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【大罪転入生】物語の始まり

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【大罪転入生】物語の始まり

リアクション

 一方の傲慢側の勢力。その傲慢勢力の後方。強大な古代兵器『ニュークリアマジックウェポン』の上に立つ男が一人。
「フハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス(どくたー・はです)! ククク、この古代兵器『ニュークリアマジックウェポン』を復旧し、傲慢の化身、ルシ子様と共に世界征服を成し遂げるのだっ!! オリュンポスの化学は世界一ィィィ!」
「……あれは洗脳されている……のかしら?」
 古代兵器の上で高らかに声を張り上げているハデスを遠くから見ているのは、兵器破壊の任を受けてやってきた雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)と同じく任を受けた{SNM9998629#遠山・陽菜都}。
「どうなんでしょう……?」
「まぁ、良いわ。ともかく、あれを撃たせるわけにはいかないもの! 急ぐわよ!」
「はいっ!」
 二人が一気に敵陣へと乗り込む。
「……ふむ、どうやら我らの偉業を邪魔しようという輩がやってきたようだな。ククク、この兵器で返り討ちにしてくれるわ! ものども! 古代兵器発射まで時間を稼ぐのだ!」
『うおぉぉぉぉぉぉ!!! 俺たちが世界一ィィィ!!』
 ハデスが優れた指揮官による指揮で蛮族や戦闘員達を指揮し、雅羅達を迎え撃つ。
「来るわよ!」
 雅羅がバントラインスペシャル雅羅式を構え、迫りくる蛮族達を撃ち倒す。
「キャー!! ごめんなさい! ごめんなさい!!」
「ごふっ!?」
「ぐはっ!?」
 一方の陽菜都は、極端に男性が苦手という事もあり、迫ってくる蛮族達に悲鳴を上げながら鉄拳を食らわせ沈めていく。
「その程度!」
 倒れ行く蛮族達の中、二人の攻撃を巧みにかわしているのがハデスの戦闘員達。
「当たりなさい!」
 雅羅の銃撃すらも紙一重でかわすエリート戦闘員。
「……! 弾切れ……!?」
 雅羅のリロードの隙を見逃さない。一気に間合いを詰める。
「ふっ!」
「先輩!? えっと、ごめんなさい!」
「ぐっ!」
 陽菜都の鉄拳がエリート戦闘員を狙うが、両腕をクロスして防御。迎撃を警戒して後ろへ飛び退く。
「大丈夫ですか!?」
「えぇ、助かったわ」
 リロードも完了し、対峙するも、多勢に無勢。あっという間に蛮族達にも囲まれていた。
「ちょっと不味いわね……」
「お、男の人がいっぱい……」
「さぁ、覚悟しろよ?」
「最強のオレ達に逆らった事、後悔させてやる!」
 蛮族が武器を振り上げた……。
「ぐふっ!?」
 その時、何処からともなく飛来した丸太が蛮族にクリーンヒットした。
「何が最強だ! そういう貴様等の態度。ムカつくんだよ!!」
「ごはっ!」
 今度は頭上から丸太を持った蛮族が降ってきた。
「テメェらは……向こうの村の蛮族か!?」
「だからどうした!!」
「ぐはっ!?」
 雅羅達の後方からも雄叫びを上げながらわらわらとやってくる丸太を携えた……憤怒の化身に集う蛮族達。
 幸か不幸か雅羅達が戦っていた場所は二つの蛮族がちょうどぶつかりあう最前線近く。タイミングよく憤怒の化身の蛮族達が戦線へとやってきたところだった。
「はっ! 世界一ィィィとか言いながらも大したことねぇじゃねぇーか!!」
「ふん! そちらこそ態度がムカつくと言いながらやられているだろう! 所詮貴様等などその程度! 最強である俺達の敵じゃないなぁ!」
