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リアクション
進むもの
「発見なの! これが封印さんの鍵の材料なの?」
ミナの森に咲く珍しい花を見つけて及川 翠(おいかわ・みどり)は一緒について着ている穂波に聞く。
「正確には触媒の一つですね。……もしかしたらないかもと思っていましたが、ちゃんと残っていて良かったです」
「この調子で封印さんの鍵の材料全部見つけるの!」
「そうですね。その花が見つかったなら、触媒だけならニルミナス周辺ですべて見つかるはずです。今日中に触媒だけなら全部見つかると思いますよ」
「やったの! 今日中に封印さん破れそうなの!」
「……二回言ってるんだからちゃんと聞きなさいよ」
触媒『だけ』その意味をきっちりと理解してミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)は翠にそう言う。
「でも、穂波さん本当に封印の鍵の材料知ってたのね。『多分』って言ってたから心配してたんだけど」
「材料とか作り方に関する知識はちゃんとありますよ。……ただ、本当に作れるかまでは保証できません」
やったことがないからと穂波は言う。
「ま……作り方さえわかってるなら多分どうにかなるわ」
翠の好奇心に付き合ってどれくらいそういったことをしてきたか。少し難しいくらいならどうとでもなると思っていた。
「けど……問題は触媒じゃなくて本物の材料よね」
穂波からその材料の名前を聞いた時は頭を抱えた。第一にそれが今ではかなりの希少種であること。そして何よりもう一つ。……恐ろしく強いこと。
「……はぁ、まぁいつものことか」
暴走していなくなりそうな翠の首根っこを捕まえながらミリアは一つ大きな溜息を付くのだった。
「ふぇ〜……ミリアちゃんは今頃翠ちゃん捕まえるのに苦労してるころでしょうか〜」
ミリアの苦労を思いながらスノゥ・ホワイトノート(すのぅ・ほわいとのーと)は言う。
「正直、私達も結構大変だと思いますよ。探しているものが探しているものですから」
徳永 瑠璃(とくなが・るり)はそう言う。
「う〜ん……何を探せばいいか分かるだけいいですけどね〜」
これで何を探せばいいのか分かっておらず、苦労して見つけた末に今探しているものを探さないといけないとなったら諦めていたかもしれない。……ということはないだろうが、少しは休憩したくなったはずだ。
「名前も忘れられた古代竜……それも5000年前時点で存在が危ぶまれたいた竜さんが今もいるんでしょうか」
いたらそれだけでロマンだろう。それを探すだけで一冒険だ。
「でも、その爪が封印さんの鍵の材料なんですよね〜」
「……見つけてもどうやって爪を手に入れたらいいんでしょうか」
説得できる相手だといいなぁと思う瑠璃。
「とにかく今は古代竜さんの居場所を探しましょう」
幻の存在を探してスノゥと瑠璃は調査を続けるのだった。
スノゥと瑠璃と同じように希少な存在を探している二人がいた。レオーナ・ニムラヴス(れおーな・にむらゔす)とクレア・ラントレット(くれあ・らんとれっと)の二人だ。
「バイコーン……あまり情報が引っかからないですね。ユニコーンであれば少しは情報が見つかるのですが」
端末から情報を調べながらクレアはレオーナにそう伝える。
「レオーナ様のほうはいかがですか? ビーストマスターやドラゴンライダーの方たちから何か情報を得られましたか?」
「うーん……あんまりかな。ただ、ある一定の時期にどこかに現れるらしいってのは聞けたんだけど」
「その時期がいつで、それがどこなのかは分からないのですね」
「うん。……本当にいるのかなぁ」
「いると思いますよ。……あの方が嘘をついてたとは思えませんから」
クレアは言う。
「……前村長が死んだ原因はきっとあたしじゃないって思うんだ。そこまではうぬぼれてない」
でも、とレオーナは続ける。
「前村長が死んじゃった理由の一つはあたしなんだと思う。だから……」
「……はい。前村長に託された想いを成就させたいとわたくしも思います」
「うん。だから、簡単に見つからなくても諦める訳にはいかないよね」
バイコーン……ユニコーンよりもある意味希少な存在を探してレオーナとクレアの二人はまい進するのだった。
こうして年が明けてすぐ、この村で後悔を振り切り進み続けているものたちがいた。
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