リアクション
○ ○ ○ 「う、うわあ……」 アレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)が、驚きの声を上げた。 「お邪魔になっていないといいのですが」 椿 更紗(つばき・さらさ)が、微笑みながら言う。 彼女のパートナーの、及川 翠(おいかわ・みどり)と、翠のパートナー達が、猫&うさぎガーデンの敷地内で動物達を行進させているのだ。 「凄いです、沢山です、可愛い……ですっ」 アレナはとても興奮していた。 更新しているのは、白い毛玉にしか見えないうさぎ……わたげうさぎ総勢51羽! アレナ達のグループが手配したうさぎではなく、翠とパートナー達が連れてきたうさぎだ。 トップを歩いているのは、わたげうさぎの「杏」行進しているわたげうさぎ達のリーダー格の雌のわたげうさぎだ。 非常に毛並みが良く、とてももふもふしている。 そして、一番後ろには三毛猫の「タマ」が、しっぽふりふり、時折可愛らしい声をあげて、わたげうさぎ達を見守るように歩いている。 「アレナさんも遊んできてもいいのですよ。私が、アレナさんの分もお仕事頑張るのです」 翠達がうさぎ達の指揮ともふりに集中している間、更紗は猫&うさぎガーデンの給仕を手伝っていた。 「それじゃ、お友達が来ましたら少しだけ」 アレナは嬉しそうな笑みを浮かべ、うずうずしている。 「喉が渇いたの。これ飲んでいいんだよね!」 翠は『ご自由にどうぞ』と書かれたドリンクコーナーで、カツオスープを貰ってきた。 「飲んだらまた遊ぶの!」 既に猫やうさぎと散々遊んだけれど、まだまだ遊び足りない。 ごくごく、一気にスープを飲んで、それからまたうさぎ達のところへ走っていく。 「にゃん?(あれ?)」 小さかったうさぎが、凄く大きく見える。 「ああんもう、もふもふよ、もふもふなの、もふもふなんだから〜」 突如、ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)が翠に手を伸ばしてきた。 「にゃあん?(えっえっ?)」 「もふもふ、もふもふだわ〜」 ティナ・ファインタック(てぃな・ふぁいんたっく)も、翠に飛びついてきた。 (あれっ? お姉ちゃんもティナさんも……どうしたの? きゃっ、くすぐたいの!) もふもふ、もふもふ、もふもふ。 ミリアとティナは翠を撫でて顔を寄せて、抱きしめて。もふもふもふもふもふもふを堪能していく。 「にゃん、にゃあん、にゃんにゃん(うわあ、私もしかして、猫さんになってる? やあ〜もうくすぐったいのー!)」 猫のスコティッシュフォールドになっていた翠は、2人の手から逃げ出して、行進しているわたげうさぎの中に入っていく。 (杏ちゃん、もふもふ、もふもふなの。ああ、もふもふ〜) 飛び込んだ翠は体中でわたげうさぎのふわふわ、柔らか感を感じていく。 「もふもふもふもふもふもふ」 「もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ」 ミリアとティナは何故かもふもふしか言えなくなっている。 「ああ、もふもふ、もふもふもふもふもふ? もふもふもふもふ」 「そう、もふもふよ。もふもふだから、もふもふ。もふもふん。もふ」 2人はもふもふ語で会話をし合いながら、もふもふもふもふ。 そして行進しているわたげうさぎや、付近の猫やうさぎをもふもふって、もふもふもふって、もふもふりつくしている。 (よおし、お姉ちゃんたちにつかまらないように脱出するの。そしてこの中を冒険するの) 翠はミリアとティナが他のうさぎに夢中なうちに、わたげうさぎの中を飛び出して、猫&うさぎガーデンの中の探索に向った。 「にゃーん。にゃんにゃん(ようこそなの。猫さんもうさぎさんも沢山いるの)」 見学をしている小さな子供に、可愛らしい声を上げて説明をしたら……。 言葉は通じないけれど、子供はそっと手を伸ばして、翠の頭を撫でて、嬉しそうな笑みを浮かべた。 お手伝いは出来ないけれど、更紗と一緒に歩いてもみた。 猫&うさぎガーデンにいる人達は、皆翠に優しい目を向けてくれる。 「にゃんにゃん(一緒に楽しむの。猫さん、うさぎさんも一緒にたのしむの)」 翠はとことん歩き回って、猫やうさぎ、人々とも楽しい時間を共有した。 |
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