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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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 一方その頃、葦原島のイコン整備施設では、漆黒の“ドンナー”が施設にとどめを刺そうとしていた。
『――!』
 だが、漆黒の“ドンナー”は気配を感じて振り返る。
 振り返った先には、一機のイコンが歩いてくるのが見える。
 そのイコンはフォルムとしては鋼竜に近いが、細部が異なっており、何より大きな違いは武装が刀剣一本のみという潔さだ。
『何者です?』
 “鼬”が問いかけると、その機体のパイロットも答える。
『これは失敬。剣術勝負の前には名を名乗るのが礼儀だったな。天御柱学院所属柊 真司(ひいらぎ・しんじ)
 真司が名乗ると、続いて彼のパートナー二人の名乗り始める。
『パートナーのヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)です』
『同じくリーラ・タイルヒュン(りーら・たいるひゅん)よ』
 二人が名乗りを終えると、再び真司が口を開いた。
『そしてこの機体は剣竜――俺もおまえもここでは互いに単騎。一騎打ちといこうじゃないか?』
 殆ど間を置かず、“鼬”も言葉を返した。
『いいでしょう。その勝負、お受け致します』
 漆黒の“ドンナー”が“斬像刀”を構えると同時、鼬も名乗る。
『一身上の都合により名は明かせません。ゆえに、仮りの名として“鼬”と名乗らせて頂きます――』
 それに呼応し、剣竜も背負った刀剣――弐〇式高周波振動刀剣を抜き、しっかりと構える。
 次の瞬間、両機はほぼ同時に地面を蹴った。
 剣術勝負特有の読み合いは今回なく、即座に刃と刃がぶつかり合って鎬を削る鍔迫り合いとなる。
 激しい打ち合いは傍から見れば互角。
 だが、実際は“ドンナー”が押されつつあった。
『その機体……まさかこの機体と同じマスタースレイブ――!』
 振り下ろされる“斬像刀”を弐〇式高周波振動刀剣が弾き、更にそのまま剣竜は“ドンナー”の胴体へ向けて刃を繰り出していく。
『いえ、どうやらそれだけではないようですね――!』
 咄嗟に刃の向きを変えて“ドンナー”はそれを防ぐも、すぐさま剣竜は次なる斬撃を叩き込んでいる。