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【冬季ろくりんピック】激走! ペットソリレース!

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【冬季ろくりんピック】激走! ペットソリレース!

リアクション

「完走できたし、満足よ」
「そうね」
 白波 理沙(しらなみ・りさ)は、雅羅・サンダース三世と微笑みあった。

「もうちょっとだったな」
「ボス、やはり体重でしょうか」
 クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)エイミー・サンダース(えいみー・さんだーす)に新たな議題が登場した。

「2人も繰り上がるとは思ってもみなかったね」
 騎沙良 詩穂(きさら・しほ)はレース結果を見上げる。 
「わしらがもうちょっと頑張ってりゃ……」
 気落ちする清風 青白磁(せいふう・せいびゃくじ)セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)を慰めた。

「フォローしたかいがありましたね」
「うん、美羽、カッコイイ!」
 舞台から手を振る美羽にベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が手を振り返す。

「収穫は……あった」
 納得する戦部 小次郎(いくさべ・こじろう)の耳を、「どんな収穫ですか?」とリース・バーロット(りーす・ばーろっと)が引っ張った。

「西は勝ったし、参謀長についてもいろいろわかったし、概ね可と言ったところね」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)はメモ帳をめくる。夏侯 淵(かこう・えん)も嘆息した。
「しかし信じられないな。羅殿があんな人だったとは」

「お疲れ様、でもまずはしっかり体を直してね」
 高根沢理子から差し入れを受け取った酒杜 陽一(さかもり・よういち)はむしゃぶりつく。
 理子と酒杜 美由子(さかもり・みゆこ)はそれを見て、クスクスと笑った。

「良いところまでは行きましたのに」
 悔しがるセイニィ・アルギエバにシャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)グリム童話 『白雪姫』(ぐりむどうわ・しらゆきひめ)が声をかける。
「次は必ず勝ちましょう……ね」

「夏の雪辱……ならずか」
 御茶ノ水 千代(おちゃのみず・ちよ)は勝利の美酒ならぬ、やけ酒をあおった。

「残念だったけど、お疲れさま〜」
 芦原 郁乃(あはら・いくの)荀 灌(じゅん・かん)と2頭の賢狼“はやて”と“いかづち”を抱きしめた。


「敗因は何だったのか」
「ま、パートナーに対する労わりじゃな。ほれ、言ってみよ」
 アリス・ドロワーズ(ありす・どろわーず)を他所に、なんとか「可愛い」と言わせようとするアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)の攻防はしばらく繰り返された。

「残念ねー」
 北月 智緒(きげつ・ちお)と共に結果を見つめる桐生 理知(きりゅう・りち)に辻永翔が思い切った様子で伝える。
「もしまた何かあったら、パートナーになってくれないか」

「いつまでそうしてるつもりだ?」
「おお、すっかり癖になったな」
 柳玄 氷藍(りゅうげん・ひょうらん)真田 幸村(さなだ・ゆきむら)からようやく離れる。
 曹丕 子桓(そうひ・しかん)真田 大助(さなだ・たいすけ)は、またかと苦笑いした。

「重量作戦は当たったが、負けた原因はこれか?」
 高峰 雫澄(たかみね・なすみ)魂魄合成計画被験体 第玖号(きめらどーる・なんばーないん)はキノコマンを見つめていた。

「ごめんなさい。海君だけだったら」
「違うな、柚が一緒だったから、あそこまで頑張れたんだと思う」
 2人の世界に入っている杜守 柚(ともり・ゆず)と高円寺海に、杜守 三月(ともり・みつき)はハイタッチの機会を逸していた。

「ぶわははは! ぬうほうがんがーい!(フハハハハ! 優勝ばんざーい!)」
 コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)の喜びの声は、頭の天辺まで雪に埋まって、何を言っているか分からなかった。

