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封印された機晶姫と暴走する機晶石

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封印された機晶姫と暴走する機晶石

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■終幕:一万年の悪夢

 声が聞こえた。
「――の解体は終わって――眼球は――」
「しかし――脳を弄れば異能は――鬼の――」
「――実証データが――機晶姫の――」
 そして身体に痛みが奔った。
 腕が、足が、胸が、切断され、抉られ、何かを埋め込まれているのが分かる。
 目を開いているはずなのに何も見えない。
 広がるのは暗闇ばかり。時折聞こえる声は恐怖の対象だ。
(助けて助けて助けて助けて……痛いの痛いよ痛い痛い痛いっ!!)
「――――ッ!」
 声をあげたくても声は出ない。
 悲鳴をあげることさえできない。
 声が聞こえる。
「アイギスを――に投入――――有機――」
「――パラミタ――――記憶を――」
(殺して殺してコロシテヨコロシテオネガイコロシテクダサイ)
 そして意識が途切れた。

 部屋の中、重々しい雰囲気が漂っていた。
 中心には石女神の目玉が置いてある。
「夏侯さん、サイコメトリご苦労様でした」
「ああ、このくらいはお安い御用だ」
 皆が皆、あまり口を開こうとしない。
 静かな部屋に二人の会話は良く響いた。
「アニスが嫌がったわけだな……」
「ほんま嬢ちゃんたちには聞かせとうないわ」
「これは許されぬ所業です」
「ああ、胸くそ悪い話だ」
 皆の視線の先、そこにはノートがあった。
 双子の少年が落としていったものだ。
 中に書かれていたのは彼らが戦った石女神と機晶姫、そして彫像の魔物に関することであった。実験とその概要に始まり、どのような目的で造られたのかも書かれている。どうやら複写らしく、所々に内容を補うように加筆された跡があった。そこにはパラミタの地域の名前やニルヴァーナの地図などが記されている。
「つまりこれの内容が事実ならニルヴァーナにはまだこの研究をしていた施設があるってことだな?」
「でしょうね。俺たちがそこに出向くことになるかはわかりませんが……」
「ニルヴァーナか、そっちの方がぺトラのためにもなるか、な」
「よくわかんないけど、悪いものはなくさないと!」
 皆が各々の意見を口にする。
 事件の報告を街の責任者らに伝え、皆は一人、また一人とその場を離れた。
 部屋の中心、円形のテーブルの上には機械の目玉とノートだけが残された。