 二つの蛮族がぶつかりあった事でもちろんその場所は乱戦状態。
「くっ! 助かったとはいえこれじゃあまり変わらないわ!」
「いやぁぁ!! 男の人ばかりー!!」
「と、とにかく! 一度退却よ!」
 その乱戦に巻き込まれた二人。二つの蛮族の攻撃をなんとか回避しながら乱戦から逃れようと進んでいく。
『ぐわぁぁぁ!!』
 少し遠くで悲鳴と共に地響きが鳴り響く。
「今度はなに!?」
「戦車前へ!」
 地響きの方向からやってきたのは、機晶戦車――四式中戦車。その戦車にタンクデサンドと呼ばれる歩兵戦術で随伴しているのは葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)。先ほどの地響きはコルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)の操る四式中戦車のイレイザーキャノンによる砲撃のものだった。
「良かった援軍――」
 ドオォォォン!! 雅羅達の横をイレイザーキャノンのビームが横切った。大地を抉るほどの強力な砲撃で蛮族達も全員吹き飛んで綺麗な道が出来ていた。
「…………」
「…………」
 無言でお互いの顔を見る雅羅と陽菜都。
『にげろぉー!』
 その砲撃で我に返った蛮族も居たようで右往左往に逃げ回る。
「逃がさないであります」
 そんな蛮族すらも一人残らず試製二十三式対物ライフルで撃ちぬいていく吹雪。
「よく逃げる敵が撃てるわね……」
 逃げようとする敵も倒していく吹雪にあきれるコルセア。
「逃げる奴は蛮族……」
「くそった――ぐふっ……」
 果敢にも突撃した蛮族だったが、吹雪に綺麗に撃ちぬかれた。
「……逃げない奴はよく訓練された蛮族だ」
「なによそれ……」
「まったく戦場は地獄であります」
『ぎゃぁぁぁ!!』
 そんな事を言いながらもどこか楽しそうに敵を倒していく吹雪。
「ちょ、ちょっと! こっち来ないで!?」
 そんな楽しそうな吹雪とは裏腹に雅羅達はなぜか、逃げる方逃げる方が四式中戦車の進行、砲撃上。もしくは吹雪の射線上に出るという悲しい状況にあった。
「私たちは味方よ! 攻撃をやめなさい!」
 雅羅が叫ぶも吹雪達は聞こえてないのか、攻撃をやめる気配がない。むしろ、どんどん進行していく。
「せ、せんぱーい! どうするんですかー!?」
「と、とにかく巻き込まれないようにするだけ――」
 ドオォォォン!! 再び鳴り響いた砲撃音。しかも、雅羅達が逃げている方向。吹雪達の戦車とは反対側。砲撃自体はだいぶ逸れた場所に着弾していた。
 そして、雅羅達の前に現れたのは黄金に輝く機晶戦車――黄金の機晶戦車。
「フフフ……ルシ子が世界を取る……? 違うな! この世の支配者は我なのだよ! そうであろう?」
『おー!!』
 黄金の機晶戦車に乗っていたのはマネキ・ング(まねき・んぐ)。周囲には蛮族達を引きつれていた。
「傲慢の化身……それがどうしたというのだ! 力のみですべてを従えるとでも思っていたのか! 世を制するのは力ではない。アワビである! それも分からぬルシ子には世界等取れるはずもない! そう、我こそがこの世の支配者になるに相応しい!」
「その通りだー!」
「アワビが世界一ィィィ!!」
 元々傲慢を地で行くような性格であったマネキ。それがルシ子の洗脳を受けて、傲慢という数値が振り切れたようで、むしろ自分が一番であると暴走を始め、ルシ子に下克上する事にしたらしい。
「…………」
 そのよく分からない演説がされている中、同じようにルシ子に洗脳されたにセリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)。ただ、日常時からマネキにこき使われる状態が続いたせいなのか、ルシ子の命令よりもマネキの命令を優先しているようで、後方で黙々とアワビを焼き続けていた。
