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悪戯双子のお年玉?

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悪戯双子のお年玉?
悪戯双子のお年玉? 悪戯双子のお年玉?

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「これが夢札、どうやら他の方の夢を訪れる事が出来るみたいですね。少々、問題が無いか心配ですが、きちんとした保証があるようですし大丈夫ですよね」
 御神楽 陽太(みかぐら・ようた)の子孫の御神楽 舞花(みかぐら・まいか)は双子から渡された夢札の裏書きを見た。たまたまイルミンスールの街に来ていた時、他校へ向かう途中の双子に会い渡されたのだ。双子とは彼らの騒ぎに何度か巻き込まれているため顔見知りでもある。
「……とりあえず、使ってみましょうか」
 舞花は裏書きの確認を終えるなり、夢札を使い眠りへ。

「……ここは誰の夢でしょうか」
 舞花は夢札を使用してすぐに誰かの夢へ旅立ち、やって来たのは優しい夢の世界。
 もふもふ毛並みのアルパカや犬猫、ウサギや羊、架空動物などが草の上に寝そべったり飛び跳ねたりとゆったりと過ごしていた。
「……素敵な夢ですね」
 舞花は動物達の様子を楽しみながら主を捜して歩く。

 歩き回ってしばらく、
「……あれは北都様。もしかしたら」
 舞花は猫の頭を撫でている北都の後ろ姿を発見。

「北都様、こんばんは。もしやここは北都様の夢でしょうか」
 舞花は失礼が無いように丁寧な挨拶をする。
「この毛並みがたまらないねぇ……ん……あぁ……そうだよ」
 満面の笑みで猫のもふもふに夢中だった北都はすぐに反応出来ず、何とか表情を落ち着かせるのに少しかかった。
「そうですか。お邪魔しています。とても素敵な夢ですね。お人柄が表れていてとても好感が持てます」
 『貴賓への対応』を持つ舞花は他人様の夢という事でいつもより礼儀正しく振る舞う。
「……ありがとう。良かったら楽しんで行きなよ」
 北都はいつもの落ち着いた様子で舞花を歓迎した。
「ありがとうございます。是非、そうさせて頂きます」
 舞花がぺこりと頭を下げて挨拶をした。
 そして、早速舞花は北都の夢を楽しむ事に。

「こんなに人懐こくてもふもふで」
 舞花は動物達をもふもふしながら和んでいた。
 そんな舞花にアルパカが近付いて来た。
「……えと、はい?」
 舞花はアルパカに振り向いた。
「……乗ってよろしいんですか」
 アルパカの動作から何を言っているのか分かった舞花は訊ねた。
 そうだと言うようにアルパカは一声鳴いた。
「では、お願いします」
 舞花はそっとアルパカに乗って草原をゆっくりと散歩。
「……空も青くて風も気持ち良いです。とても夢の中にいるとは思えませんね」
 舞花は時々吹く風に髪をなびかせながら心を和ませていた。
 北都も毛皮に包まれながら眠ったりと存分に夢を楽しんでいた。

「木枯さん、素敵な夢に来ました。声をかけるのがお邪魔な気がしますね」
「……楽しそうだねぇ」
 稲穂と木枯が北都の夢にやって来た。二人の視線の先にははしゃぐ北都。
「……もふもふだぁ」
 『超感覚』の犬耳と尻尾を出した北都が動物達に混じっていた。
 お邪魔かなと感じながらも木枯達は北都の所へ向かった。

「こんばんは」
「あの、この夢の人ですか?」
 木枯は挨拶、稲穂は今いる夢について訊ねた。かなり訊ねづらい状況にも負けずに。

 木枯達が声をかけてしばらくして
「……もしかして来訪者?」
 『超感覚』の耳と尻尾をしまった北都が恐る恐る訊ねた。自分がはしゃいでる姿を見られたのではと気になりながら。
「そうです。色んな夢を歩き回りながら吹雪さんに頼まれた用事をしています。ヒスミさんとキスミさんが悪戯をしていて吹雪さんの夢に連れて行くように頼まれているんです」
「今、来たばっかりだけど、楽しい夢だねぇ」
 稲穂は聞きたい事を木枯は夢を褒め、優しい二人は北都の変貌ぶりについてはあえて口にしなかった。

「……あの二人の事はさっき聞いたよ」
 北都は木枯達に答え、自分が知った事情を話した。北都の方もあえて自分のはしゃぎ姿を見たかは訊ねなかった。相手が言わないのなら聞く必要は無いから。

 その話の途中、アルパカに乗った舞花が登場。
「何かありましたか?」
 舞花はアルパカから降りた後に訊ねた。
「こんばんは」
「実は……」
 木枯は舞花に挨拶をして稲穂が事情を話した。
「そうですか……大変ですね」
 舞花は木枯達を労った。
「……あの二人だから最後はいつもと同じだろうねぇ」
 北都は呆れのため息を吐いた。どうせ双子は捕まり現実以上に痛い目に遭っているだろうと簡単に想像出来る。

「ありがとうございます」
「……もふもふで楽しそうだねぇ」
 稲穂は北都に礼を言い、木枯は散歩している動物達を好奇心の目で追っていた。
「良かったら楽しんで行きなよ」
 北都は木枯達を快く迎えた。

「少し遊ぼうか」
「そうですね」
 木枯と稲穂は北都の夢で遊ぶ事にした。

「……とても和みますね」
 舞花は動物ともふもふ戯れた。
「夢だけど眠たくなるね」
 木枯は眠っている羊と一緒に寝っ転がり良い気持ち。
「木枯さん、とても人懐こいですよ」
 稲穂は自分に寄って来るもふもふ動物に囲まれて嬉しそうにしていた。

「……このもふもふ感は現実以上、さすが夢だねぇ」
 北都はあらゆる動物をもふもふするのに夢中。

「たくさん楽しんだから行こうか」
「そうですね」
 木枯と稲穂は旅立つ事に。

「お別れですか。お気を付け下さい。もし機会があれば、皆様を私の夢へご招待させて頂きたいです。おそらくここ最近の色々な事件や冒険の記憶が詰まった夢になりそうですが」
 舞花は少し名残惜しそうに木枯達に別れの言葉を投げかける。

「事件に冒険、楽しそうだねぇ」
「……楽し夢を過ごせて嬉しかったです」
 聞くだけでわくわくしている木枯と別れを惜しむ稲穂。
「……二人共気を付けて」
 北都も旅人達を見送った。
 この後、北都と舞花は目覚めが来るまで動物をもふもふしていた。

「……本当に良い初夢でした。可愛い動物と皆様と楽しく時間を過ごす事が出来て今年も賑やかな一年になりそうですね」
 夢から覚めた舞花は起きた今でも覚えている多くのもふもふ動物、はしゃぐ北都、楽しい来訪者の木枯と稲穂。自然と笑顔が洩れた。
「……本当に感謝ですね。こんな素敵な初夢を頂いて」
 舞花は痛い目に遭っただろう双子の事を思い出しながら届かない感謝を言葉にした。