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第5試合

 
 
『第5試合は、イーブンサイド、氷室 カイ(ひむろ・かい)パイロット、サー・ベディヴィア(さー・べでぃびあ)サブパイロットによる月詠の登場です。
 オッドサイドは、AI制御によるシュメッターリンクIIとなります』
 月詠はイーグリット・アサルトをベースとしているが、機動性確保のために極限まで装甲と武器類を削ってしまっていた。そのため、実戦用に再度追加装甲『夜叉』を装備し、戦闘に耐える状態に持っていっている。イーグリット・アサルトの特徴であるダブルビームサーベルは肩部背後のハードポイントに提げ、胸部追加装甲にマイクロミサイルポッド、射撃武装としては軽量化したレーザーマシンガンを装備している。そして、それらを覆い隠すような青いマントが特徴的な機体であった。
 イコンキャリアの飛空艇から切り離された月詠が、フィールドを降下してくる。
 地上でじっと待ち構えているシュメッターリンクIIの前方に、月詠がマントを翻して着地した。
「鏖殺寺院の新型イコンか。こんな物のデータまで用意してあったとはな。面白い、遠慮なく破壊できそうだ」
 ビームサーベルの一本を抜き放って敵イコンにむけながら氷室カイが言った。
「落ち着いてください、マスター。敵はただのAIです。とはいえ、第二世代機相当の新型。油断しないでください」
 熱くなりすぎだと、サー・ベディヴィアがあわてて氷室カイを諫めた。
「なあに、イコンの世代の差が戦力の決定的な差ではないことを教えてやる」
 言うなり、氷室カイが素早く月詠を飛翔させた。やや遅れて、シュメッターリンクIIがそれを追って空へと飛びあがる。
 青いマントが迷彩となって、月詠の姿が青空に溶け込む。だが、光学センサーはそれでごまかせたとしても、なまじ敵がAIであるだけに、対物レーダーによってしっかりと捕捉されていた。
 有効射程距離外から、シュメッターリンクIIが強化型ショットガンで攻撃してきた。必要以上に拡散した散弾が、弾幕となって月詠に襲いかかる。
「被害状況!」
「マントに穴が開きましたが、機体に損傷はありません」
 氷室カイの問いに、即座にサー・ベディヴィアが答える。
「押し返すぞ」
 氷室カイが、ミサイルを連続発射した。素早くシュメッターリンクIIが回避するも、近接信管でミサイルが次々に爆発していく。爆炎がシュメッターリンクIIを追いたてていく方へ、素早く月詠が回り込んだ。さらに、レーザーマシンガンで牽制する。だが、当然のようにショットガンでの反撃が来る。
「けりをつけるぞ」
「はい」
 これ以上の被弾はまずいと判断した氷室カイが切り札を切った。エナジーバーストを発動させて一気に突っ込む。
 当然のように散弾が雨霰と襲いかかってきたが、バリアがそれを弾き返した。
見切った
 体当たりをくらったシュメッターリンクIIがのけぞった。そこへ、背中のツインレーザーソードに両手を回した月詠が、抜き放ち様にそれを振り下ろす。
 一瞬にして、シュメッターリンクIIの両腕が、フローターごと斬り落とされた。そのまま、浮力を失ったシュメッターリンクIIが地面に激突して爆散する。
「いい勝負でしたね」
 地上から立ち上る黒煙を見下ろして、サー・ベディヴィアが氷室カイに言った。
 
    ★    ★    ★
 
『勝者、月詠です!』