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水宝玉は深海へ溶ける

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水宝玉は深海へ溶ける
水宝玉は深海へ溶ける 水宝玉は深海へ溶ける

リアクション

 細身の剣を前に突き出し、リリアは横へ身体を傾ける。
 彼女の居たその場所から黒い薔薇の蔦が伸び、兵士を襲い拘束した。
 その更に踏み込んだ先では、エオリアが執事服の裾を翻してレイピアを振っていた。
 剣先から溢れた光りは冷気と化し、兵士達を襲う。
 エオリアは神速の動きでそれから突きへ繋げると、彼の隣から飛び出したエースが放った矢が飛んだ。
 加夜は残弾数を計算しながら両手にあるカーマインを撃ち彼らを牽制している。

「(どういう事?)」
 仲間達が戦う中、ルカルカは攻撃を捌きながら考えを整理しようと努力していた。
 いき道は楽で、帰りに大量の兵士を設置する。矢張りこれは罠だったのだろうか。
 それからこれは歴戦の国軍大尉である彼女だから直ぐに気づいた違和感なのだが、
例の隊士達と目の前に居る兵士達の装備が違いすぎた。
 軍に限りなく近い組織だとはいえ、普段は学生で有る事を尊重されているのだろう。
 好き勝手な武器や装備、軍服も適当に着ているものさえいた組織なのに、今前にしている兵士達は妙に整然としすぎている。
 確実に急所を狙う命を奪う攻撃に、ルカルカの違和感は決定的なものとなった。
「何者なの!?」
 質問に対しても無言だ。
「(第三勢力? 狙いは??)」
 反射的に後ろを振り向いた時は遅かった。
 ジゼルの姿が消えていたのだ。


 
 廊下の隣に合った部屋に乱暴に引き込まれて尻餅を突き、ジゼルはすぐに顔を上げた。
 数人の兵士に護られながら、トレンチコートの男が立っている。
 暗がりで表情は見えないが、直後に響いた冷たいテノールはジゼルを戦慄させた。

「見ぃつけたぁ」