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我を受け入れ、我を超えよ

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我を受け入れ、我を超えよ

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 広い空間に降り立った猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)とそのパートナーであるウイシア・レイニア(ういしあ・れいにあ)ウルスラグナ・ワルフラーン(うるすらぐな・わるふらーん)たち。

 そこには理性を感じさせない勇平が、自身と融合した竜『聖邪龍ヴォンヌ』の闘争本能に支配されたなれの果ての姿となって存在していた。


『グオオオオオォォォォオオオオオ!!』


 襲いかかって来る勇平。

「うおっ!?」

 スピードや威力が段違いの闘争本能剥き出しの勇平。
 迫って来る身体を避け、もう一人の勇平を、大切な人を守りたいという思いを忘れ、己の欲望のみを欲す化け物になった己自身を見る。

「やっぱこいつが出てきたか……こいつは、気を締めないと、だな」

 逃げてばかりでは勝つ事は出来ない。
 勇平は持てる技量・技術・経験を駆使して立ち向かう。

 ウイシアとウルスラグナは立ち向かう勇平を離れた場所で見守っている。

 闘争本能剥き出しの勇平は身体能力や勘等では勇平を上回り、技量では勇平に劣っていた。
 一人で勝つのは至難の業。
 それでも、勇平はヤルングレイプを付けた拳で殴る。
 やはり、その攻撃は回避され当たらない。

 押される一方の勇平。
 ウルスラグナは戦いを見守りつつ観察し続ける。

「ど、どうしましょう……やはり手を貸すべきなのでしょうか。破壊衝動に飲みこまれた勇平君に一人で立ち向かうなんて、無理ですよ」

 手を貸すべきか、乗り越える為には手を貸さない方がいいのかと迷うウイシア。
 じっと勇平たちから目を離さず、耳だけをウイシアに向けていたウルスラグナははっと閃くものを感じた。

「…………破壊衝動?」

 閃きと共に押される一方だった勇平が、気が付くと二人の差異が無くなっていくのに気付く。

「いや、あれは破壊衝動に呑まれたものではなく、孤独に戦い続けた成れの果ての姿だ」

 勇平との間に割って入り、ウルスラグナは自身の象徴ともいえる黄金の剣を勇平に渡す。
 ウイシアも優しの弓を構える。

「勇平、お前は独りではない。我々がいる。お前があのような姿になってしまった時は我が止めよう。その時がわが生涯ただ一つの敗北だ」
「ええ、勇平君だけに重荷を背負わせませんわ。私達は常に共にあるのですから!」
「おまえら……」

 ウルスラグナとウイシアの加勢を驚きつつも受け入れる勇平。

「ありがとな。俺は一人じゃない、ヴォンヌを使いこなす事はまだできないが、おまえらと一緒なら何でも出来る気がする」
「出来る気がするのではなく、出来るのだ」
「いきましょう、勇平君!」
「あぁ、行くぞ!」

 後ろからはウイシアの弓矢の援護が、機工剣『ソードオブオーダー』を手に隣で戦うウルスラグナ。
 勇平もウルスラグナから渡された黄金の剣を振るう。

 一人では勝てない相手でも、三人が力を合わせれば勝つ事が出来る。
 独りでは得られないモノがたくさんあると、勇平はこのカリキュラムで知り一枚皮がむけるのだった。