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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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【第六話】超能力の可能性、超能力の危険性

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 戦闘終了後 エッシェンバッハ派 秘密格納庫付近 某所
 
 戦いを終えた航はティーの部屋を訪れていた。
 ノックを終え、ティーのいる部屋へと入る航。
 
 不敵な笑みを浮かべてはいるが、ティーが立ちあがって出迎えた途端。
 彼はふらりと倒れ込む。
 慌てて支えたティーに抱きかかえられ、航は不敵な笑みを苦笑に変えた。
「はは……いつぞやの時と立場が逆になっちまったな……」
「どうしてこんな無茶したんですかっ……!」
「約束……したからな……」
「え……?」
「帰ってくるって……約束、したからな……」
「たったそれだけの為に……?」
「その『それだけ』が、俺達みたいなのには大切なんだよ」
 言い終え、深く息を吐いた後、ベッドへと座り込む航。
「本当に……どうしてこんな無茶するんです……」
 涙ぐみながら問いかけるティー。
 すると航は、ゆっくりと語り出した。
「もう二度と、俺達みたいなのを出さない為だ」
「羽鳥さんみたいな人たちを……」
「ああ。そうでもなきゃ……」
「そうでもなきゃ……?」
「そうでもなきゃ……あんなトンデモ兵器に乗って、こんな少人数で世界を相手に戦争しかけて、無茶な戦いばかり繰り返してる奴なんざ、ただの阿呆だ」
 
 言葉を交わす二人の様子を部屋の外の廊下から見守っていた彩羽は、航もひとまず無事なのを確かめて再びホッと安堵の息を吐く。
 彩羽の様子を見て、スベシア・エリシクス(すべしあ・えりしくす)夜愚 素十素(よぐ・そとうす)が声をかけた。
 
「法二殿とといい、航殿といい、随分と入れ込んでいるでござるな」
「彩羽にしては珍しいんだよ」
 
 すると彩羽は真面目な顔になって答えた。
「一緒に戦う仲間だもの……当然じゃない」
 
 はっきりと言い切った直後、彩羽に意外な人物の声がかけられた。
「大切な心がけだ。戦場では互いに命を預ける以上、その気持ちがなければならない」
 彩羽ははっとなって振り返る。
「来里人っ!?」
 来里人は小さく頷いてみせる。
「あなたも航のことを見に来たの? もしかして心配だった?」
「奴は“フリューゲル”に搭載されているイナーシャルキャンセラーの許容量を超えた機動を行った。その負荷を心配するのは当然のことだ」
 それを聞き、彩羽は苦笑とも微笑ともつかない表情をする。
 
「まったく、素直なんだか素直じゃないんだか」
 
 特に気にした風もなく、来里人は踵を返す。
 しかし、何かを思い出したように振り返ると、漆黒のショートジャケットのポケットから一枚のメモリーカードを取り出す。
「これは?」
「お前が欲しがっていたビデオレターだ」
 手短にそれだけ言うと、今度こそ本当に来里人は踵を返して自室へと戻っていった。