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婚活卯月祭、開催中!!

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【友人と、友人以上と】

 恋人関係にある人ばかりにしか、この祭を楽しめない、なんてわけはない。
 もちろん、友人と祭に遊びにきている人たちもいる。



 丘の麓に、食べ歩きをしている天苗 結奈(あまなえ・ゆいな)イングリット・ネルソン(いんぐりっと・ねるそん)の姿があった。
 結奈の手にはたこ焼きのパックが、イングリットの手にはクレープが握られている。
「いんぐりちゃん、一口ほしいー」
 あーん、と口を開ける結奈に、クレープを差し出すイングリット。結奈がぱく、とクレープをかじると、その横からホイップクリームがにゅっと溢れてきた。
「口の横についてますわよ」
「えっ、どこ?」
「今取って差し上げますわ」
 イングリットは、結奈の口の周りについたクリームをハンカチで拭い取った。結奈はそんなイングリットを見て、嬉しそうにえへへ、と笑った。
「ありがとー。いんぐりちゃんも、たこ焼き食べる?」
「ええ、ひとつ頂けるかしら」
「はい、あーん」
 結奈はたこ焼きをイングリットに差し出す。
「あーん」
 イングリットは結奈の差し出したたこ焼きを食べて、ふふふ、と微笑んだ。
「こうやって食べ歩きするのって、楽しいよね?」
「そうですわね。お祭りを楽しんでいる、という感じがしますわね」
「いんぐりちゃんと一緒だから、もっともっと楽しくなるんだねー」
 無邪気にはしゃぐ結奈を見ながら、イングリットも楽しそうに笑った。

 二人は笑い合いながら、屋台をひとしきり回った。
「えへへへ、お腹いっぱい! 丘の方にも行きたいなー」
 イングリットにじゃれつきながら、結奈はイングリットの手を引いた。
「ええ、眺めの良い場所を探しましょうか」
 丘の中腹を散歩しながら、結奈とイングリットは遠くに見える雲海と空京の町並みを眺めた。
 結奈がまとわりついても、嬉しそうに構ってくれるイングリット。そんなイングリットといると、結奈は何をしていても楽しかった。
「いんぐりちゃんと一緒に遊ぶの、楽しいなー」
「わたくしも、こうして一緒にお出かけするのが好きですわ」
 立ち止まったイングリットの体に、まとわりつく結奈。そんな結奈を見て、イングリットは微笑みかける。
「いんぐりちゃん、だいすき〜」
 結奈はイングリットに飛びついた。結奈たちとすれ違った人たちは、楽しそうな二人の様子に笑顔を貰っていた。