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東西統一記念ロイヤルガード合コン

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 第2章 リア充な人々

■□■1■□■ 李梅琳

橘 カオル(たちばな・かおる)は、
恋人である李 梅琳(り・めいりん)とカップルになれるよう、
5万G払って東ロイヤルガードになっていた。
しかし、本人であることがすぐにはバレないように変装している。
髪は短く、レイヤードな髪型で色は真っ黒にして前髪で半分隠している。
さらには、しゃれたスーツに、胸ポケットに薔薇の飾り、
伊達眼鏡と、「インテリ系薔薇学生」のような恰好を意識していた。

周りの人と談笑する梅琳を物陰から見守りながら、カオルは考える。
(まだ誰ともカップルにはなってないみたいだな……)
そして、梅琳が一人になったのを見計らって、
別人を装ったまま、ダンスに誘う。
「お嬢さん、ダンスのお相手を」
胸の薔薇を差し出し、手の甲にキスをする。
「ありがとう。お名前は?」
「……ミノル・シトラーツェです」
偽名を名乗ったカオルに、梅琳は、はにかんだような笑みを浮かべると、一緒にダンスを踊る。
「先の戴冠式ではご活躍されたそうですね……」
「はい、私だけでなく、ロイヤルガードや教導団、シャンバラの皆のおかげだと思ってるわ」
世間話のついでに、カオルは切り出す。
「そういえば、あなたにはすでにお付き合いしてる方がいらっしゃると聞きましたが……」
「そう? 噂になってるの?
……そうね。とても素敵な人よ。
あなたにも会わせたいくらい」
そう言われて、カオルは少し良心が痛む。
そして、周囲に聞こえないようにそっとささやく。
「メイリン……オレだ、カオルだ。
騙すようなことしてごめんよ。
……命令とはいえ今回の任務はちょっとひどいよなぁ。
帰りは一緒に帰ろうぜ。
あ、オレの正体はふせといてくれよ?」
それを受けて、梅琳は吹き出した。
「わかってたわ」
「え?」
「わかってたわよ。バレバレだもの。
ずっと、私のこと陰から見てたのもね」
(み、見られてた!?)
くすくす笑う梅琳に、カオルはショックを受ける。
「な、なんで言わなかったんだ?」
「カオルが面白いから」
さらにショックを受けるカオルだが、
梅琳は、表情をいたずらっぽいものから優しい笑みに変えた。
「5万G、高かったでしょう? 来てくれてありがとう」
「メイリン!」
梅琳を抱きしめようとするカオルだが。
「じゃあ、もう少し踊ってから行きましょうか、ミノルさん」
「え」
「だって、私はカオルとつきあってるのよ?
ミノルさんと仲良くしてるのを見せつけるわけにいかないでしょ」
「そ、そんな、メイリン……」
そう言ってカオルをじらす梅琳だったが。
2人は、ほどなく、夜の街へ消えた。