「それがしは納得できぬ。漢には引けぬ時があり、引かねばならぬ時も……」
「わかった、わかった」
 アキュート・クリッパー(あきゅーと・くりっぱー)ウーマ・ンボー(うーま・んぼー)の口にウィスキーを注ぎ込むと、自らもストレートであおった。

 ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

 病院のベッドでドクター・ハデス(どくたー・はです)は目を覚ます。疲労の蓄積と全身凍傷で安静を命じられた。
「レースは?」
 西の勝利を聞くと、喜びの気持ちも湧いたが、作戦の失敗も痛感する。
「次こそ……」
 新たな作戦を練り始めた。
 
「キャンディス様に温かいものでも用意しましょうか」
 茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)はテレビを消すと、大きく窓を開けた。冬の冷気と共にレースの歓声が聞こえたような気がした。
 
                        《終わり》

担当マスターより

▼担当マスター

県田 静

▼マスターコメント

シナリオへの参加ありがとうございました。まずは遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

いろいろ考えてはいたのですが、それでも予定外のことがたくさんありました。

その1:NPCの希望が競合しなかった
これまでのシナリオでは、同じNPCに交流を求めるアクションの方がいました。
『今回もそうなるんだろうなぁ』と思って、先着順にしようかサイコロで判定しようかと悩んだのですが。

その2:体重の可能性
体重で判定する旨を書きましたが、予定外だったのは変化する体重のキャラや、体重がほとんどないキャラがいたことです。
アクションを読んで、『ああ、そう言えば』と思い出した次第です。前者は魔鎧などが、後者は本やデータなどです。
その特徴を活かしたアクションもあれば、「チートなので」と体重を固定したアクションもありました。
悩んだ末に『できるだけ特徴を活かそう』とリアクションを書きました。

その3:妨害アクションがほとんどなし
アクション例に妨害行動を書いたので、『何人かはいるかも』と思ってました。

…………いませんでした!(ゴチ風に)

『やられたらやり返す』や『最後に余裕があれば』くらいです。
むしろ『絶対に妨害行為はしません』と明記した人が、何人もいたくらいです。
必然的に妨害行為に備えるアクション、スキル、ソリの強度設定などが空振りになってしまいました。

その4:ウケ狙いアクションなし
市民参加のマラソンなどで有りがちなのが、仮装してのマラソン参加です。
今回もネタに走ったアクションがあるかなと思ったのですが、誰もいませんでした。
ただレースと共に恋愛行動に走ったアクションはありました。それはそれで楽しませていただきました。


■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ 


結果は本編を読んでいただいた通りです。勝敗に関して重視したのは次の点です。

その1:バランス
これはガイドに書いただけに、それなりにバランスを取れた人がほとんどでした。
体重30キロ程度の単独乗員から、3人4人と乗って200キロを超えるソリもありましたが、引き手を工夫していました。
西チームは8頭(匹・人……)まで、引かせることが可能でしたが、7頭以下に設定した方もいました。

その2:安全運転
勝負である以上、勝ちに行くのは当然なんですが、それなりに安全に配慮したアクションの有無を見ました。
無謀なアクションは、やっぱり危険な結果に結びつくと思います。

その3:引き手への配慮
どこかで交代させるか、スキルなどで回復させるアクションがあるかを見ました。
交代なしで突っ切ることもできるかもしれませんが、ある程度は配慮が欲しいかなと思いました。


これらを考えつつ、何度もレース中盤(湖)と終盤(下り)を何度も書き直したのが、完成の遅れた原因です。
本当に申し訳ありませんでした。

『3つ共配慮したけど、入賞もできなかったよー』と思われた方もいると思います。
バランスのところで書いたように、皆さん良く考えたアクションでしたので、『私が7位かも』と思ってください。

参加者の多さや、村レベルの差もあって、ソリレースは西チームの勝利に終わりました。
しかし冬季ろくりんピックは、まだまだ続きます。東チームにはこれからの奮戦と、西チームには油断なき健闘を願います。

最後になりますが、次のシナリオがありましたら、よろしくお願いします。