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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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○     ○     ○


「あれ? 優子先輩来てたはずなんだけどな?」
 猫&うさぎガーデンを手伝っていた秋月 葵(あきづき・あおい)は、休憩時間に神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)を探していた。
 優子は、友人と共に訪れていたはずで、帰ったという話は聞いていない。
 魔法を駆使して探してみても、優子の姿は見当たらなかった。
 携帯電話もつながらない……。
「あの、優子先輩知りません?」
 葵は受付にいたリーアに、聞いてみた。
「いるわよ、そこに」
 リーアが指差したのは、眠っているシャム猫の子猫だった。
「慣れない身体で遊び疲れて、眠っちゃったんだって。そろそろ起こしてもいい頃じゃないかな。特別製のスープを提供したから、もう少し元に戻らないでしょうけれどねっ♪」
 そうリーアは微笑んだ。
「そうですか……手間が省けました」
 ふふっと葵も笑うと、子猫の優子の側に近づいた。
「先輩、起きてください。お説教なら後で聞きますから、ちょっと協力してくださいね♪」
 そう言って、葵は子猫を抱き上げて、給仕の仕事をしているアレナの元へと歩く。
「にゃ……ふー……」
 目を覚ました優子は、景色や自分の体を見て状況を確認すると、唸り声のような声を上げた。
「アレナ先輩! この仔見てください〜」
「あれ? さっきの猫ちゃんですね」
「あ、既に会ってるのね。実は、この猫、うちの猫なんですよ〜」
 そう説明をして、葵はアレナに子猫を見せつつ。
「ちょっと優子先輩に似てる所があるんですよー。ほら目つきとか、性格がね〜♪」
 葵が喉に触れると、子猫は首を振って抵抗をする。
「ふふ、確かに目が優子さんに似てますね……」
「でしょ? で、あたしちょっと瑠奈隊長に呼ばれてまして、少しの間見ててもれませんか?」
「あ、はい」
「ふーふー」
 子猫は威嚇をするかのような声を上げている。
(怒ってる! 子猫だから怖くないけどっ)
 葵はそう思いながらも子猫をアレナに渡した。
「えーと、人見知りが激しい子なので……でもアレナ先輩は大丈夫のはずなので……アハハ……それじゃ〜」
 行って、逃げるようにその場から離れていく。
「先輩〜優子先輩に言いにくい事があるなら、その子で練習しちゃうといいかもですよー」
 そう言いながら離れていき……でも、こっそり葵は物陰からアレナの様子を見守ることにした。
「さっき散々遊びましたし、ゆっくりしてましょうね。人見知りさんなんですか? それじゃ、あっちの誰もいないところに行きましょう」
 アレナは子猫を撫でながら、木蔭へと歩き、芝生の上に腰かけた。
 逃げ出さないように、子猫を抱きしめていたアレナだけれど、葵がいなくなってからは、子猫は全く声も上げず、抵抗もしなかった。
 そっと、膝の上に乗せて、子猫の顔を覗き込む――。
「ホント、優子さんと目を合わせてるみたいです」
 言って、アレナは俯いた。
 子猫の頭と背を、撫でながらアレナは切なげな目をした。
「私は……」
 ぽつ、ぽつ、アレナは声を出していく。
「優子さんの剣でありたい、です。剣の花嫁として、パートナーとして、戦う優子さんの後ろを歩いていたいです」
 でも、今の自分にはそれが出来ない。
 今だけではなく、剣の花嫁として力があった頃も。
 共に戦う相手として、優子が選んだのは――。
「あの時も……凄く、大変な時に……ゼスタさんが一緒だから、来なくていいって……優子さんは、私に言いました」
 声を詰まらせて、アレナはそう言った。
「にゃー……(アルカンシャルの事件の時か? それは、状況的に飛行手段のないキミよりも、奴の方が戦闘員として役に……)」
「ラズィーヤさんから離れて、優子さんに喜んでもらえるような、役立てることを探して……今、宮殿でお仕事していますけれど……ティセラさんも一緒で、頑張りたい仕事で、嫌じゃない、んですけれど」
 アレナは子猫を撫でながら、もう一度同じ言葉を繰り返す。
「私は、優子さんの剣でありたいです。普通の剣の花嫁として、パートナーの武器として、常に優子さんの側に在りたいです」
 子猫は、静かだった。
 声を上げずに顔も上げずに、アレナの膝の上で丸くなった。