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【夏の転入生】陽菜都の男性恐怖症克服大作戦!

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【夏の転入生】陽菜都の男性恐怖症克服大作戦!

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第四章

「こうなったら思い切って男のことは諦めて、女の子を好きになればいいんじゃない」
 そしてぶっこまれたセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)からの一言に、陽菜都ははたと考え込む。
「ごめんごめん。冗談だって。見てると、根っからの男嫌いっていうより、単に男性と接する機会が少なくてどう反応したらいいのやらわからない、っていう印象なのよね」
「これまであまり男性と接する機会がなかったから、男性の存在を「未知なるもの」という風に認識しているのかも。それに、陽菜都と接していた女性たちの中に、過去に男性に対して嫌な思い出を持った人が偏った知識なり偏見なりを伝えてる可能性もあるわね」
 セレンフィリティの隣でセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)も考えを巡らせる。
「陽菜都はどんなタイプの男性が好みなの?」
「えっ!?」
 突然のセレンフィリティからの質問に陽菜都は顔を真っ赤にしてしまう。
「どういうタイプの人なら、少なくとも鉄拳制裁しないですみそうなのかなと思って。それさえ分かれば、当面の間は陽菜都が少なくとも安心できるタイプの人を中心にして、メールとか電話でやりとりして、実際に距離を詰めていけば、克服できる気がするのよね」
「あ、なるほど」
 陽菜都はうんうんと頷きながら、自分が大丈夫そうな男性を必死に考える。
「男性がよく来るお店で働いてみるのも手じゃない? 社会勉強になるし、仕事だと思って接しているうちに、苦手意識も薄れるかもしれないわ」
 二人からのアドバイスに、陽菜都は聞き入っていた。

「良かったら、先ずはこれでも飲んで緊張を解して?」
 あまりにも色んなことが短時間で起こりすぎて、肩に力が入ってしまっていた陽菜都にローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)がそっと温かいお茶を渡す。
「貴方は、男性が苦手。それは分かったわ。でも、貴方の身近にだって、男性は居るでしょう? 父親も居れば、良家ならば執事の1人くらいだって。父親とかの身近な男性も、まさかそんな風に日常的に殴り倒しているわけでは、ないのよね?」
「それは……たしかに……」
「これから貴方の前に立つ男性を、恋人とかそういうのではなく父親と思い込んでみたらどうかしら? 貴方は、自分に生を与えてくれた男性を、殴る事が出来る? 少し意識を変えれば、時間が解決してくれることもあるかもしれないわ」
 優しく諭すローザマリアの言葉に、陽菜都は明日から少しずつ変われるかもしれないという気がしてくる。
「あと、殴り倒すのはいいにしても、何度も殴るのは駄目ね。貴方がその男性に未練がある証拠。相手に対し少しでも申し訳ないと思うなら一撃でKOなさい。それが礼儀よ」
「ええええええええええええええ!!」

「そのパンチにお前を憎しみ突き刺す心があるか?!」
「え!?」
 驚いているそばから、今度は恐ろしくアツイ言葉が聞こえてきて陽菜都は目を白黒させる。
 近くでは、ホレーショ・ネルソン(ほれーしょ・ねるそん)が男性陣にワン・ツー・フックを喰らわせていた。
「男は外に出て戦わねばならん、何のためだ! その後ろで女の子が優しく花を摘んでいられるようにしてやるためじゃないのか?! 立て!」
「だ、大丈夫……かなあ?」
「ダッキングとディフェンスであんたのパンチを避けてみせろって言いたいんでしょ。気にしなくていいわよ」
「う、うん……」
 冷たい目でホレーショを見やると、ローザマリアは何事もなかったかのように手元のお茶に口を付けた。

「みんな色々ありがとう! もうちょっと頑張ってみます!! 被害者のみなさんごめんなさい……」
 最後に大声で叫んだ陽菜都に、女性陣は駆け寄り、男性陣は遠巻きにしながら拍手を贈るのだった。
 

担当マスターより

▼担当マスター

花井詠巳

▼マスターコメント

こんにちは。花井です。
この度は「【夏の転入生】陽菜都の男性恐怖症克服大作戦!」にご参加いただきありがとうございました。

一部の方には称号を付けさせていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。