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平行世界の人々と過ごす一日

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ロズに示す贖罪の道


 イルミンスールの街。

「どこもかしこも賑やかな事になっていますわね」
 リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)は呆れながら賑やかな通りを眺めていた。
「あぁ、本当に騒がしい事になってるな。ロズをそそのかしてとんでもない事をやりやがって……いつも通りだな。それよりオレ達はロズの所だ」
 事情を少し前に知ったシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)は同じく呆れながらも目の前の騒ぎよりも気に掛けるべき者に向かって急ぐ。
「えぇ、きっとどこかにいるはずですわ」
 リーブラもシリウスに続く。
 二人は目的を同じくする者達がロズと接触した現場に居合わせる事が出来た。

 イルミンスールの街。

「事件の真相は解明されたが、ロズの事が残っている以上はまだスッキリ出来ねぇからあいつを捜すぞ(どれだけあいつらの助けになれるか解らねぇが、出来るだけの協力はしてぇし……予想が当たっていれば知り合いだからな)」
 ベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)は同化現象事件を含む魔術師関連の騒ぎとある人物との関わりからロズの正体について見当を付けていた。
「はい。ロズさんをお捜ししましょう! ポチもお願いしますね」
 フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)はいつものように頼れる忍犬の協力を求めた。
「ふふん、人捜しは任せるのですよ。科学も操るこの優秀なハイテク忍犬が見事に捜し出すのですよ!(……そういえば平行世界の“僕”と“あの子”もこの世界に来ているのでしょうか。でも何だかあの僕には会いたくないのです。見た目は同じなのに考え方が違いましたし……今回はご主人様を助けるのですよ)」
 忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)はいつものように胸を反らしてりりしい顔だが、胸中では揺れていた。平行世界の自分達が気になりながらも何故か漠然と出会ったら今の自分に影響を受けると不安を感じ、胸の奥にしまった。
「……ベルクさんが考える人物だったら他の人も捜しているかもだね」
 ジブリール・ティラ(じぶりーる・てぃら)はベルクが誰を思い浮かべているのか察していた。フレンディスに引き取られるまでパラミタに居なかったが今までの経緯はベルクに聞いており周知済みなのだ。
「あぁ」
 答え合わせがまだのためベルクは一言うなずくだけだった。
 『捜索』と『超感覚』有するフレンディスとポチの助のおかげですぐに喫茶店入り口前のロズと目的を同じくする五人を発見する事が出来た。

 イルミンスールの街。

「まさかまた会うとは思っていなかったよ。あの双子には散々迷惑を掛けられてばかりだが、こういうのは悪くない」
「こっちも同じ気持ちだ」
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)は通りで平行世界の自分と再会した。
「行きたい所があったら色々案内するが」
「……そうだな。まずは……」
 陽一の言葉に平行世界陽一はニヤリと口元を歪めた。
 それを見た陽一は
「あぁ、事件の張本人との対面か。俺も丁度考えていた所だ。何せ色々と振り回されたからな」
 相手の行きたい場所を当てた。何せ互いの思考、戦闘の癖は全く一緒なので。
 そこへ
「彼に会うなら僕もいいかな。作製者について僕が思い当たってる人物で正解か確証が欲しいから」
 付近にいた清泉 北都(いずみ・ほくと)が会話に加わった。北都も陽一と同じくロズと関連する者に振り回されている一人である。それ故、同化現象騒ぎと妖怪宿での取引からロズの正体を導き出し残るは答え合わせだけ。
「……頼む。人が多い方が捜索もスムーズになるだろうから」
 陽一は快諾した。
 三人は不明を明らかにするために手分けをして捜索し、通りを当てもなく歩き回るロズを発見する事が出来た。

 発見するなり
「ここにいたのか」
 陽一が声をかけロズの足を止め、相手を振り向かせた所で
「聞きたい事があるんだけど、いいかな。キミを作った人に思い当たる人物がいるんだけど。正解かどうか聞いて欲しい」
 北都が会いに来た理由を話した。
「……分かった」
 少し間を置いてからロズはゆっくりと返事をした。
 その時、
「それならオレもいいか? 色々と思い当たる人物には世話になってるからな」
 シリウスがリーブラを引き連れ登場。こちらもまたロズの正体が思い当たる人物かどうか確認するために捜索していたのだ。
 皆は即シリウス達の参加を認めた。
「それでは人数も増えた事ですから近くの喫茶店でゆっくりとお話をしませんか? きっと長くなると思いますから」
 人数が増えた事と必ず長話になると考えたリーブラがどこか座れる場所で不明を明確にする事を提案した。皆は誰も反対せずむしろ大賛成で喫茶店に向かって行動を開始した。
 その途中、フレンディス達も加わり総勢10名の大所帯となるも無事に適当な喫茶店に入り、話し合いが行われた。