、はははは……」 引きつりながらそう言うと、アキラ・セイルーンが、持ってきた本当の食材の束を差し出しました。とはいえ、マンモスの肉とか冷凍バナナとかチョコパウダーとかお酒とか、カオスです……。 「これも運べばいいのね」 戻ってきた緋王輝夜が、それも厨房へと運んでいきました。 「うわー、ピヨちゃんだあ」 宇和島 凛(うわじま・りん)が、さっそくジャイアント・ピヨをもふもふしました。 「ふふふ、好きなだけもふっていいですよ」 宇和島凛がもふるに任せながら、セレスティア・レインが言いました。 |
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