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終りゆく世界を、あなたと共に

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終りゆく世界を、あなたと共に
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 ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)は立ち上がった。
「最後の日……ですか」
 その胸に、様々な思いが去来する。
 今まで永い時を行き、そして今後も長い長い時間を過ごすものだと思っていた。
 だが、終る時はこんなにもあっけないものなのかもしれない。
 しかし。
 ザカコは隣を見る。
 そこには、大切な人。
 大切な人と共にその瞬間を静かに待つ……なんて、お互いそんな性分ではありませんね。
 言葉を交わさなくても理解する、互いの気持ち。
 それならば、命が終わるその瞬間まで、抗いぬこう。
 一緒に。
 ――そう決意した瞬間、目が覚めた。

「夢……でしたか」
 深く深く息を吐く。
 先ず感じたのは、生きているという安堵。
 しかし次に感じたのは、『いつかはその時がやってくる』という現実。
 あれは、自分に対する自分自身の戒めだったのかもしれない。
 自分は永い時を大切な人と共に生きる。
 そう、考えていた。
 しかし、いつか世界は終るかもしれない。
 それに、いくら永い時を生きても日々を惰性で生きていたらそれは死んでいるのと何も変わらない。
 平和な今という時を噛みしめ、幸せを感じながら歩いていこう。
 いつかその時が来るまで、悔いることがないように。

 ザカコは立ち上がる。
 大切な人を誘って、出かけよう。
 その時に、この夢の話をしてみようか。
 ――笑われてしまうかもしれないけれど。