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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!
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 マイトとイングリットの戦いが終わり、武道場が拍手で包まれた。その直後――。
「ほーっほっほっほ!」
 高笑いが響き渡った。
 見上げると武道場の天窓に、派手な衣装をまとった女がいた。
「ご来場のお客様……そして参加者のみなさま…美しき白百合達の華麗なる美技とは言え、流石にそろそろ飽きるお時間……」
「……プロレスラー……?」
 ティリアが訝しげな声をあげる。
「なれば……シャンバラ維新軍所属、スワン・ザ・レインボーがこの『24時間耐久組手』にさらなる華を添えて差し上げましょう!」
 その女性は――プロレスラーの衣装を纏った白鳥 麗(しらとり・れい)だ。
「はっ!」
 麗は天窓から飛び降りて、華麗に床に着地する。
 会場は驚きに包まれていた。
「代表・イングリット……そして、白百合団戦乙女組と参加者の皆様方に……『バトルロワイアル』を申し込みますわ!」
「バトルロワイヤル……! 魅力的な響きですわ」
「面白そう、だけどいいのかな」
 イングリットは乗り気。ティリアは苦笑していた。
「本当に自信のある者だけが参加し、最後に立っていた者が勝利者となる……そう、現時点最強の百合園の華は誰なのか……皆様、知りたくありません事?」
 白百合団員だけではなく、集まった人々に麗は賛同を求める。
「面白そうだな」
「女の子達が必死に入り乱れて絡み合う姿、いいねぇ」
「賛成! 賛成!」
 会場の人々が声を上げていく。
「えー。シャンバラ維新軍のアナウンサー、『実況マスク』と申します。
 今回は、百合園女学院から実況をお伝え致します」
 いつの間にか、武道場入口付近にマイクや機材を持ち込んでいる者がいた。
 麗のパートナーのサー アグラヴェイン(さー・あぐらべいん)だ。ただ、彼はマスクで完全に顔を隠しており、声色も変えている為、正体が分かるものはいないだろう。
「受けてもいいけれど、あまりひどくなりそうなら止めるわ。そのためにも私は不参加ね」
「わかりましたわ。わたくしが、先陣を切ります!」
「おおっと、リーダーが受け入れたもよう。尚、公平を規す為、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんがスワン・ザ・レインボー選手の戦闘スタイルをご紹介致します」
 実況マスクが早口で、麗――スワン・ザ・レインボーの戦闘スタイルを語っていく。
「基本、典型的なストロングスタイルであり、空中殺法を得意とする選手です。派手な技を好む傾向があり、少々性急なところが……ああっ、始まるようです。レディーゴー」
 実況マスクが言い終えるより早く、イングリッドは麗の方へ跳んでいた。
「わたくしを狙いますの? 命知らずですわね。ほーっほっほっ!」
 イングリットが麗の顔を掌底打ち。
「うっ、流石に笑いながら倒せる相手ではないようですわね」
「解りきっていることですわ。わたくしとの対戦を望む方はほかにもいます。変態のあなたに構っている時間はありませんわ!」
「変態とはなんですの、イングリット!」
 麗は、思わず普段の調子で言ってしまった。
「わたくし達白百合団員と勝負がしたいのでしたら、マスクをせず、すっぴんで勝負してはいかがですの? 強さだけではない敗北も感じさせてあげますわ!」
「ご冗談を」
 イングリットの手を避け、繰り出される拳と、膝の攻撃を腕で受けた後。
 ここ、というチャンスに、麗は等括地獄を繰り出す。
 イングリットは連戦中だ。休憩をはさんではいるが、マイトだけではない文化祭が終わる夕方まで、24時間ひたすら、組手をしている。
「どうしました? 足がおぼつかないようですけれど」
 攻撃を受けて膝をついたイングリットに近づき、麗は見下すような笑みを浮かべてそう言った。
「イングリットちゃん、俺とも頼むぜ」
「いや、もう下がった方がいい。……俺が君を止めてみせる!」
 他校の生徒達がイングリットを狙い、近づいてくる。
「……すごい人気ですわね。でも、人気があってもご飯は食べられませんのよ。ほーっほっほっ」
 高笑いをしながら、麗は飛び掛かってくる者達を打ち倒していくのだった。

「白百合団。はっ、やー女子にしては凄いやん。ビックリしたわ」
 青年のそんな言葉に、ティリアが目を向けた。
 まるで馬鹿にするかのような笑みを浮かべているのは、瀬山 裕輝(せやま・ひろき)だった。
「素敵なダンスやねぇ」
 彼はこの場にいながらも、どことなくやる気がなさそうだ。
「……白百合団のダンスが見たいのなら、野外ステージへどうぞ。ここで行われているのは組手よ」
「そうだったのか! いやあ、お遊戯会の練習かと思ったわー。やけに本格的だなぁと」
「冷やかし目的なら、ご退場くださる? 組手をしてくださるというのなら、真面目に試合に参加してください」
「真面目にねぇ、例えばこうかなー」
 ゆるく、そう言った直後。
 彼の周りの空気が変わった。
 いち早く気付いたティリアが構えをとるより早く、彼の正拳突きがティリアの顔に迫っていた。
 凄まじい殺気が込められた攻撃に、ティリアの顔に緊張が走る。
「……」
 ティリアは足を一歩引いて防御体勢をとり、裕輝を睨んだ。
 裕輝の正拳突きは寸止めだった。
「近づかないで。この男は危険よ」
 彼に近づいてきた白百合団員にティリアはそう警告する。
「ダンスの相手なら、危険はないんやけどな〜。真剣に戦えと言われたら――仕方ないやろ」
 にこっと裕輝は微笑み、背後から迫ってきた他校生男子を、振り向かずに肘を打ち込んで倒した。
 溜める動作も見せず、踏み込むこともせず、一撃で沈ませた。
 彼は白百合団員が凍りつくような攻撃を繰り出し続けたが、その全ては寸止めだ。
「白百合団の侮辱はゆるしませんわ」
「泥くさい出し物を、美しく盛り上げてさしあげていますの。邪魔をするのでしたら、お帰り下さいませ!」
 ただ、ティリアにイングリット、麗といった、契約者で武術の嗜みのある者に集団で飛び掛かられては、たとえ裕輝が力あるケンセイとはいえ、ただでは済まない。
 適当なところで、裕輝はふっと姿をくらましたのだった。

 24時間耐久組手は、バトルロワイヤルとなり学園祭終了まで続いた。
 終了時に立っている者は誰もおらず、リタイアせず、開始から終了まで武道場にいた者は全員勝者という扱いになった。