「故に! この世界の存在全ては我のもの! それは、古代兵器も傲慢の小娘の例外ではない! 手始めにそれを手中に収めるためにも邪魔なものを排除する!」
 マネキの視線の先には吹雪達の戦車。
「さぁ、者ども行くがいい!」
『うおぉぉぉぉーー!!』
 マネキの指示と同時に蛮族達が四式中戦車へと卒倒する。
「先輩! 向こうからも男の人がたくさん来ました! ど、どどどどうしましょう!?」
 雅羅達はその戦車同士の間にいた。
「このままじゃ、蛮族達に押し流されて、一緒に吹き飛ぶか、戦車に轢かれるわ! なんとしても逃げるのよ! 全力で!」
「吹雪、さすがの戦車でも接近されたらマズイわ」
 いくら戦車でも接近されれば砲撃は撃てなくなる。その上、側面や後ろの死角に回られればただの鉄の塊と化す。
「来る前に消し飛ばすであります! 援護するでありますよ!」
「撃て撃てぇーー!」
 蛮族も馬鹿ではないようで、手にした拳銃を乱射し、吹雪をけん制しながら迫ってきた。
「っと」
 さすがの吹雪も危険と判断し、四式中戦車の後ろへと身を隠す。
「我等も行くぞ!」
「……待て」
 マネキも黄金の戦車と共に出ようとした時、セリスに止められた。
「む、何事だ?」
「……アワビ焼けたぞ」
「それは大事だな。我らはこのまま少し待機することにしよう」
 アワビの方が優先らしく、黄金の戦車は進軍せず停止した。
「撃て撃てぇー!」 
 その間にも、マネキの蛮族達が四式中戦車へ着実に前進していた。
「くっ! もう撃てる距離じゃないわ……!」
 かなり接近され、イレイザーキャノンは使用できない。
「任せるであります。でもチャンスは一回。良く狙うでありますよ?」
「……了解。任せて」
「…………今!」
 吹雪が銃撃がやむ一瞬のタイミングを見計らい。四式中戦車の後ろから飛び出る。そのまま、四式中戦車の前方目掛けて、対イコン用手榴弾を投擲。
「……! 手榴弾だ! ひけ――」
 迫っていた蛮族達が爆散。その一瞬だけ、四式中戦車の前には敵がいなくなった。
「今であります!」
「発射!!」
 その瞬間にコルセアがイレイザーキャノンを発射!
「……む、何事――」
 その主砲の先にはもちろんマネキの乗る黄金の戦車。
「ふ……我としたことが。アワビに気を取られこんな失態をするとはな……」
 すさまじい衝撃音の後、大きな爆発音が響き渡る。
「だが、覚えておくが良い! この世の支配者は我である! そして、アワビの力が世界一であると!!」
 マネキのその言葉を最後に四式中戦車の前には敵が誰一人存在することはなかった。
「……敵、殲滅完了。ミッションコンプリートね」
「では、先へ進むであります!」 
 意気揚々と二人は傲慢勢力の中心部へと進軍していった。

「な、なんとか……助かったわ」
 そして、雅羅達はというと……無事にピンチを乗り越えてた。全身ボロボロではあったが。
「ふえぇ〜……男の人がたくさんいて怖ったです……」
「まぁ、何事もなくて良かったわ……じゃあ私達も先へ……」
「……待て」
 雅羅達も先へ進もうとしたところをセリスに呼び止められた。どうやらセリスも砲撃から逃れ無事なようだ。
「なにかしら?」
「……アワビ、食べていけ」
 そしてセリスが差し出したのは美味しそうに焼かれたアワビ。
「あら、良いのかしら?」
「いただきますー!」
 二人とも美味しそうなアワビ受け取り。早速、頬張る。
「あら、美味しい……」
「美味しいです!」
「……二つで1000Gだ」
「お金取るの!?」
 お金を受け取るまで先を行かせてくれないセリスに渋々ではあったがちゃんとお金を払って雅羅達も先を急ぐことにした。