|
|
リアクション
脱落者も出てきた玉入れ大会。
雅羅対エースのにゃんこ村同士の戦いの中盤で事件が起きた……。
「あら、なんだかさっきよりもマタタビの煙が多いような……」
雅羅は手にした玉が異様なほど煙を溢れさせているのに気付きつつも、それを玉籠に投げる。
しかし、それは玉籠に阻まれる。
―――ばふん!
玉籠に弾かれた玉から溢れんばかりのマタタビ煙が一気に空中へ広がって行った。
辺りに広がるマタタビ臭はあちこちでマタタビ酔い患者を続出させる。
「ふにゃ〜」
「あら、イイ男にゃ……どうアタシとイイコトしましょうよ」
「アハハ、なぁんか気分がすっごくイイヨーー!!」
「こ、こんなにマタタビが入っているなんて聞いてませんよ!? ……は! 海くんと三月ちゃんは大丈夫でしょうか!? すみません、終了の合図お願いします!」
近くにいた運営にスタートガンを預け、柚は三月と高円寺 海(こうえんじ・かい)の元へ駆けていく。
心配した三月と海は軽いマタタビ酔いになっていたが、柚のナージングで事無きを得た。
「ふぅ……こんな風になるなんて思ってもいませんでしたよ」
「風下じゃない場所でもこれだけだしね」
「まさか雅羅の投げた玉にこれほどのマタタビが仕込まれていたなんてな」
「あ、観客席の人たちの手当てもしませんと」
「いや、あんな風に暴走はしてないし、少し酔ったぐらいが大胆になれるかもしれないよ」
「だな。もともと恋人探しも兼ねているんだし」
柚たち三人が会話をしていると、柚が預けたスタートガンが終了の音を鳴らした。
「ふー。いきなりマタタビ煙に包まれるとは思わなかったな」
「そうね。ナージングやホーリーブレスでなんとか勝つ事が出来たもんね」
雅羅たちはマタタビ酔いから復活出来なかったが、エースたちはナージングやホーリーブレスで酔いを緩和させ勝利を掴むのだった。
「マタタビ酔いになった人は遠慮なく救護班に声をかけて下さいね。それでは第二試合もこれで最後となります。ゆかりさんとマリエッタさんたち、夢悠くんたち両方のねこ村チームは籠の下に立って下さい」
「さっきは妨害らしい妨害ができないまま勝ったけど、今回はそうはいかないわよ。カーリー準備は良い?」
「もちろんですよ、マリー」
司会に戻った柚がスタートガンを鳴らすと、すぐさま玉が宙を飛び交うようになる。
「それ、妨害妨害っと!」
「同じねこ村同士だけど、勝つのは僕たちだよ」
夢悠たちの投げ入れるタイミングを見計らって目の前に立ったり、視界に入るようにして邪魔をするマリエッタとねこ少年。
「妨害が来ることは分かってたよ。でも、勝つのはオレたちだから」
「「そうだ! 勝つのはオレたちだ!!」」
三回戦も戦ううちに夢悠とそのチームメイトの絆は固いものとなっていた。
ちょこちょこと動き回っても、適当なことを口走って注意を逸らそうとしても逸れない集中力。
「このまま妨害できずに終わってしまうの?」
やや不安げに言うマリエッタ。
夢悠はそんなマリエッタにやや優越感を覚える。
「さ、もうちょっとで全部入るよ! 気を抜かないでしっかり入れてくにゃ!!」
「マタタビ酔いならもう出てるじゃないですか」
うるさいくらいの妨害攻撃とは打って変わっての声質に夢悠が振り向くと、今まで妨害してたマリエッタがいなくなり、ゆかりがそこにいた。
「え?」
いると思っていたマリエッタが居らず、ゆかりがいたことに驚き、集中が途切れ籠から外れてしまう。
「ほら、ここに」
マタタビ酔いに陥っているフリなのか、本当に酔っているのかやや顔が赤いゆかり。
「妨害するやつなんて気にしなくていいぞ!」
「勝つのは夢悠ちゃんなんだよ!!」
親衛隊にも入っているチームメイトが、夢悠が外した玉を入れ、辛くも夢悠たちが決勝へ進むことになるのだった。