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リアクション
「小型の爆弾だからって侮るなよ? 停止したとは言え、そこにはでっかい爆薬があるんだからな!」
ゆかりや助手たちはちらりと、静寂しきった爆弾を見る。
爆薬はゆかりたちにはどうしようもできないものだった。
「…………っ」
「困りましたね、人質が居ては私も動けません」
マリエッタは歯切れが悪そうに、いまだゆかりの横に佇むアンドロイドをにらみつけた。
「ワタシに任せて」
張りのある声を上げて、ノーンは1歩前へと出る。
一瞬うつむき何かを考えたように見せたノーンだったが、すぐに顔を上げなおし真剣な表情でアンドロイドを見つめていた。
マリエッタは一瞬戸惑いの表情を浮かべるが、ふぅと一息吐くと小さくうなづいた。
「わかったわ」
ノーンはマリエッタの言葉にうなづくと、”ホワイトアウト”を発動させる。
途端、あたりは吹雪が吹き荒れ、周りの景色は白く、狭い視界へと変化していく。
「ピピッ……体温を感知、160度の位置」
「!」
白い視界の中でも、温度センサーを使いアンドロイドは的確にノーンへと蹴りを繰り出す。
ノーンはそれをなんとか”アイスフィールド”で防いた。
防ぐことに必死だったが、ノーンはにやりと笑みを浮かべた。
「やっぱり、同時に攻撃されるのが弱いんだね」
「! 別の体温を感知……人質と判別不能」
アンドロイドが気が付いた時にはすでに遅かった。
ゆかりはすでにマリエッタの手にひかれ、安全な場所へと非難していた。
「ノーンさん、1歩後ろへ下がってください」
「!」
助手の無機質な声にノーンはあわてて後ろへと下がる。
「DDMー23のスキャン完了、各配線の位置をすべて把握。145・156・9234、誤差40マイクロ以下」
「……AI01による高電圧ブレードを確認」
アンドロイドは的確に助手の方向を察知する。
だがその動きより、助手の高電圧ブレードを振るう方がコンマ秒早かった。
足下を切り裂かれたアンドロイドは”プシュン”と音を立てて、地面に崩れ落ちた。
「解体をするわ」
沈黙したアンドロイドを解体するべくゆかりは近づく。
ノーンは複雑そうな表情でそれを眺めた。
「必要ありません」
「どうして?」
「私が切ったのは電源コードです」
「何を――」
ゆかりは首を傾げながら沈黙したアンドロイドをのぞき込む、そこにはたしかにその切り口から
切れた水色のコードが見えた。
ノーンははっとなる。
「予言って、この子の事だったんだ!」
「そのようですね。私は予言なんてものは信じませんが、今回は正解でしたね」
「じゃあ、これで本当に――」
「パフェが食べれるのね!!」
「どんだけ、あなたはパフェが食べたいのよ」
満開の笑顔でマリエッタが喜ぶ。
そんなマリエッタにゆかりはため息をついた。
「助けられたわね、ありがとう」
「あ、ううん。役に立てたらうれしいよ!」
礼を言うゆかりにノーンは明るく答える。
だが、ゆかりにはその表情に少し曇りがあるように思えた。
ゆかりはノーンへと視線をぶつける。
「心配要りませんよ、あの程度すぐに修復可能です。単に電源が切れただけです」
「……本当に?」
「98%事実です」
再びノーンに明るい表情が宿る。
そんなノーンを見て、ゆかりはほっと安堵した。
(さ、あとはこんな馬鹿げた犯人を捕まえるだけね)